涸沢岳から北穂高岳と大キレットを経て槍ヶ岳に登る『槍穂高縦走②』【百名山三十一座目】

登山
登山百名山

山に登る人なら富士山の次に有名であろう槍ヶ岳。特徴的な槍の穂先は「日本のマッターホルン」とも称されます。

今回は槍穂高縦走の2日目と3日目の記録です。穂高山荘から涸沢岳に登り、北穂高岳、そして大キレットを経由して槍ヶ岳に登ります。

・大キレットを通る槍穂高縦走の1日目
・2日目スタートは穂高岳山荘、3日目ゴールが上高地
・宿泊地は槍ヶ岳山荘でテント泊
・難所は涸沢岳→北穂高岳と大キレットの2か所
・槍ヶ岳から上高地までの長い道のりは最後の苦行

2022年8月に行ってきた写真と登山データを掲載しています。
最新の登山道情報は自治体等でご確認ください。

1日目の記事はこちら!

ルート基本情報

行程

2日目 7.5㎞ 11時間53分 上り1,133m 下り1,049m

穂高岳山荘【出発地】~涸沢岳~北穂高岳~大キレット~南岳小屋~中岳~槍ヶ岳山荘【宿泊地】

3日目 20.2㎞ 6時間12分 上り400m 下り1,975m

槍ヶ岳山荘【出発地】~槍沢ロッヂ~上高地【到着地】

ルート地図及び情報

下記をクリックするとYAMAP地図活動時間などの詳細な情報が見られます。

涸沢岳から大キレットを進み槍ヶ岳に登る【百名山三十一座目】 / bataoさんの大喰岳南岳北穂高岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ

ルート詳細情報

2日目

涸沢岳

早朝の天気は良好、朝焼けを見ながら穂高山荘から涸沢岳に登ります。

最初に目指すべき涸沢岳は20分ほどで山頂に到着します。岩場を歩いていきますが、難儀する足場ではありません。

日の出に間に合わせるため駆け足で山頂に登りました。

何とか日の出に間に合い、今から行く道である北穂高岳や大キレット、槍ヶ岳のすべてを見渡せます。

綺麗な朝焼けなので様々な景色を撮っています。奥穂高岳方面

北穂高岳の奥には富士山がひょっこり出ています。

日の出を堪能した後、北穂高岳に向かいます。

冬季に使われる西尾根が伸びていますが、マーキングのある所から下降していきます。

北穂高岳

下降地点は鎖が設置されており、急な場所です。

その後もガレたところを下っていきます。遠くには今日の目的地である槍ヶ岳や、難所の大キレットが視界に入ってきます。

はしごを設置している箇所もあり、急な場所を下っていることが分かります。

振り返るとかなり急な所を下降してきました。

ぼちぼち最低コルを迎えて登りに入ります。

奥壁バンドは鎖などの補助するものが設置されていないので、慎重に進みます。

壁のような場所も登ります。

すると北穂高岳がかなり近づいてきました。

北穂高岳南峰には途中に小さな案内看板があるので、ここから30mほどの所に山頂があります。

南峰の山頂です。槍ヶ岳まで一直線のように見えますが、激しいアップダウンが待ち構えています。

北峰には直接行けないため、来た道を戻ります。

下っていくと涸沢への分岐点が途中であります。

再度登り返しで北穂高岳北峰に到着です。

目の前には常念岳や蝶ヶ岳が構えています。

さっき通ってきた涸沢岳や奥穂高岳、左側に伸びるは吊り尾根に前穂高岳。

左には笠ヶ岳、右奥には薬師岳の姿まで。

北峰のすぐ下には北穂高小屋があります。

売店やトイレなどがあります。

休憩できるスペースがあり、ここで一息付けます。

小屋の脇から大キレットへつながる道があります。

大キレット

南岳山荘までの長丁場が始まります。

早速標高をガクッと落とすため、急勾配を降りていきます。ざれている場所もあり、鎖が設置されています。

ある程度高度を下げると、トラバース気味に歩いていきます。すると切れ落ちた場所を歩いていくことになります。

ここには展望台があり、

北穂高岳や滝谷を眺める場所となっています。

おそらくこの辺りが飛騨泣きと呼ばれる場所でしょうか。飛騨(滝谷)側に落ちると助からないという場所です。写真の場所は鎖がありますが、浮石だらけで落石を誘発しかねない場所でした。

