X-E5は形状といい性能といいX100Ⅵにそっくりで、その違いはぱっと見レンズを交換できるかどうか。しかし実際はその他にも決定的な違いがあるはず。ということでこの2つのカメラを徹底的に比較してみました。
スペック比較表
項目 | X-E5 | X100VI |
---|---|---|
センサー | X-Trans CMOS 5 HR、4020万画素 | X-Trans CMOS 5 HR 4020万画素 |
画像処理エンジン | X-Processor 5 | X-Processor 5 |
ISO 感度 | 標準 ISO 125–12800、拡張ISO 64–51200 | 標準 ISO 125–12800、拡張 ISO 64–51200 |
AF性能 | 被写体認識(動物・鳥・車・バイク・自転車・飛行機・列車・昆虫・ドローンなど) | 被写体認識(動物・鳥・車・バイク・自転車・飛行機・列車・昆虫・ドローンなど) |
連写性能 | メカシャッター:8コマ/秒 電子シャッター:20fps(1.29×クロップ) | メカシャッター:6コマ/秒 電子シャッター:20fps(1.29×クロップ) |
シャッター速度 | 機械式:最速1/4000秒 電子式:最速1/180000秒 | 機械式:最速1/4000秒 電子式:最速1/180000秒 |
動画性能 | 内部6.2K/30p・4K/60p(4:2:2/10bit) | 内部6.2K/30p・4K/30p(4:2:2/10bit) |
手振れ補正 | 5軸中央7段、周辺6段 | 5軸6段 |
ファインダー | 0.39型約236万ドット・倍率0.62 | 0.5型約369万ドット・倍率0.66 倍率0.52のOVF搭載 |
液晶モニター | 3.0型チルト可動(自撮り可)約104万ドット | 3.0型チルト可動(自撮り不可)約162万ドット |
ボディ材質 | 精密アルミ削り出し(上部プレート) | アルミ製(上下天面) |
サイズ | 124.9×72.9×39.1mm | 128.0×74.8×55.3mm(最薄33.2mm) |
重量 | 約445g(キットレンズ込535g) | 約521g |
NDフィルター | なし | 内蔵NDフィルター(4段分)あり |
防塵防滴 | なし | AR-X100アダプタ(別売)装着時に防塵防滴対応 |
バッテリー | NP-W126S、静止画約400枚(エコモード)/約310枚(標準) | NP-W126S、EVF時約360枚(エコ)/約310枚(標準)、OVF時は約450枚 |
記録メディア | SDカード×1(UHS-II対応) | SDカード×1(UHS-I対応) |
通信機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac Wi-Fi(WPA3対応)、Bluetooth 4.2 | IEEE802.11a/b/g/n/ac Wi-Fi(WPA3対応)、Bluetooth 4.2 |
価格 | ボディ 246,400円 キットレンズ281,600円 | 281,600円 |
レンズ交換 | 交換式 (キットレンズXF23mmF2.8 R WR) | 固定 (23mm F2.0固定) |
その他機能 | サラウンドビュー EVFクラシック表示 フィルムシミュレーションダイヤル | EVF/OVF切り替えレバー SS/ISOダイヤル |
表を見てみると同じようなスペックが多くあるので、まずはこれをひとまとめにします。
同スペック一覧(少し違って影響がない物も含む)

- センサー
- 画素処理エンジン
- ISO感度
- AF性能
- 連写性能
- シャッター速度
- 動画性能
- 手振れ補正
- サイズ
- 重量
- バッテリー
- 記録メディア
- 通信機能
- 価格
大体の項目が同じスペックですね。少し違うものもありますが、用途的に大した影響はないと思い入れました。例えば連写性能はE5が若干上ですが、スナップや旅行を目的としたカメラで高い連写性能は必要ないでしょう。合わせて記録メディアの違いで連写枚数が違いますが、同様の理由で大きな影響はないと思います。
動画もE5は4k60pの記録が可能ですが、両機種ともスチルを主としたカメラであり、それならX-M5などを購入した方が用途に合っています。手振れ補正は1段の違いで大きくブレることはないでしょう。価格はキットレンズだと同額で、恐らくですがE5を購入しようと思う人はほとんどキットレンズ込みじゃないでしょうか。ボディ単品はむしろ珍しいと思います。なので重量も同スペック扱いです。
ファインダーやモニターはX100Ⅵが上

ファインダーは解像度と倍率からX100Ⅵの方が優秀です。さらにOVFも搭載しており使い方に幅を持たせてくれます。
モニターも解像度からX100Ⅵの方が見やすいですが、E5は180度回転し自撮りが可能なのに対して、X100Ⅵはそれができません。あまり使う機会が無いように思えますが、あるに越したことはないでしょう。
NDフィルター

レンズ一体型の強みとしてX100Ⅵには4段分のNDフィルターが内蔵されています。これによって明るい場所でもシャッタースピードを遅くして絞りを開放したり、スローシャッターにすることができます。E5の場合は別途レンズに合ったNDフィルターを購入する必要があります。
防塵防滴

E5には防塵防滴が無く天候が不安定な時は持ち出すのに億劫になりますが、X100Ⅵは条件付きですが防塵防滴があります。その条件は別売りのアダプターリングとプロテクトフィルターを取り付けることです。両方合わせて約1万円とお高いですが、天候不良でも持ち出せるのはかなり大きいメリットだと思います。
操作性


X-E5には機能がいくつか使いされていて、アスペクト比に応じて撮影範囲が変化するサラウンドビューや、EVFでクラシックな表示設定ができたりします。

ボタンやダイヤルの配置はどちらも似ていますが、X100ⅥにはシャッタースピードとISO感度両方調整できるダイヤルがあり、その点を考慮すると操作性はX100Ⅵの方が少し良い感じでしょうか。
フィルムシミュレーションダイヤル

富士フイルムと言えばフィルムシミュレーションダイヤルですが、E5は小窓のついたダイヤルが天面にあり、フィルムの切り替えを瞬時にできます。また、オリジナルレシピも登録できるので、状況に応じて最適なパラメーターを簡単に選べます。
レンズ

X100Ⅵはレンズが固定されていて、23mmF2.0のみとなっています。対してE5はレンズ交換が可能で、キットレンズは23mmF2.8とほぼ同スペックです。すでにXマウントのレンズを持っている人はE5を買う大きな理由となるでしょう。
スナップや旅行目的だけならX100Ⅵで十分かも

ここまで比較してみて思ったことは、X-E5のキットレンズを購入するだけなのは勿体なく、それならX100Ⅵで十分だということです。レンズの焦点距離は同じでもF値はX100Ⅵの方が小さく、またNDフィルター内臓で表現の幅が大きく違ってきます。追加装備が必要ですが防塵防滴に対応しているのも持って行きやすさに直結する大事な要素。さらにファインダーやモニターも優秀なためより良い撮影体験が望めるでしょう。

X-E5はフィルムシミュレーションダイヤルやEVFクラシック表示などがありますが、レンズ交換によって表現が自由になることが大きな利点です。ただ、このカメラのコンセプトから言って望遠レンズなどをつけるのは正直不格好になるだけですし、それならX-T5等を購入した方が用途に合っています。パンケーキレンズなどの小型なレンズを巧みに変えてこそ、E5の真価を発揮できると思います。