厳冬期の寝袋というとダウンでも1㎏も超えて当たり前の世界ですが、その中で軽量性に特化した寝袋を購入しました。
このSeatoSummitスパークSpIVは下限温度-15℃に対して880gという軽さが最大の売りで、ダウン量が増えて重たくなる厳冬期の寝袋では異次元の軽さです。2冬ほど使ってみたレビューをしていきます。
スペック
重量 | レギュラー:880g ロング:985g |
温度域 (EN13537) | コンフォート温度=-8℃ リミット温度=-15℃ エクストリーム温度=-36℃ |
適合身長 | レギュラー:最大183cm ロング:最大198cm |
中綿 | 850+フィルパワー ウルトラドライプレミアムグースダウン レギュラー:620g ロング:700g |
構造 | ボックスバッフル構造 上半身縦型・下半身横型 |
生地 | 表:10Dナイロン 裏:7Dナイロン |
収納サイズ | レギュラー:18*26㎝ ロング:18*30㎝ |
価格 | 74,690円 |
生地は軽量化のため表地が10D、裏地が7Dとかなり薄くなっているので取り扱いには気を使います。
中綿は高品質ダウン
ダウンはグースダウンの850FPもあるので、軽量ながら保温性が高いことが分かります。また、撥水トリートメントにより、湿気や結露に強くなっています。また、乾燥する速度も速くなっています。
製品と一緒にIDFLのテスト証明書が付いてきます。IDFLとはInternational Down and Feather Testing Laboratoryの略称で、羽毛の品質を試験・監査する世界的な機関です。
ダウンとフェザーの割合や、グースかダックダウンか、どれくらいのフィルパワーであるのかが掲載されています。
品質は保証されていますということを分かりやすく顧客に伝えていますね。
温度域は信頼のEN規格
対応温度はちゃんとEN13537(ISO23537)にて測定されています。コンフォート温度が-8℃、リミット温度が-15℃と厳冬期の寝袋としてはギリギリのラインになります。
中綿の構造は保温性重視
軽量性重視とはいえ、氷点下の中で使用することが前提なので、多少軽くなるシングル構造ではなく保温性を高めるボックス構造を全体に採用しています。
上半身は縦、下半身は横の構造になっているのは、ダウンが移動しやすい上半身を縦型にすることにより、保温性を高めるためです。
サイズは重ね着前提
サイズはレギュラーとロングの2つあり、私の身長は170㎝なのでレギュラーを購入しました。冬季はダウンジャケットやパンツなど重ね着することがほとんどなため、内部は重ね着前提で大きくなっています。
付属品には保管用バックもついてくる
収納袋にはコンプレッション機能が付いています。サイズはSサイズ。
寝袋を入れるとパンパンになりますが、さらに圧縮することで小さくなります。上の写真でサイズが18*34㎝ですが、公式の収納サイズが18*26㎝なので、かなり押しつぶせるようです。
他には保管用のバックも付属しています。このジッパーには残念ながらYKKの文字は印字されていませんでした。
メッシュ生地がサイドにあり、通気性が保たれています。サイズは50*30*25㎝ほどになります。
他には小さなカラビナ付きの製品タグと黒封筒。バッグIDが載っているので、製品が個別ごとに管理されています。
黒封筒の中には製品パンフレットとIDFLのテスト証明書。
見た目
上半身が縦、下半身が横のバッフル構造とすぐに分かります。
裏側は全身が横のバッフル構造。
タグには製品出荷の日付が記入されており、洗濯方法が載っています。
ナンガオーロラ450と比較。性能が違うのですが参考までに。
足先はダウンがぎっしり詰まっていることが比較で分かります。
YKKのジッパー
ジッパーはYKK製でスムーズに動きます。ジッパーの取っ手は内側から開くこともできるようになっています。
就寝中にジッパーが下がっていかないように簡単なボタン止めがあります。
足側にもジッパーがあり、換気が可能です。あと製品名や性能が記されています。
ちなみに2つの寝袋を連結できる機能はありません。
上の画像は寝袋を裏返しています。ジッパーからの冷気を防ぐため、内側にドラフトチューブを設置。
日本製だとジッパーは右側についていますが、この寝袋をはじめ海外製は左についています。恐らく体格や手足の長さが違うことが関係していると思われます。
足先までジッパーは付いていません。
頭周り
顔周りからの冷気の侵入を防ぐためフードアジャスターが付いています。
ヒートロスを防ぐため、首元と頭周りにはドラフトチューブ機能があります。ここにもダウンが詰まっていてバフバフです。
薄い生地が気になる
生地のさわり心地はシャカシャカですべすべ。寝心地が悪いことはありません。
が、気を付けるべきは軽量性を重視した生地の薄さ。表地が10Dなので、引っかけやすいものに注意が必要ですが、裏地はさらに薄い7D。ダウンが透けて見えるほどです。
-15℃での使用感
厳冬期の1月に鳳凰三山の南御室小屋(標高2,420m)でテント泊したときに使用しました。この日は晴れていましたが、日没前でも-15℃。
寒さに弱いので、その時はエスケープライトウ゛ィウ゛ィに寝袋を入れて保温力を高めていました。服装は厳冬期ダウンジャケット、ダウンパンツ、ダウンシューズで羽毛まみれです。
結果は、寒さで起きることなく眠ることができました。ただ、足先が冷えやすい自分にとっては足もとが少し寒く感じました。
類似性能の他社製品と比較
商品名 | 下限温度(℃) | FP | 羽毛量(g) | 重量(g) | 価格(円) | EN規格対応 |
---|---|---|---|---|---|---|
SeatoSummit スパークSpIV | -15 | 850+ | 620 | 880 | 74,690 | 〇 |
モンベル シームレス ダウンハガー800 #0 | -13 | 800 | ? | 1,027 | 56,650 | 〇 |
ナンガ オーロラライト750DX | -16 | 760 | 750 | 1,300 | 63,800 | 〇 |
イスカ エアプラス 630 | -15 | 800 | 630 | 1,030 | 61,600 | ×(独自の検査基準) |
takemo スリーピングバッグ 7 | -15 | 750 | 700 | 1,180 | 34,650 | × |
ニーモ SONIC 0 | -18 | 800 | 790 | 1,470 | 70,400 | 〇 |
western mountaineering アンテロープMF | -15 | 850+ | ? | 1,105 | 107,030 | × |
国内で手に入りやすく、下限温度が-15℃位の他社メーカーと比較してみました。
軽さという点においては1㎏を切っているものがスパークsp4しかなく、圧倒的です。勿論他の製品は防水生地や寝心地に性能を重視したものもあるのでご参考程度に。
ただ、価格は近年のインフレにより高騰しています。ほんの2年前は57,310円だったんですけども。
まとめ
バックパックに入れているときは実感がなかったのですが、改めて数字で見てみるとその軽さに驚きます。
寝るときはどうせ全身ダウンまみれになるから、最低限の性能で軽さを追求したことが購入の理由です。お守りのために、エスケープライトウ゛ィウ゛ィも仕込んでおけば安心です。(2つあわせても1,036gと依然軽い)
登山シーンだけでなく、冬のバックパックキャンプにも適応しているので、冬の寝袋として汎用性が高い一品です。
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