北アルプスの中でも河童橋から眺めることができ、代表的な山である穂高岳。最高峰は標高3,190mの奥穂高岳ですが、北穂高岳や前穂高岳など様々な峰があります。それらすべてが岩稜帯となっており、登山をする方でも慣れていないと危険な場所です。
今回は穂高岳から大キレットを経由し、槍ヶ岳を縦走するルートを2泊3日で歩きました。まずは1日目の上高地から重太郎新道を使い、奥穂高岳を登る記録について紹介していきます。
・大キレットを通る槍穂高縦走の1日目
・上高地からスタート
・岳沢小屋からの重太郎新道はつづら折の急勾配
・前穂から奥穂への吊り尾根はトラバースしていくので、想像より高度感が少ない
・宿泊地は穂高山荘でテント泊
ルート基本情報
行程
1日目 9時間31分 8.7㎞ 登り1,979m 下り496m 山頂まで410分
上高地【出発地】~岳沢小屋~重太郎新道~前穂高岳~吊尾根~奥穂高岳~穂高岳山荘【宿泊地】
ルート地図及び情報
下記をクリックするとYAMAPで地図や活動時間などの詳細な情報が見られます。
上高地から前・奥穂高岳を登る【百名山三十座目】 / bataoさんの前穂高岳・奥穂高岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ
ルート詳細情報
上高地
上高地は通年マイカー規制のため、自家用車ではたどり着けません。そのため、バスかタクシー(or徒歩)を利用することになります。今回は岐阜県側のあかんだな駐車場からシャトルバスに乗っていきます。
あかんだな駐車場は普通自動車で600円/日となっており、営業時間が4時00分~19時00分と、始発に乗るために前日夜に車中泊するには厳しい営業時間となっているため注意が必要です。
バス乗り場の建物の中に券売所があり、大人1人で片道1,180円ですが、往復券だと2,090円と片道2枚より270円安くなっています(往復券の有効期間は7日間)。始発便はシーズンによりますが、4時50分となっています。
ちなみに長野県側にはさわんど駐車場があり、多くの方はこちらを利用されますが、あかんだな駐車場の方が駐車料金、バス代ともに若干安くなっています。ただ、さわんどからあかんだなへは安房峠があり、峠道を通るか有料のトンネルを通るしかないため、無理にあかんだなへ行く必要はないでしょう。
バスは上高地バスターミナルで乗降します。すぐそばに登山相談所がありますので、登山届や登山情報を得ることができます。
まずは河童橋へ向かいます。バスターミナルからは梓川沿いの道と林の中を行く道の2通りあり、行きは川沿いを歩きます。ここからすでに穂高連峰が見えてきます。
上高地の代表的な観光スポットである河童橋です。始発できましたが、もう人がいます。
河童橋を渡って砂利道を進むと、自然探勝エリアの看板が出てきますので、ここを進んでいきます。
林の道沿いには、岳沢湿原があります。小さな湿原ではありますが、枯れ木や透き通った水、映える山で見ごたえがあります。
湿原の近くには明神池と岳沢小屋の分岐点があり、ここを過ぎると本格的な登山道となります。
岳沢小屋
登山道には石が敷き詰められており、段差も大き過ぎず歩きやすい道となっています。
道には番号が割り振られた看板があり、近づくにつれて番号が小さくなっていきます。
番号の看板には名所など一言添えられています。⑦天然クーラーの風穴では冷たい風が通り抜け、休憩場所には最適です。
⑥見晴台からは穂高連峰のジャンダルムが垣間見える場所です。
③石階段
②胸突き八丁、①小屋見峠と岳沢小屋に近づいてくるのが分かります。斜度はそれほど急ではありません。
小屋見峠から少し歩くと岳沢を渡る箇所があり、その先の林をちょっと登れば岳沢小屋です。
岳沢小屋は1泊2食で13,000円、素泊り9,000円と槍ヶ岳山荘グループ共通料金となっています。また、少し上にテント場があり、1人2,000円となっています。
小屋からは上高地方面の展望がよく、左手には霞沢岳、真ん中奥には乗鞍岳、右手の茶色が焼岳となっています。
小屋から前穂高岳へ向かいます。
再度岳沢を渡ると、テント場があり、約30張ほどの広さとなっています。ここから急勾配である重太郎新道の始まりです。
重太郎新道
つづら折りの道となりますが、斜度は決して緩やかではありません。道幅は狭く、段差が大きい足場が増えていきます。
よほど急なのか、下り一方通行の場所も。
長いはしごを登る場所があります。
鎖場もありますが、使わなくても登ることができるくらい緩やかで足場も豊富です。
森林限界を超えると、一気に視界が広がり、穂高連峰や明神岳を望めます。
登山道は岩を歩くところもあれば、石を敷き詰めて階段にしているところもあり、整備されています。
雷鳥広場はスペースがあり、休憩しやすい場所です。前に見えるは前穂高岳です。
前穂高岳を登った後に行く吊り尾根の全貌も見渡すことができます。ただ、奥穂高岳には雲がかかりつつあります。
狭く危険な場所には鎖が設置されているため、安全に進めます。ここまでくれば紀美子平はすぐそこになります。
