富士見下から尾瀬を周り燧ヶ岳と至仏山を登る【百名山六十六、七座目】

登山
登山百名山

言わずと知れた観光地である尾瀬。ここには百名山が燧ヶ岳至仏山の2座あり、尾瀬ヶ原を挟んで対面する位置にあります。人気がある尾瀬へのアクセスは駐車場料金を含む交通費が高くなっています。しかし、昔唯一の道であった富士見下駐車場は狭いですが無料となっています。今回は尾瀬が冬季閉鎖寸前のタイミングで、富士見下から2座を登り、尾瀬を堪能するルートを歩いてきました。

・富士見下が登山口&下山口
・山ノ鼻でテント泊する1泊2日の山行
・富士見下から富士見峠までは約6㎞の砂利道歩き
・白尾山や皿伏山の道は木の枝などが道に出ておりあまり整備されていない印象
・沼尻から燧ヶ岳への登りはゴロゴロした岩の急登
・燧ヶ岳から尾瀬ヶ原の道は山頂に近づくほど急になるが、下るほどぬかるみばかりとなる
・山ノ鼻は携帯電波◎
・山ノ鼻から至仏山へは登りの一方通行
・アヤメ平からは燧ヶ岳の展望良し

2022年10月に行ってきた写真と登山データを掲載しています。
最新の登山道情報は自治体等でご確認ください。

ルート基本情報

行程

1日目 29.0㎞ 11時間28分 上り1,790m 下り1,692m

富士見下【出発地】~富士見峠~皿伏山~尾瀬沼~燧ヶ岳~尾瀬ヶ原~山ノ鼻【宿泊地】

2日目 19.6㎞ 7時間40分 上り1,182m 下り1,280m

山ノ鼻【出発地】~至仏山~鳩待峠~アヤメ平~富士見峠~富士見下【到着地】

ルート地図及び情報

下記をクリックするとYAMAP地図活動時間などの詳細な情報が見られます。

富士見下から尾瀬を周回する【百名山六十六、七座目】 / bataoさんの白尾山(群馬県)皿伏山尾瀬・燧ヶ岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ

ルート詳細情報

1日目

富士見下

富士見下には公衆トイレが設置されています。ただ、冬季はトイレが閉鎖されるため、尾瀬保護財団公式HPで確認が必要です。

富士見下にある小屋の隣からショートカットする道があるので、ここから登っていきます。

標高が低いうちは紅葉がきれいで、足元は落葉で埋まっています。

ただ、登るにつれて夜に降った雪が残っていて、冬の訪れを感じさせます。

ふと目に着いた木のお化け。晩秋で枯れているからこその出で立ちです。

徐々に景色が見えるようになり、遠くの赤城山を眺めるようになってきました。富士見峠が近づいてきた証です。

富士見峠

張り紙は滲んで読めませんが、水場なのかもしれません。

長い道を経て富士見峠に着きました。ここにはきれいな公衆トイレが設置されています。ここも冬季は閉鎖されます。

国立公園尾瀬の看板。こちらは鳩待峠へ向かう道の入口です。

尾瀬沼方面への道は車が通れるほどの道幅になっています。

少し進むと尾瀬ヶ原の見晴へ行く分岐がありますが、引き続き道幅が広い道を歩いていきます。

ここだけ見ると完全に雪山です。気温は氷点下5度くらいでした。

道幅が車が通れるくらい広かったのは、この建造物を点検するためのようです。ここからはいつもの登山道のように狭くなります。

皿伏山

1日目にピークハントする燧ヶ岳が見えました。この時点ではかなりの距離を感じます。

道幅が狭いことに加えて、木の枝や笹が道にはみ出ており、かなり歩きにくくなっています。

登山道も動物が歩いています。この動物は・・・?

