読売新道を登り水晶岳や鷲羽岳を通って西銀座ダイヤモンドを行く『北アルプス奥地縦走②』【百名山三十四~六座目】

登山
登山百名山

今回の記事は折立から縦走して周回する3泊4日の3日目と4日目です。3日目は奥黒部ヒュッテをスタートし、長距離の読売新道を登って、水晶岳、鷲羽岳をピークハントして三俣山荘でテント泊です。4日目は、黒部五郎岳を経由して折立へ下山する西銀座ダイヤモンドコースを歩きました。

1日目と2日目の記事はこちら↓

・この記事は3泊4日の3日目と4日目
・奥黒部ヒュッテからスタート
・読売新道は細尾根で木の根や岩が足場となり、段差が大きい箇所もあって歩きづらい
・赤牛岳からは稜線歩きで、次の小屋は水晶小屋
・温泉沢ノ頭でライチョウ8羽と出会った直後に晴れて北アルプスを望むことができた
・西銀座ダイヤモンドはゆったりした稜線だが、藪や草で登山道が隠れるほどになっている個所がある
・宿泊地は三俣山荘でテント泊

2022年8月に行ってきた写真と登山データを掲載しています。
最新の登山道情報は自治体等でご確認ください。

ルート基本情報

行程

3日目 12時間14分 15.6㎞ 上り2,128m 下り1,070m

奥黒部ヒュッテ【出発地】~読売新道~赤牛岳~水晶岳~鷲羽岳~三俣山荘【宿泊地】

4日目 11時間12分 23.2㎞ 上り1,279m 下り2,477m
三俣山荘【出発地】~三俣蓮華岳~黒部五郎岳~赤木岳~北ノ俣岳~太郎平小屋~折立【到着地】

ルート地図及び情報

下記をクリックするとYAMAP地図活動時間などの詳細な情報が見られます。

折立〜スゴ乗越〜奥黒部ヒュッテ〜読売新道〜三俣山荘〜西銀座ダイヤモンド〜折立【百名山三十三〜六】 / bataoさんの越中沢岳北ノ俣岳(上ノ岳)赤牛岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ

ルート詳細情報

3日目

読売新道

今日も長丁場となるため、夜明け前からスタートです。奥黒部ヒュッテ前に読売新道への案内目印があります。

赤牛岳までの目印として、〇/8という標識があります。この数字をモチベーションとして登っていきます。

所々にルートの案内目印があります。この時はそのまままっすぐ行ってしまいましたが、何とか通ることができました。

危険な個所には鎖が設置してあったり、

登りづらいところにはロープが設置してあります。岩と岩の狭い間を登る箇所で、こういった場所が何か所かあるため、疲労が蓄積していきます。

2/8標識は消えていたので木にペイントされています。

3/8標識を過ぎていくと空も明るくなってきますが、道には草や藪が生い茂っており、朝露や昨日の雨で濡れているため、服や靴がぐちょぐちょになっていきます…

4/8標識の場所は少し開けた場所となり、休憩スペースとして最適です。

森林限界を超えた感はありますが、相変わらず草が登山道まではみ出ているため、げんなりしながら歩きます。

5/8を過ぎるとようやく稜線にたどり着くことができます。

赤牛岳

6/8からは稜線歩きとなりましたが、残念ながらガスの中を歩く羽目になります。なお、これ以降の標識は見かけませんでした。

岩を登ったりする個所もありますが、基本的には歩きやすい稜線です。

赤牛岳は外側から見てもわかる通り、赤茶色の肌が見えた山頂です。そのため、山頂に近づいてくると足場が土になります。崩落しているような危険個所はロープが補助として設置されています

赤牛岳山頂です。広いスペースがあり、多くの人が来ても問題ないですが、そんなに人が来ることはない山です。

風があり寒いので、あまり休憩せずに水晶岳へ向かいます。

今までのような細尾根ではなく、広い道になりますが、ガスで視界がないため迷いそうな場所です。

ゴロゴロした岩の道を進むこともあります。

ペイントでマークされていますが、目立つ色ではないため、それっぽいふみ跡を頼りに進みます。

下の方は雲がないようですが、相変わらず稜線上はガスのままです。

ガスの中を歩いていると、温泉沢ノ頭手前くらいでライチョウと遭遇しました。しかも数えてみると8羽ほど。これほどまでの数に一場面で出会うことはなかったため驚きました。