前穂高岳取り付きの紀美子平に到着です。この場所の地名の由来は、今田重太郎氏という穂高山荘の建設、重太郎新道の開拓をされた方で、娘の紀美子を遊ばせていた場所から名づけられました。登山者の休憩場所となっており、目の前には西穂高岳から奥穂高岳までの稜線が連なっています。
前穂高岳
前穂高岳の山頂は紀美子平からピストンになりますので、ザックをデポして身軽な体で登っていきます。
岩稜帯を登っていくことになりますが、白色のペンキでマーキングしてあるので、それに沿って進んでいきます。
足場は岩しかないですが、注意しなければならない箇所は特にありませんでした。
明神岳から峰がつながっており、明神岳を登攀した方は前穂高岳へ登ってきます。
前穂高岳山頂に到着です。そこそこ平らなスペースがあるので、ある程度の人数は許容できます。
山頂からの北尾根方面。奥には西岳や大天井岳が見えます。涸沢方面は残念ながら雲が出ていました。
これから奥穂高岳へ向かうため、下山します。上から見るとかなり急に見えます。
紀美子平まで下り、奥穂高岳へ行くため吊り尾根を通ります。
吊り尾根
吊り尾根は岩山をトラバースしていきます。道は狭いですが、よく整備されており、歩きやすい道が続きます。
若干のアップダウンはありますが、斜度は急ではありません。
岳沢側をトラバースしていきますので、岳沢や梓川などを横目に見ながら進みます。
途中では反対側の涸沢を眺めるポイントがあります。常念岳から大天井岳までの稜線も分かります。
奥穂高岳に近づいてくると、斜度が増しガスに突入していきます。
吊り尾根での難所はこの鎖場でしょうか。足場が豊富にあるので、そこまで難儀することはありません。
最後は稜線を歩いていきます。
山頂に到着です。山頂には穂高神社の嶺宮が設置されています。
嶺宮のほかに、定番の展望図がありますが、残念ながらガスで周りの山々が見えません。
西穂高岳へ行く道で、一般ルート最難関といわれているジャンダルムへ向かう場所ですが、ガスでいまいち分からない状態です。
あまり展望がないので、本日のテント泊地である穂高岳山荘に下ります。
穂高岳山荘
下山の途中にピッケルが刺さった石柱が。登山者安全祈願と書かれていますが、有名なモニュメントなのでしょうか。
時間は14時30分を過ぎていましたが、有名な山ですので多くの登山者がいます。前はツアーのようで、道を譲っていただきました。
ガスの中から穂高岳山荘が見えてきます。と同時に鎖が出現し、ここが一番の難所でした。
足場に使うためのボルトが打ち込まれていたり
2連はしごもあります。慎重に下っていけば問題ない箇所です。
穂高岳山荘に到着です。多くの人がくつろいでいました。宿泊料金は1泊2食付で13,500円、素泊り9,500円です。テント泊は1人2,000円で、トイレと水が無料で使えます。
テント泊する場合は、受付する前にテント場を決めます。テント場には番号が割り振られているので、受付票に数字を書いて記入します。
最大で60か所ありますが、一か所毎のテント場は狭くなっていて、今回使用したテントでは狭く、一回場所を変えてもらいました。
テント泊でトイレだけでなく、標高3,000mの稜線で水を無料で使えるのはうれしい限りです。天命水と呼ばれる水ですが、近くの水源から引っ張ってきているようです。
穂高山荘内には休憩スペースと売店があり、売店の営業時間は4時30分~19時30分までとなっています。
せっかくなので、500mlの缶ビールを購入しました。1本800円と通常の値段の約4倍ほどですが、それほどの価値がこの高所ではあります。
テント場からは唐沢カールから前穂高岳の北尾根、奥には常念岳や蝶ヶ岳
が見えます。
夕方になると雲が晴れて奥穂高岳やジャンダルムが姿を見せてくれました。
明日はまず涸沢だけに登り、北穂高岳、大キレットを経て槍ヶ岳を目指すハードな一日になりますので、まったりしながら就寝につきます。
夜には雲が残っていますが、星が見えました。
続きは別の記事で紹介します。
この登山を振り返って
多くの登山者が憧れる北アルプスの奥穂高岳は、山頂に行った時にはガスに包まれていましたが、上高地から見た景色や岳沢からの景色は、岩に染まった厳かな山というイメージでした。
上高地は観光地として大変有名な場所で、河童橋からの景色や自然探勝の道は登山者でなくても行けておススメです。重太郎新道は急勾配ということは耳にしていましたが、つづら折りでもあれだけ急な道だとは思いませんでした。疲れた体で下る場合は気を付けなければならない場所です。吊り尾根は思っていたより優しい道です。たしかに転倒などで岳沢側に落ちると、命の危険がありますが、落石の危険がある場所はほとんどないため、注意して歩けば問題ありません。
全体で見れば、歩いた距離は短いですが、岩稜帯や急勾配な道があり、時間はそれなりにかかってしまいましたが、2泊3日の初日なので、概ね想定通りのペースです。奥穂高岳に登るだけなら涸沢からザイテングラードだと思いますが、それだけでは勿体ないと思い今回のルートを選択しました。
2泊3日の2,3日目もぜひご覧ください。
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