まずは白尾山に到着です。展望はあまりありません。

ここから一旦下っていきますが、雪が石の表面だけに積もっていて、うかつに踏むとバランスを崩します。また、笹も一層と生い茂ってきました。

白尾山と皿伏山の鞍部であるセン沢田代です。傾斜は緩やかですが、倒木などあり進みづらくなっています。

セン沢田代から登っていくと皿伏山です。このピークも木々に囲まれ展望がありません。

皿伏山からなだらかな道を下っていき、大清水平を目指します。

尾瀬沼

傾斜はほとんどないような場所ですが、その分道が分かりづらく、倒木などでさらに複雑になっています。マークが木についていたりするので、見落とさずに進んでいきます。

分かりにくい道を進んでいくと、視界が開けた場所に出ます。大清水平に到着です。広い湿原の中にボロボロの木道が通っています。

ここからも白い燧ヶ岳がちらっと見えます。

大清水平から尾瀬沼に下りる道ですが、倒木が多く、さらに分かりにくく、歩きにくい道になります。

尾瀬沼が見えてくると、斜面が急になっていきます。

尾瀬沼のふちに出ると、今まで通ってきた道に注意喚起の張り紙が。確かに道を間違えやすい地形と道です。

沼の周りは木道が整備されていますが、滑り止めがなかったり老朽化していたりと、年月を感じさせます。

ちょうど沼へ下りてきた道の近くから、尾瀬沼を挟んで燧ヶ岳を眺めることができます。沼にはマガモの集団が戯れていました。

沼の周りを歩いていきますが、倒木や道幅が細かったりなどの注意看板がちょこちょこ出現します。

小さな湿原の小沼湿原。滑り止めがないので木道は良く滑ります。

小沼湿原の先には分岐点である沼尻。休憩所及びトイレは現在休止中です。

四方に進む道があるので、間違えそうになります。

燧ヶ岳へは単純に山へ向かう木道を歩いていきます。山頂まで最短距離ですが、急傾斜のナデッ窪を経由して登ります。

燧ヶ岳

最初のうちはなだらかな樹林帯を進んでいきますが、山頂へ近づくにつれ傾斜が増していきます。

道は大きな岩であふれてきます。大きな段差で1段1段体力を奪ってきます。

ある程度標高を上げて見返すと、尾瀬沼全体が目に映る景色となり、急登のご褒美です。

山頂に近づくにつれ、雪が多く残っています。

途中で尾瀬沼から登ってくる長英新道と合流します。長英新道は整備されている道のようで、8合目の看板があります。

まずは爼嵓へと登っていきます。山頂周辺はやたらと木の枝が伸び放題で、ザックにやたらと引っ掛かっていました。

山頂直下で9合目の看板。岩が多い山頂部です。

爼嵓の山頂に到着しました。柴安嵓と尾瀬ヶ原が見えます。岩と雪で足場に困るときに登ってしまいました。

尾瀬沼と日光の山々。どの山も雪が降った形跡があります。

祠が二つ。左の雪が積もった平らな山は平ヶ岳でしょう。

続いて柴安嵓を登ります。いったん下り、登り返す形です。

急斜面ではないのですが、ハイマツと雪でかなり通りづらい道に変貌しています。地面も平らではないためかなり滑りやすくなっています。

こちらはごつごつした岩が山頂部で登場しますが、雪は気持ち少なくなっています。

柴安嵓の山頂標柱です。俎嵓のボロボロの木の標柱とは違い、黒の石柱です。

こちらの山頂はかなり平らで、複数人いても気にならない広さがあります。

尾瀬ヶ原を眺めるベストな場所です。対面には至仏山が鎮座しています。思ったよりも雪が積もっていません。

下の広い湿地帯目指して急そうな道を下っていきます。

道は岩や石でザレていて、傾斜もあるので慎重に下っていきます。

この道のハイマツもまたかなり伸びていて、通行の阻害となっています。

樹林帯に入ってくると、傾斜は落ち着いてきますが、足元に木の根などがあり、その上に雪が積もって地雷のような状態となり、この道も難儀します。

番号の張り紙があり、下っていくごとに数字が小さくなっていきます。また、現在の標高も掲載されているので参考になります。

会談として整備されたのでしょうが、年月が経ち土が流れてしまっています。雪が積もってさらに足場は悪くなっています。

今更ですがこの登山道は見晴新道です。尾瀬ヶ原の見晴という場所につながっています。5合目を過ぎたあたりから傾斜が緩やかになってきます。

ただ、道はぬかるんでいて、足元を見ていないと泥だらけになります。

平らに近い場所もあるため、道に迷わないようにマーキングされています。

見晴新道の分岐に差し掛かりました。沼尻から来た道との合流地点です。ここからは木道を歩きます。

尾瀬ヶ原

木道を歩いていくと分岐にがあります。左が見晴キャンプ場への道で、まっすぐ進むと見晴及び尾瀬ヶ原への道です。どちらを進んでもすぐに合流できますが、散策のためキャンプ場方面へ行ってみます。