高天原温泉から登ってくる温泉沢との合流地点である温泉沢ノ頭に到着です。着いた途端視界が開けてきました。

温泉沢の道と高天原山荘が下に見えます。また、奥には頭が隠れていますが、歩いてきた薬師岳がどんと写ります。

南西を望めば、真ん中の台地は雲ノ平、奥のカール状の山は黒部五郎岳です。また、西に延びている稜線が4日目に歩く西銀座ダイヤモンドです。

そして今から向かう水晶岳は、少し雲に覆われていますが徐々に全貌が明らかになってきています。

水晶岳

下に目を向けると大きな湖があります。水晶池で、岩苔乗越から高天原へ向かうときにそばへ寄ることができます。

裏銀座も見えてきました。白っぽいのは野口五郎岳でしょうか。

水晶岳への稜線は細い道で思っていたよりアップダウンがあります。水晶岳は黒岳とも呼ばれていて、近づくと改めて黒さを実感します。双耳峰のため、まずは北峰に登ります。

北峰から見る南峰です。南峰の方が高いことが分かります。

水晶岳山頂に到着です。左にはこれから登る鷲羽岳の稜線が見えます。そしてその先には三俣蓮華岳、黒部五郎岳とつながっていることが目で見ることができます。

水晶岳から推奨小屋までの道は、岩場や梯子が最初の方にありますが、後半は稜線を歩いていくだけとなります。

水晶小屋の上には目新しい仏様が。

裏銀座との合流点水晶小屋に着きました。晴れていましたが、再び雲が覆いかぶさってきました。

裏銀座コースの稜線。色合いでなかなかえぐそうな道に見えます。

お昼休憩をはさんだ後、疲れていますが百名山の一つ、鷲羽岳に向かいます。

鷲羽岳

鷲羽岳へはワリモ岳を通った先にあります。雲行きはだいぶ怪しくなってきました。

岩苔乗越との分岐まではゆったりした道になっています。

分岐点です。三俣山荘までは、岩苔乗越経由で黒部源流に下っていくルートの方が早く着きます。また、祖父岳を通り雲ノ平へ行く道もあります。

ワリモ岳へは分岐点からすぐに到着します。

ワリモ岳山頂です。登山道上は山頂へ足を踏み入れることはありません。

ワリモ岳から鷲羽岳へ行くために、少し高度感のある場所を通る必要があります。補助ロープがありますので、それにつかまっていけば安心です。

少し下った後に鷲羽岳目指して登ります。勾配は特にきついということはありませんでした。

黒部源流ルートを望みます。あちらの方が三俣山荘間での時間は短いです。

ゆったり登っているうちに鷲羽岳山頂に着きました。真っ白な景色ではなかっただけありがたいです。

鷲羽岳といえば山頂から鷲羽池を覗き奥に槍ヶ岳が映る場所が有名ですが、今回は槍ヶ岳が隠れています。北鎌尾根と硫黄尾根は視界に映ります。

宿泊場所である三俣山荘まで落ちていきます。この下りは急で足場ももろいので、けがをしないスピードで進みます。途中からはつづら折りになり、距離は長くなりますが勾配は緩くなります。

三俣山荘

鷲羽岳を下りきった後の道に目新しい標識ができていました。伊藤新道行の標識です。伊藤新道は、三俣山荘や雲ノ平山荘を建設するために開かれた道です。当時はメジャーな登山道だったようですが、川を渡る吊り橋が落ちたり、そもそも湯俣山荘までのアクセスが高瀬ダムにより悪くなったこと等で廃道となっていました。現在は再開通したようです。

少し進んでハイマツ帯の中から三俣山荘が出現しました。ここで受付を済ませます。1泊2食で13,000円、素泊り9,000円です。(時期や曜日によって1,000円前後変動します)

施設内には北アルプスの登山情報が載っています。

玄関前には無料の湧水があります。

テント場は山荘から三俣蓮華岳へ向かったところにあり、小川沿いに複数個所あります。80張ほどの大きさで、お盆やシルバーウィークは予約が必要です。今回は鷲羽岳を望める静かな場所にしました。

4日目

三俣蓮華岳

天候が悪化することは分かっていたので、早朝に出たのですが、結局雨にあってしまいました。暗闇の中登っていくと、双六小屋薪道との分岐点である三俣峠に着きます。ここから山頂までは短い距離です。

