パワーズームを備えたLシリーズレンズ「RF 20-50mm F4 L IS USM PZ」が発表されました。EOS V シリーズの動画・ハイブリッドシューター向けに特化しつつも、Lシリーズならではの高光学性能を備えた意欲作です。同じRFマウント・F4通や近い用途のレンズと比べて、どんなシーンで選ぶべきか探っていきます。
スペック比較表
| 項目 | RF 20-50mm F4 L | RF-S 14-30mm F4-6.3 | RF 14-35mm F4 L | RF 24-50mm F4.5-6.3 | RF 24-105mm F4 L |
|---|---|---|---|---|---|
| 発売日 | 2026年6月 | 2025年7月11日 | 2021年9月30日 | 2023年4月14日 | 2018年10月25日 |
| 定価 | 213,400円 | 55,000円 | 236,500円 | 50,380円 | 184,800円 |
| 最低価格 | 33,000円 | 200,000円 | 45,000円 | 160,000円 | |
| 焦点距離 | 20–50mm | 14–30mm(APS-C) 22-48mm(フルサイズ) | 14–35mm | 24–50mm | 24–105mm |
| 開放F値 | F4 | F4-6.3 | F4 | F4.5-6.3 | F4 |
| フィルター径 | 67mm | 58mm | 77mm | 58mm | 77mm |
| 寸法(径×全長) | 79.9×98.4mm | 69.6x62mm | 84.1×99.8mm | 69.6x58mm | 83.5×107.3mm |
| 重量 | 420g | 181g | 540g | 210g | 700g |
| 最短撮影距離 | 0.24m | 0.15m | 0.20m | 0.3m(W)/0.35m(T) | 0.45m |
| 最大撮影倍率 | 0.14倍(W)/0.33倍(T) | 0.17倍(W)/0.38倍(T) | 0.38倍 | 0.23倍 | 0.24倍 |
| 光学IS段数 | 6段(協調時8段) | 5段(協調時7.5段) | 5.5段(協調時7段) | 0.11倍(W)/0.19倍(T) | 5段(協調時8段) |
| パワーズーム(PZ) | 〇 | 〇 | × | × | × |
| インナーズーム | 〇 | 〇 | × | × | × |
| 絞り羽枚数 | 9枚 | 7枚 | 9枚 | 7枚 | 9枚 |
| AF方式 | Nano USM×3 | STM | Nano USM | STM | Nano USM |
| AF/MF切り替えスイッチ | 〇 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
| 防塵防滴 | 〇 | × | 〇 | × | 〇 |
| センサーサイズ | フルフレーム | APS-C | フルフレーム | フルフレーム | フルフレーム |
※価格は2026年5月時点
RF-S 14-30mm F4-6.3 IS STM PZ との比較

RF 20-50mm PZと同じパワーズーム機構とフォーカス設計を持つAPS-Cレンズです。フルフレーム換算で約22-48mm相当という近い画角をカバーし、サイズ・重量ともにかなりコンパクトなレンズとなっています。
差はセンサーサイズとグレードで、RF-S 14-30mmはF4-6.3の可変絞りでSTMドライブ採用のSTMグレード。防塵防滴がなく、フルフレーム使用時は画素数が少なくなります。一方でRF 20-50mm PZはF4通し・Nano USM×3・Lシリーズの全機能を備え、フルフレームを活かした高品位な絵作りが可能です。
価格は約4倍違うため、品質を追求しないのであればこのレンズはとてもコスパに優れたレンズです。
RF 14-35mm F4 L IS USM との比較

14mmスタートという超広角端を持つLシリーズズームです。インナーズームではないものの、レンズの繰り出しはあまりないので動画でも使いやすいレンズで価格もほぼ同じです。14mmの超広角域が必要な風景・建築・インテリア動画での強みがあり、最大撮影倍率は0.38倍と近接撮影が得意なレンズです。
ただしパワーズーム非搭載で、動画でスムーズなズーム操作を行うには手動や別途コントローラー等ギミックが必要です。また望遠端が35mmにとどまるため、ポートレートや標準域での汎用性はRF 20-50mm PZに劣ります。全長は5mmほど長く、重量は540gとRF 20-50mm PZより120g重い点もあります。
超広角〜標準域をカバーしたい写真・映像のマルチユーザーにとっては非常に魅力的ですが、パワーズームとスムーズな動画ズームが優先なら RF 20-50mm PZの選択になります。なお、2021年発売のため、中古市場も視野に入れても良いでしょう。
RF 24-50mm F4.5-6.3 IS STM との比較

EOS R8やR50とのキット販売でも知られる、超軽量コンパクトなエントリーズームです。フルフレーム用のレンズながら重量わずか210g。全長69.8mmという小ささで、カバンへの収まりが抜群です。実売価格は約4万円代と、RF 20-50mm PZの6分の1以下という圧倒的なコスパ。
一方でスペックの差は明確です。可変絞り(F4.5-6.3)のため望遠側では暗くなり、動画の露出維持が難しくなります。パワーズームも非搭載、防塵防滴もなし。AFもSTMドライブのため、Nano USM×3を搭載するRF 20-50mm PZと比べると速度・静音性に差があります。
コストを抑えて手軽にRFシステムを楽しむ入門ユーザー向けのレンズであり、動画プロ・ハイブリッドシューターが求めるパワーズームやL品質とは用途が異なります。中古市場で安く手に入れられるので、気軽に持ち運べる日常使いには最適ではないでしょうか。
RF 24-105mm F4 L IS USM との比較

EOS Rシステム初期から存在する「定番の万能Lズーム」です。24-105mmという5倍弱のズームレンジは1本での旅行・ポートレート・風景すべてをカバーでき、スチルユーザーにとっての選択肢としては依然魅力的。標準ズームレンズとしてはこちらの方が汎用性に優れています。
最大の差は重量です。RF 24-105mmは700gと、RF 20-50mm PZの420gより実に280g重い。長時間の手持ち動画や自撮り配信では体感差が出ます。また外繰り出しズーム方式なのでズーム中に重心が変わり、ジンバル使用時にはリバランスが必要になる場面もあります。
パワーズームが不要で望遠域(50mm超)をよく使う写真メインのユーザーには24-105mmが有利。一方、動画中心・ジンバル多用・軽量化重視ならRF 20-50mm PZの方が適しています。
昔のレンズなので、中古市場が潤っていて安く手に入れられるのもメリットです。
パワーズーム×Lシリーズという新境地
RF 20-50mm F4 L IS USM PZは、RFマウントにおいて「パワーズーム」と「F4通し Lシリーズ品質」を同時に実現した唯一のフルフレームレンズです。動画中心のハイブリッドシューターやコンテンツクリエイターへの回答として、他のRFレンズとは異なる明確な立ち位置があります。
420gというコンパクトさと6段の光学IS・Nano USM×3の高速静音AFは、手持ちVlog・ドキュメンタリー・インタビューに最適。PZ/MZの切替機能でスチル撮影時は従来の標準ズームとしてもそのまま使えます。
欠点は望遠端が50mmにとどまることで、ポートレートや望遠が必要な場面では別レンズが必要になるでしょう。価格も約22万円とLシリーズ標準の価格帯ですが、パワーズーム対応という唯一の選択肢という意味で比較対象のないポジションといえます。
純粋な写真用途で望遠域もカバーしたい場合は RF 24-105mm F4L が依然有力。超広角メインの映像なら RF 14-35mm F4L という組み合わせが定石です。RF 20-50mm PZ はそれらとは用途が異なる「動画ファーストの標準ズーム」という新カテゴリーのレンズです。

