霧の中を別山から白山へ縦走し白山禅定道で下る【百名山三十二座目】

登山
登山百名山

日本百名山の著者である深田久弥氏のふるさとの山である白山。標高2,000mを超える山としては、日本最西端に位置しています。また、石川県の豪雪地帯であるため、名の通り年の半分は白色に染まっています。

今回はメジャーなルートである砂防新道は通らず、市ノ瀬から別山へ登り、稜線を歩いて白山に1泊2日で登っていく周回ルートを使用しました。

・スタート&ゴールは市ノ瀬
・宿泊地は南竜ヶ馬場野営場でテント泊
・室堂と南竜ヶ馬場野営場のトイレは新しく下手な公共トイレより綺麗
・別山からの白山を眺めながら歩く稜線が見所(今回はガスで真っ白)
・観光新道から分岐する白山禅定道はあまり手が加えられておらずワイルドな道

2022年8月に行ってきた写真と登山データを掲載しています。
最新の登山道情報は自治体等でご確認ください。

ルート基本情報

行程

1日目 13.4㎞ 7時間51分 上り1,898m 下り644m

市ノ瀬【出発地】~チブリ尾根避難小屋~別山~南竜ヶ馬場野営場【宿泊地】

2日目 13.7㎞ 7時間54分 上り760m 下り2,018m

南竜ヶ馬場野営場【出発地】~トンビ岩~室堂~白山~室堂~弥陀ヶ原~観光新道~白山禅定道~市ノ瀬【到着地】

ルート地図及び情報

下記をクリックするとYAMAP地図活動時間などの詳細な情報が見られます。

ガスの中、別山から白山を縦走する【百名山三十二座目】 / bataoさんの別山白山御舎利山の活動データ | YAMAP / ヤマップ

ルート詳細情報

1日目

市ノ瀬

スタート地点は市ノ瀬ビジターセンター前から。管理棟とトイレがあり、野営場もあるので、キャンプで前泊可能です。駐車台数は750台です。

夏山シーズンの休日はマイカー規制があり、別当出会までは通行規制のため、こちらで駐車することになります。別当出会までシャトルバスができています。

別山へは道路の分岐を登っていきます。

この道はずっと工事をしている印象。

工事車両に登山者がいることを知らせるランプがありますので、とりあえず押しておきましょう。

舗装路を進んでいくと、川を渡った先に別山への標識があるので、草が生い茂った道を歩くことになります。

途中道路を横断しながら進みます。

登山者測定器や外来生物用のマットが出てくると、猿壁登山口に到着です。ここから登山道開始です。

チブリ尾根避難小屋

登りやすい勾配が続きます。標識が点在しており、距離が記載されているので、進捗状況の目安になります。

何度か川が流れている場所を渡りますが、水量は少ないので特に気にする必要はありません。

チブリ尾根ルートでは最後の水場があり、標識から少し歩くと沢があります。

標高1,800mを超えてくると、景色が開けます。避難小屋が近づいてきた証拠です。

勾配がない道を歩いていると、チブリ尾根避難小屋は突然現れます。周りに木々がなく、見晴らしの良い場所…ですがこの時はガスに包まれています。

避難小屋内は休憩スペースとトイレがあります。トイレは汲み取り式で、紙がないため自前で用意する必要があります

小屋の近くには池?水たまり?