三俣蓮華岳山頂です。暗くて寒いのでどんどん進みます。黒部五郎岳へ行くため下っていきます。雨で道が川になっていたりしましたが、特別急である個所はありませんでした。

三俣山荘からの巻道との合流点です。ここからは勾配がいったん緩くなります。

黒部五郎小舎に近づいてくると、急な下りになってきます。また、道を流れる雨水の量が増えていきました。

黒部五郎岳

黒部五郎小舎に着いた頃には空が明るくなってきました。ここでは水の補給とエネルギー補給をして出発します。

玄関前にあるテーブルは喫茶利用時以外使用できません。また、水は無料で施設の裏側にある外トイレ入口にあります。

雨は霧になりましたが、視界は悪いままです。林の中を進んでいきますが、次第に雄大なカールの中を進むことが分かるようになります(天気が良ければ)。

高山植物の時期がずれているので、チングルマの綿毛ばかり目にします。

カール内にはゴロゴロした岩が。その中の割れた岩が雷岩です。

小さな川ですが渡る場面があります。所々ルートの目印があり、それに従っていけば問題ありません。前回通った時は、枯れ沢を歩いてしまい、ルートロスしたことがあります。

カール内から抜ける際には、急登のつづら折りになっています。

急登を抜けると稜線を歩く道となり、黒部五郎の肩に到着します。ここは山頂と太郎平への道の分岐点で、山頂までは往復25分程度なので、ここでザックをデポして山頂へ向かいます。

ゴロゴロした岩を登っていくと黒部五郎岳山頂に着きました。天気が良ければカールを覗くことができるのですが…視界不良のため肩に下っていきます。

肩から太郎平を目指して、まずは下っていきます。急ですがつづら折りの道であるため、道の勾配はそれほどでもありません。

赤木岳

下りきるとハイマツ帯などが道となるのですが、藪が生い茂り過ぎて道がほとんどわからない状態です。草に露が附着しているため、そのたびに濡れてしまいます。風は南西からなので、道によっては風を防いでくれるのですが、直接あたると濡れた個所が冷えていくのが分かります。

赤木岳の山頂といっていいのでしょうか。標識はこれくらいです。近くに岩場があるのですが、そのてっぺんには祠がありました。

北ノ俣岳

赤木岳から北ノ俣岳までは遠くなく、ゆったりした道です。その中でライチョウが2羽いました。この天候はライチョウにとって絶好の外出日和ですね。

北ノ俣岳山頂には標識とケルンがある広いスペースです。標識には謎の人物が張り付けられており、何を暗示しているのでしょうか。

太郎平までは地味に長い距離を歩きます。木道が道中に何回も出てきます。

途中には神岡新道との分岐点があります。黒部五郎岳へ行くだけならこの道が最も近いといわれていますが、道が泥で人気は高くありません。

この後はまたライチョウに遭遇しました。しかも2回。登山道に堂々と立っていたため、追いかける形で別れを告げました。

太郎平

登山道は浮石ばかりのところがあり、転倒に注意しながら歩いていきます。

池塘が複数ある湿原を横目に見ながら過ぎていきます。

えぐれた箇所がありますが、隣の木道を歩きます。

太郎山山頂はすぐそこのようですが、天気が良くなくヘロヘロのため、飛ばしていきます。

太郎山が見えたということは、太郎平小屋はすぐそこです。

標高を下げてきたこともあってか、少し晴れてきました。

小屋前で大休憩を取り、折立への長い下山が始まります。どうもこの辺りは雨にそこまで当たっていなかったようで、登ってくる登山者でレインウェアを着用している人はいませんでした。

折立

雨で体力を奪われたため、休み休み下っていきます。標高を下げていくため、温度も上がっていくのが厄介です。

ようやく折立へ到着しました。ここからは車の運転が待っているのですが。

三俣山荘から黒部五郎岳への西銀座ダイヤモンドを晴れた日に歩いた記録はこちら↓

この登山を振り返って

折立から周回コースの3日目と4日目でした。読売新道は噂通りお世辞にも歩きやすいコースではありません。稜線に出るまでも長いので、下りで利用する方が多いのは納得がいきます。ただ、赤牛岳以降の稜線は天気が良ければ裏銀座や薬師岳などの絶景があったと思うと残念です。

水晶岳以降は一度通ったことのある道です。特に難しいところもなく、北アルプス奥地の山々を眺めながら歩ける贅沢な道です。4日目は天候不良のため、展望が全くありませんでしたが、そこに関しては依然歩いた記事を見てもらえたら、どのような景色か分かるはずです。

今回の山行全体でみると、重荷のわりに無茶してしまったなと、体の悲鳴を感じながら思いました。特に左鎖骨辺りは少し伸ばすとしびれが出るようになってしまいました。左のショルダーにカメラを装着していたため、バランスが崩れて負荷がかかってしまったのだと推測しています。以降はもう少しゆったりできるコース計画を考えて山に入っていきたいと思います。

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