見晴に着きました。ここには山小屋が複数個所あり、そのうちの一つである燧小屋です。ただ、数日前に冬季閉鎖となっています。

見晴休憩所も扉やガラスが閉められています。

見晴キャンプ場は閑散としています。

ちょうどスタッフが冬じまいの作業中です。尾瀬は豪雪地帯のため、厳重に戸締りをされています。

燧ヶ岳の麓は見晴、至仏山の麓は山ノ鼻です。入山時点で営業している山小屋が山ノ鼻だけのため、尾瀬ヶ原を突っ切っていきます。その距離6.0km。木道ですが長い道のりです。

尾瀬ヶ原の木道はすれ違い出来るように2本の道があります。木道の状態は基本ボロボロですが、近年整備された箇所もあります。

尾瀬と言えば、この平原と燧ヶ岳や至仏山がセットになったシーンじゃないでしょうか。

平原の真ん中くらいに木々が立っており、近づいていくと、小川を渡る橋があります。

そこには竜宮小屋という山小屋があります。ここもちょうど冬季閉鎖の準備をしていました。

竜宮十字路から山ノ鼻までは、まだ4.4kmも残っています。

ミズバショウの群生地によることができますが、時期ではないのでそのままスルーしていきます。

牛首分岐まで来ました。尾瀬ヶ原は広いため、休憩スペースが所々に設置されています。

逆さ燧を見ることができる池ですが、今回は天候の関係で残念ながら見ることが叶いませんでした。

原の川上川橋を通ると山ノ鼻は目前です。

山ノ鼻

至仏山がかなり近づいてきました。左手には山小屋が木々の間から見えます。

山ノ鼻に到着です。ここも山小屋が複数あります。

唯一営業していた至仏山荘です。定員73名で、1泊2食9,500円、素泊り6,500円です。ただ、食事の提供はないため、素泊りとテント泊のみとなっていました。売店には食料品がなく、ビールなどの飲み物だけがありました。