避難小屋以降はガスに突入することになります。

標高を上げるにつれて勾配が増していきますが、つづら折りの道になっているため、登る分にはそこまでキツさは感じません。

つづら折りが終わるとハイマツ帯になり、山頂までもう一息です。

少し開けた場所が御舎利山山頂です。

少し下るれば別山と白山の分岐になります。別山へは500mしかないため、ここにザックをデポして別山を目指します。

別山

道中には岩室。風よけには使えそうです。

白山国立公園の景色が広がる稜線ですが、辺りは真っ白。

こんな時は足もとに楽しみを向けるしかありません。高山植物は少し時期を外している感はありますが、まだまだ見ることができます。

別山山頂に到着です。

山頂からさらに三ノ峰などへ繋がっています。

引き返して白山方面へ行く稜線を歩んでいきます。こちらも高山植物が多く咲いています。

地形の関係か雲が少ない所もありましたが、依然ガスの中を通ります。

池がぽつぽつと。

藪などが生い茂った場所があり、快適な稜線歩きとはなりません。

崖のような場所がありますが、通行することに支障はありません。この辺りは大屏風と呼ばれる場所です。

油坂を下り始めると、雲から今日の宿泊地である南竜ヶ馬場が見えました。ただ、高度を下げてからの登り返しが待っています。

南竜ヶ馬場野営場

最低部では沢が流れており、ここで水分補給ができますが、野営場に水があるのであまり利用することはないでしょう。

きつい登り返しが終わると、広大な湿原に木道が南竜ヶ馬場まで伸びています。

南竜ヶ馬場野営場に到着です。テント場は点在していますが、すべて含めると100張は張れそうなくらい広い場所です。また、1棟14,000円のケビンもあります。

コロナ対策のため、受付は無人となっています。1人800円と受付票を封筒に入れて受付ボックスに投入します。受付棟は水場を兼ねており、飲水可能です。

トイレは新しく建築されており、全国の山小屋でも屈指の綺麗なトイレとなっていました。

売店がある南竜山荘は小川を挟んで少し離れています。

南竜山荘は1泊2食11,100円、素泊り8,000円です。

売店ではお酒やお菓子などが山小屋価格で販売されています。

南竜ヶ馬場では多くの花が咲いているため散歩に最適です。一時晴れ間がありましたが、時が経つにつれ霧が立ち込めてきました。

2日目

トンビ岩

真っ暗ですが、ガスが無ければ空が明るくなってくる時間です。

晴れていれば、北アルプスをみるため展望歩道に行く予定でしたが、ガスのためトンビ岩コースで室堂を目指します。

登山道は岩がゴロゴロしているところがあり、時折歩きにくい場所があります。

トンビ岩は名の通りとげとげした岩で、何かが飛び出してきそうな勢いです。それほど大きくない岩ですが、晴れていれば良い目印になります。

トンビ岩からはハイマツ帯になります。道幅は狭くハイマツに付着している水に触れてしまいます。ハイマツ帯を抜けると遮るものがない場所を少し歩きます。

室堂

霧の中から室堂が現れます。収容人数750人の大型山小屋です。素泊り8,200円から、テレビやコインシャワー完備の完全個室まで多くのお部屋があります。

屋外にはベンチと椅子が設置されていますが閑散としてます。

また、無料の水場があり、そのまま飲水可能です。

トイレは南竜ヶ馬場と同じく新築されており、こちらはさらに水洗機能付となっており、ここまでのトイレは全国の山小屋でも見ることはできないでしょう。

室堂前には白山奥宮の鳥居と祈祷殿があります。

室堂にザックをデポして山頂の御前峰を目指します。

白山

山頂まではよく整備された石階段を登っていきます。

登り初めには高山植物が出迎えてくれます。

4割ほど進むと仏さまが彫られた大きな岩の青石、6割ほど進むと広場の高天原があります。

山頂はまず始めに白山奥宮を通ると、

白山山頂御前峰の標識にたどり着きます。ガスだけでなく風も強かったため、お池めぐりはあきらめて帰路につきます。

奥宮の近くには山頂恒例の方位版がありますが、辺りは真っ白で10m先も見えません。

室堂まで下りて中に入ります。登山情報や郵便局、売店などがあります。

名残惜しいですが室堂を後にして下山します。

弥陀ヶ原

まずは五葉坂を下ります。岩がゴロゴロしているため、少し歩きにくい道です。

下り終えると弥陀ヶ原です。エコーラインと黒ボコ岩の分岐になります。今回は黒ボコ岩へ向かいます。

平坦な場所に木道が設置されていますので、とても歩きやすい道です。

弥陀ヶ原を過ぎると、今度は黒ボコ岩があり、砂防新道と観光新道の分岐点です。

メジャールートは砂防新道ですが、市ノ瀬まで登山道で降りるため、観光新道を進みます。

観光新道

少し歩くと千匹の蛇を埋めた場所といわれる蛇塚があります。

少し急勾配になり、植物が咲き乱れる場所がうまのたてがみです。

お花畑が続き、池が見えると殿ヶ池避難小屋です。中は休憩スペースとトイレがあります。

七ツ坂の標識あたりから尾根歩きになり、雲が無ければ景色が良い道です。

標高を下げて雲を抜けたのか、下まで見えるようになりました。

こんな感じの尾根道です。小さなアップダウンばかりで高度があまり下がりません。

途中にある岩くぐり。結構幅があります。

階段が出てくると、ぐっと高度を下げていきます。

白山禅定道と別当出会の分岐です。白山禅定道を進みますが、見るからに藪で道が覆われています。ちなみに別当出会いまでの坂はかなり急坂ですので、個人的には登りで使いたい道です。

白山禅定道

初めから生い茂った道を行きます。踏み跡はあるので、ルートロスする心配はありません。

平坦で木道がでてくる場所は慶松平です。木道歩きはすぐに終わります。

倒木が道を塞いでいることは何回かあります。道に対して横に倒れているものもあれば、この写真のように縦に倒れてぱっと見道が分からなくなっている場所もあります。

細尾根を進んでいくためか、たまに視界が開ける場所があります。よく見ると別当出会にかかる橋が見えます。

木でできた階段が連続して出てくる場所があり、細尾根でもあるため慎重に下ります。

大きな岩のそばも通っていきます。

こうしてみると急な崖になっていることが分かります。

上り道が続くと指尾山が近い証拠です。山頂には少しだけスペースがあります。

昔ながらの道だけあって苔が多く古道の雰囲気が漂っています。

六万山山頂です。山頂っぽくない場所です。

六万山を通り過ぎると、急坂である梯子坂を下りていくことになります。つづら折りや階段で高度を下げていきます。

ここでも倒木が道を大きく塞いでいます。

梯子坂を通過すると林道を渡る場所があります。右に進むと釈迦新道となり、現在通行止めとなっているので注意が必要です。

あとは緩やかな林の道を下っていきます。放置?された機械が見えると出口まであと少しです。

車道に出ることができました。ここからは車道を歩いて下ります。

車が通る橋は渡らず、

少し下った場所にある橋を渡ると、駐車場とつながっています。

ようやくゴールである市ノ瀬に到着しました。

この登山を振り返って

天気が良い時ならこの写真のように、別山の稜線は素晴らしい景色です。シーズン中のマイカー規制により、市ノ瀬で駐車しなければならないため、時間に余裕があったり、健脚な方はこの周回コースをお勧めします。特に白山禅定道は人と会うことがほとんどないルートで、ワイルドな道を堪能できます。

白山への他の登りやすいルートは砂防新道になります。よく使われるルートのため、登山道は整備が行き届いていますし、休憩所や避難小屋が充実しています。また、水場が多い山ですので、水分補給には困らないでしょう。

ほかにも岐阜県側からの平瀬道や福井県側からの美濃禅定道、長距離の道のりで人も少ない北縦走路や楽々新道など、登山道が豊富で飽きません。急峻な場所を通るルートはほとんどないため、危険な場所は少なめです。ただ、登山道上に雪が7月まで残ることもあるので、事前に情報を収集していくことが望ましいでしょう。

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