下りて一息ついた場所から振り返った場面。

その後も急な下降が続きます。

鎖が付いているのは当たり前で、足場を確保するための補助具もあります。

飛騨泣きを過ぎてもガンガン高度を下げていきます。

すると少し広いスペースが出てきます。A沢のコルです。ここから長谷川ピークまで登り返しです。

長谷川ピークは大キレットの間で少し出っ張っているところです。長谷川さんが滑落しましたが、救助された場所であることが名称の由来です。細尾根を歩いていきます。

長谷川ピークからみた笠ヶ岳。割と座っていられるくらいの岩場です。

今度は南岳方面。まだまだ距離がありますが、ここからは危険個所も少ない稜線歩きです。

さて、最後の急勾配な登りの場所です。

鎖場やはしごが設置されている箇所がありますが、危険個所はありません。

大きい岩場の横を登りきると

広場に出ます。すぐ下に南岳小屋がありますが、先に大キレットを展望できる獅子鼻に向かいます。

獅子鼻と大キレット。こうしてみるとやはり北穂高岳からの下降が大キレットの核心部でした。

南岳小屋に下ります。左手の槍平から登ってくるルートとの合流地点でもあります。

南岳小屋では小屋泊のほかにテント泊も可能です。

大休憩をとって南岳山頂へ。常念平というところには1分で着くそうです。

南岳山頂に到着。ここから槍ヶ岳まで稜線歩きとなります。

中岳

南岳から徐々に高度を下げながら歩くため、その間は気持ちよく歩けます。

途中には天狗原への分岐。槍沢へ下るルートです。

ヒュッテ大槍や殺生ヒュッテを横目に見ながら。ヒュッテ大槍から槍ヶ岳までのルートは、地震により崩落していましたが、今は修復されているみたいです。

鞍部まで来ました。広い場所ですが、幕営禁止の看板が立っています。

中岳やさらに奥の大喰岳を登っていかなければなりません。

道は整備されており、危険個所もありません。

看板の文字がかなり薄れていますが、中岳山頂の標識です。

山頂はかなり広く平らな場所です。

中岳から下る場所は、稜線唯一といっていいほどの急な下りです。鎖やはしごが設置されています。

岩に槍ヶ岳までの距離が示されており、思っていたより距離があることに肩を落としました。

さて、今度は大喰岳までの登り。この時は大喰岳まで登れば、あとは平坦か緩やかに下るくらいと思っていました。

大喰岳山頂に到着です。槍ヶ岳まで思っていたより距離があります。

山頂ではキャンプ禁止の看板があり、周りにはケルンのような状態が多くあります。

大喰岳山頂から飛騨乗越へ下り、その後登り返しです。少し心が折れた場面です。

槍ヶ岳

飛騨乗越の奥には西鎌尾根が見えます。

飛騨乗越です。槍平方面へ下る際はここから下ります。

最後の登りを歩いていくと、まずはテント場につきます。

テント場からは大喰岳と笠ヶ岳がよく見える場所ですが、槍ヶ岳の展望はありませんでした。

テント場から槍ヶ岳山荘までの距離は100m以上あります。

外部トイレはこじんまりとしており、手洗い用の水はありません。

山荘前は休憩スペース兼展望場所となっており、多くの方が利用されます。写真を撮った時は18時30分くらいのため、人がまばらでした。

槍ヶ岳山荘でまずはテント場の受付を行います。前日の穂高岳山荘と同じく先に希望するテントの場所を確保していくものと思っていましたが…宿泊料金は1泊2食で13,000円、素泊り9,000円、テント泊1人2,000円です。残念ながらテント泊する場合も水は有料で、1L200円で販売されています。

コロナ対策や受付に関する掲示板。

中に自販機があり、こちらでお酒やソフトドリンクを購入できます。

売店と受付票。テント泊する際は受付票を事前に記入し、幕営場所は従業員が指定します。そのため、テントの大きさ(何人用のテントか)を聞かれます。

テントの設営を終えたので、槍ヶ岳の山頂を目指します。ほとんどの人はザックを山荘前にデポしていきます。この日はガスがかかったり抜けたりと安定しませんでした。登りと下りでルートが違いますので、マーキングに従って進みます。

