SonyのCinema Lineに最新モデルFX2が加わりました。α7 IV/α7C IIと同じ3300万画素センサーを搭載しながら、動画制作者向けに最適化されたボディとチルト式EVFを備えたハイブリッド機。この記事では、同門の静止画機や既存の動画機と徹底比較し、FX2がどんなクリエイターにフィットするのか整理します。
FX2の主な特徴まとめ
- 3300万画素 裏面照射型CMOS + BIONZ XR & AIプロセッシングユニット
- メカシャッター搭載(最高10 fps連写)
- 外部16bit RAW出力対応(HDMIから)
- 新開発チルト式0.70倍EVF(2軸チルト/約368万ドット)
- デュアルネイティブISO 800 & 4000
- 内蔵アクティブ冷却ファン+防塵防滴の設計
- CFexpress Type A/SD (UHS‑II) × 1 + SD (UHS‑II) × 1 のデュアルスロット
- 4K60p 1.5×クロップ / 4K120p 非対応
ポイント:スペックだけ見るとα7 IVをベースにCinema Line用の熱設計と操作系を与えた“スチル寄り動画機”。
Sonyカメラ比較表

α7Ⅳ・α7cⅡとの比較
項目 | FX2 | α7Ⅳ | α7cⅡ |
---|---|---|---|
画素数 | 3,300万画素 | 3,300万画素 | 3,300万画素 |
連射速度 | 10コマ/秒 | 10コマ/秒 | 10コマ/秒 |
EVF | チルト/左上配置 | 固定/中央 | 固定/左端 |
メカニカルシャッター | 有 | 有 | 有 |
オートフォーカス(AI) | 搭載 | 非搭載 | 搭載 |
デュアルネイティブISO | 800 & 4000 | 800 & 3200 | 800 & 3200 |
カードスロット | CFexpress A+SD / SD | CFexpress A+SD / SD | SD×1 |
冷却ファン | 有 | 無 | 無 |
4K 120p | 無 | 無 | 無 |
サイズ(幅×高×奥行)/重量 | 約129.7×77.8×85.0 mm/約679 g | 約129×97×81 mm/約658 g | 約124×71.1×63.4 mm/約514 g |
発売日 | 2025年8月1日 | 2021年12月17日 | 2023年10月13日 |
定価 | 416,900円 | 383,900円 | 328,900円 |
3,300万画素のセンサーを使っているということで、α7Ⅳやα7cⅡとは多くの共通点があります。共通点としては、画素数、動画性能、連写速度など。
違う点はEVFがチルト式だったり、左上についていたり三者三様で好みが分かれる部分です。α7cⅡは小型軽量に特化した分、カードスロットがシングルになり、グリップも浅めにはなります。α7Ⅳは発売から3年以上経過しているため、AIAFやダイナミックアクティブ手振れなど最新機能がありません。また、外部収録でRAWを撮影できるのはFX2のみとなっていることや、ハードの設計が異なることなど、本格的な動画はやはりFX2になります。
どれかを選ぶとするなら、
- 動画ファーストならFX2
- スチル+価格重視ならα7 IV
- 軽量スナップならα7C II
Sonyの動画機カメラと比較
項目 | FX2 | FX3 | FX30 | α7S III | ZV-E1 |
---|---|---|---|---|---|
画素数 | 3,300万画素 | 1,210万画素 | 2,600万画素 | 1,210万画素 | 1,210万画素 |
連射速度 | 10コマ/秒 | 10コマ/秒 | 無 | 10コマ/秒 | 10コマ/秒 |
EVF | チルト/左上配置 | 無 | 無 | 固定/中央 | 無 |
メカニカルシャッター | あり | あり | なし | あり | なし |
オートフォーカス(AI) | 搭載 | 非搭載 | 非搭載 | 非搭載 | 搭載 |
デュアルネイティブISO | 800 & 4000 | 800 & 12800 | 800 & 2500 | 640 & 12800 | 640 & 12800 |
カードスロット | CFexpress A+SD / SD | CFexpress A+SD / CFexpress A+SD | CFexpress A+SD / CFexpress A+SD | CFexpress A+SD / CFexpress A+SD | SD×1 |
冷却ファン | 有 | 有 | 有 | 無 | 無 |
4K 120pクロップ率 | 無 | 約1.1倍 | 約1.6倍 | 約1.1倍 | 約1.1倍 |
ダイナミックレンジ | 約15+ストップ | 約15+ストップ | 約14+ストップ | 約15+ストップ | 約15+ストップ |
サイズ(幅×高×奥行)/重量 | 約129.7×77.8×85.0 mm/約679 g | 約129.7×77.8×84.5 mm/約715 g | 約129.7×77.8×84.5 mm/約646 g | 約128.9×96.9×80.8 mm/約699 g | 約121.0×71.9×54.3 mm/約483 g |
発売日(日本) | 2025年8月1日 | 2021年3月12日 | 2022年10月14日 | 2020年10月9日 | 2023年4月21日 |
価格.com最安値 | 約37万円(定価の90%で計算) | 約49万円(※XLRハンドル同梱) | 約23万円 | 約41万円 | 約25万円 |
FX2はSonyのカメラでもCinema Lineという映像制作者向けのカメラになっていて、既にFX3やFX30の小型機が販売されています。また、α7S IIIやZV-E1も動画に特化したカメラなので比較表に載せています。
FX2はα7Ⅳやα7cⅡと同じセンサーを使っていると思われ、特徴も似ています。同じメーカーのカメラと比較して優れている点と劣っている点を挙げていきます。
FX2が“勝っている”ポイント