屋外トイレの隣はビジターセンターです。

テント場は1泊1人1,000円で地面が土となっており、トイレの前に位置しています。自炊場もあり、飲料可能な水が出ます。

至仏山へは左の木道から歩いていきます。右の木道は植物研究見本園で、様々な尾瀬の植物を見ることができる周回コースとなっています。

2日目

至仏山

夜明け前の早朝から出発です。

山ノ鼻から至仏山までの登山道は、森林限界から山頂まで登りの一方通行となっています

登山道は木で整備された道で、それなりの勾配が続きます。

森林限界を知らせる看板です。蛇紋岩という植物が育ちにくい岩で山ができているため、標高1,650mで森林限界を迎えています。

振り返ると朝を迎える尾瀬が。森林限界を超えたため視界が開けます。

登山道は土から岩や石へと変化します。

場所によっては鎖が設置されているところも。よく歩かれているためか、岩がつるつるで滑りやすくなっています。

登山道は少し水の通りちみちにもなっており、凍結している個所もありますが、アイゼンを履くほどの危険性はありません。

至仏山の山頂が見えてきました。あとは木の階段を登るだけです。

至仏山の山頂に到達しました。山頂には岩がゴロゴロしていて、あまり広くありませんが、360度の展望があります。

西側には手前の奥利根湖から、白銀となった北アルプスが見えています。

北は平ヶ岳や上越の山々が連なっています。

今から歩く小至仏山への稜線。その先には武尊山が映っており、さらに奥に白くなった小さな富士山が水平線から出ています。

山頂から少し下って振り返ると、ゴロゴロした岩が点在しています。

小至仏山へは下ってから少しの登り返しがあります。日陰になりやすい西側の斜面にはまだ雪が残っている状態です。

小至仏山山頂です。立派な石柱が建っています。岩があって狭い山頂です。

あとは鳩待峠へのなだらかな下りとなります。

鳩待峠

鳩待峠は下ったとこにありますが、富士見峠はさらに奥の森で、森にある茶色部分のさらに先になります。

こちらの道は森林限界が標高2,000mとなっており、森の中へと進んでいきます。

途中に笠ヶ岳の分岐点。奈良俣ダムがある湯ノ小屋から登っていくルートとの合流地点でもあります。

森の中ですが開けた場所もあります。オヤマ沢田代などの湿地帯です。

日陰にある木道は凍結している個所もあり、慎重に歩いていきます。

木道がなくなり、落ち葉の地面が続くようになれば鳩待峠へはもうすぐそこです。

鳩待峠に到着しました。ここが一番メジャーな尾瀬への入口でしょう。灰シーズン以外はマイカーでここまでくることができます。ただ、駐車場料金は1日2,500円とお高くなっています。

ここで終わりならよかったのですが、さらに奥の富士見峠まで行く必要があります。その距離6.3㎞と、尾瀬ヶ原を端から端まで歩く距離です。

トイレの近くにある登山口から再度森の中へ入っていきます。

アヤメ平

登山道は傾斜の緩やかな上りです。木道が整備されていますが、無い区間もあります。

黙々と歩いていくと、木々がなくなり、湿原の横田代に到着します。振り向けば先ほどまでいた至仏山が映ります。

植生保護の観点から、木道を整備されていますが、老朽化が激しく、かなり破損しています。今回は雪が積もっていることもあり、滑り止めが付いていないのであまり無茶な歩き方は控えました。

ひっそりと建っている山頂標識。中原山のピークですが、木々の中で山頂という雰囲気ではありません。ここからは下りに切り替わります。

中原山を過ぎると、湿原のアヤメ平に着きます。ここは周囲に木々があまりなく、燧ヶ岳が湿原越しにきれいに映ります。

至仏山も見えますが、燧ヶ岳に比べて標高が低いせいか、あまりアヤメ平との組み合わせは良くないようです。

アヤメ平を過ぎた後は、南側が開けた場所を歩いていきます。ちょうどこの斜面の下に、富士見下までの道が通っています。

新しく整備された木道があり、滑り止めのゴムマット付きで、歩きやすく助かりました。

森へ下っていくと、最後の湿原富士見田代です。池越しに燧ヶ岳を望めます。ここから富士見峠は目と鼻の先です。

富士見峠に到着すると、ちょうどトイレが閉鎖されていました。

あとは富士見下まで登ってきた砂利道を下っていきます。

ショートカットせずに下ると、一般車両が通行できないようにバーが設置されています。

バーの前には道路わきに10台ほど駐車できるスペースがあります。完全に足にきていましたが、何とか下山することができました。これで今回の山行は終わりです。

この登山を振り返って

尾瀬という場所に2座ある百名山を一気に登ってみましたが、さすがに距離が長すぎて想定以上の道のりになってしまいました。富士見下から峠まで往復12㎞がなければかなり違ったかもしれません。また、見晴の山小屋が営業していれば、2泊3日などの行程を組めたかもしれません。登山した時期があまりよくなかった感は否めないです。

登山道は尾瀬というあまりにも人気な場所なので、整備が行き届いていると思いましたが、木道がボロボロで滑り止めがない、倒木や木の枝が伸びて登山道の邪魔となっているなど、期待していた状態とは違いました。張り紙の通り、尾瀬沼から白尾山までの道は荒れているので、観光気分で行くのはお勧めしないです。

とはいえ、やはり有名な観光地らしく名所は多くあり、尾瀬沼や燧ヶ岳、至仏山からの尾瀬ヶ原の景色、そして穴場であろうアヤメ平は行く価値のある場所だと思います。雪が少し積もった時期に行くことができたのも、ある意味で貴重な体験になったと感じています。

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