登りのルートでは小槍の姿を近くで見ることができます。ここで踊るのは相当のバランス感覚が必要でしょう。

急に見えますが、ホールドする場所やはしご、ボルトによる足場があるため思ったより簡単に登れます。

槍ヶ岳名物の渋滞。ですが日時の関係でそれほど混みあいませんでした。ひどい時には2時間待ちもあるとか。

最後の2連はしごです。ここも登り(左)と下り(右)で分かれています。

山頂に到着です。あまり広くはない場所です。山荘から15分ほどで登れました。

山荘の全景がよく見えます。

表銀座ルートや東鎌尾根。穂高岳から大分近づきました。

山頂は人が多いので、先に下っていきます。下りは恐怖感を感じるのか、かなり混雑しやすいです。

道が狭いので追い抜かすことはできません。ゆっくり進みましょう。急ぎすぎると落石を誘発してしまいます。

夕焼けを楽しみにしていましたが、残念ながらガスでよい景色が現れませんでした。

夜景も狙っていましたが、薄い雲が高層にかかっていて、天の川をとることは叶いませんでした。暴風の中テントで無理やり就寝します。

3日目

槍沢

早朝は雲がありながらも、朝焼けシーンを拝むことができました。ただ、天気は崩れていく予報なので、日の出と同時に上高地へ下山していきます。

まずは殺生ヒュッテを目指し下っていきます。

槍沢と東鎌尾根への分岐は槍沢を選びます。

道自体はつづら折りで、非常に整備された歩きやすい道です。

下から突き上げるような槍が最も迫力あるかもしれません。

殺生ヒュッテでもテント泊をすることができます。ハイシーズンには槍ヶ岳山荘が満杯となるため、ここまで下りてくることもあるそうです。

同じく下っているツアーに追いついてしまいましたが、道を譲っていただきます。

この時間には槍の穂先が雲で見えなくなっていました。

少し広い場所に出ると、播隆窟に到着します。播隆上人が登頂する際、利用した岩屋です。中に入れないこともないですが、殺生ヒュッテまで行ったほうが確実でしょう。

高度を下げていくと徐々にハイマツなどの緑が増えてきます。滑落注意とありましたが、槍沢をトラバースする場所で、そんなに危険には感じませんでした。

槍沢でも水を汲めないことはない水量ですが、少し下った先に水沢があり、ここが槍ヶ岳への最終水くみ場になります。水を購入しないためにはここで汲んでいきます。

あとはひたすら槍沢沿いを下っていくだけです。

振り返ると槍ヶ岳は雲に覆われてしまいましたが、上高地方面は青空が残っています。

水俣乗越へ行く分岐点の槍沢大曲りです。この辺りまでくれば斜度はあまりなく、だらだらとした道がずっと続きます。

道中には大岩沢赤岩沢などがあります。

まずはババ平キャンプ場に到着です。ここを利用するには槍沢ロッヂで受付する必要があります。幕営数は60張で、1人2,000円になります。トイレと水場はありますが、売店は槍沢ロッヂ魔で行く必要があります。

ババ平から20分ほどで槍沢ロッヂに到着します。ここでも宿泊することが可能で、槍ヶ岳山荘と同じ系列店なので、1泊2食13,000円、素泊り9,000円と同額です。

槍が見えるポイントがありますが、雲で隠れてしまっています。

水場があり、飲料可能で無料なのはありがたいです。

少し休憩してから、次は横尾を目指します。ここからは登山というより遊歩道を歩いている感覚です。

上高地

道中に二の俣、一の俣という川があり、それぞれ橋が架けられています。

道幅が広くなってくると横尾に到着です。ここにも宿泊施設とキャンプ場があります。

何より涸沢方面との分岐点でもあり、横尾大橋を通ることで涸沢へ行くことができます。

ここには横尾登山相談所があり、登山情報や登山届を提出することができます。登山相談所の目の前にキャンプ場があります。ここでは特に休憩せず、次は徳沢を目指し歩いていきます。

横尾までの道のりと同じく林の中をずっと歩いていきます。徳沢に近づいてくると、道が広くなってきます。

どうやら今は管理用道路の整備工事を行っているようです。

横尾から45分ほどで徳沢に到着です。

ここでも宿泊やキャンプ場があります。ここでアイスクリームを食べて休憩してから進みます。

熊に人間がいることを知らせるためのベルがあり、景気づけに慣らしていきます。

徳本峠への分岐点です。クラシックルートはまだ通行不可となっています。

徳沢から40分ほどで明神に到着です。

ここから上高地バス停と明神池の分岐点です。明神池を回っていく元気がもうなかったので、バス停へ向かいます。ここまで来ると登山者ではない観光客がかなり増えてきます。

無心で歩いていくと小梨平にたどり着きました。広大なキャンプ場です。

キャンプ場を抜けると上高地ビジターセンター

そして河童橋に戻ってきました。11時だったため、観光客でにぎわっています。

山の日を記念したモニュメントが建てられています。

バス停へ行く道は川沿いルートではなく林間ルートを通っていきます。その名の通り林を抜けていくだけのルートです。

バスターミナルに到着です。あかんだな駐車場行きは30分毎に出ています。やっぱりさわんど駐車場へ行く人の方が大勢います。

バスに揺られながら無事あかんだな駐車場へ到着。2泊3日の長旅でした。なお駐車場の料金支払い機は1,000円札以外使用不可なので注意が必要です。

この登山を振り返って

槍穂高を縦走するルートとしてはメジャーだとは思います。ただ、変わ沢岳→北穂高岳と大キレットは信州グレーティングにおける最高難易度Eとなっています。危険な岩稜帯を進みますので、ガイドを雇うとロープなどで安全に通行できるかと思います。

足に負担がかかるため、ストックを持っていきたかったのですが、岩稜帯がメインであることから持っていきませんでした。ただ、通った後で分かりましたが、このルートだと重太郎新道や南岳~槍ヶ岳~上高地区間はストックを使用できますので、持って行ってもよかったかもしれません。

健脚な方なら1泊2日の行程を組めると思いますが、コースタイム通りの時間である場合は2泊3日でちょうど良かったです。岩稜地帯は道が狭く、容易に追い抜かすことができないことや、スピードを上げづらいので余裕を持った計画が必要となるでしょう。

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