- チルト式EVFで炎天下のモニター問題を解消。
- 写真品質:3300万画素&メカシャッターで静止画も本格的な撮影。
- AI AF + 手ブレ補正最新世代(ダイナミックアクティブ手振れ補正搭載)。
FX2が“劣っている”ポイント
- 4K120p非対応、4K60pも1.5×クロップで表現幅が狭い。
- 高画素ゆえのローリングシャッター増大 & 高感度弱体。
- 操作系は動画寄り。静止画用ジョイスティックが上面のみで微調整に不向き。

用途別おすすめカメラ
用途 | おすすめカメラ | 理由 |
---|---|---|
高画素スチル寄り動画機 | FX2 | 33MPでメカシャッター搭載、動画性能は制限多し |
ハイエンド小型動画機 | FX3 | デュアルスロット高速&ファン内蔵排熱、12 MPデュアルISO、10 fps写真も可。 |
低予算でAPS-C運用 | FX30 | 26 MP APS-Cセンサー、Super 35mm 4K60p無制限、価格がFX3の約半額。 |
写真も本格&暗所特化 | α7S III | 高解像EVF+メカシャッター、静止画に最適化されたボディ |
超軽量Vlog配信機 | ZV-E1 | ボディ483 g、AIAF、カードは1枚のみ |
高画素で写真を撮りつつ本格的な動画機を求めるならFX2です。α7cⅡや7Ⅳと比較されますが、デュアルネイティブISOによる暗所性能、動画機としての操作性、外部収録で16bitRAWに対応しているなど差別化されています。4k120pに対応していないなど動画性能だけで選ぶなら他のカメラがベター。
小型動画機は変わらずFX3になります。4k120pで撮影可能で排熱機構を搭載、暗所性能の高さがメリットです。少し古い機種なので、AFはAIを搭載していないため比較して弱く、ダイナミックアクティブ手振れ補正などの機能がありません。動画制作のためのカメラと割り切った性能になっています。

FX30はFX3をAPS-Cにしたような性能で、メカシャッターは無くなっています。他に暗所性能が大幅に落ちたり4k120pのクロップ率が上がったりと性能は落ちていますが、価格は半分以下なので、Cinema Lineの最初の1台にいいかもしれません。

α7SⅢはスチル機に高い動画性能を追加したようなカメラ。4k120p撮影に高い暗所性能など高い動画性能がありますが、ハードは動画制作向きではありません。また、2020年発売のためAFやダイナミックアクティブ手振れ補正などの機能が無いのでその点劣っています。

ZV-E1はハイエンドvlog機。4k120pや高い暗所性能、AIAFにダイナミックアクティブ手振れ補正など機能が豊富で、500gを切る重量はvlog機として最適です。反面メカシャッターが無くスチルとして使いづらい、排熱機構が無いので熱処理の問題がある、カードスロットが1つでSDカードのみなどメインのカメラとして不安が残る性能です。その分低価格で高性能なため、本格的な動画を作る最初の1台やサブ機として活躍するでしょう。

まとめ ─ FX2は“写真も妥協しない動画機”
Cinema Lineに属しながら4K120pを割り切ったことで、FX2は“動画ファースト+静止画も本格派”というユニークなポジションに落ち着きました。専業の映像クリエイターならFX3/FX30を、写真案件も並行するハイブリッドユーザーならFX2が有力候補。チルト式EVFに価値を感じ、7Kオーバーサンプリングの解像感を求めるなら検討すべき1台です。
