ソニーから約9年ぶりのRX10 Ⅳ後継機RX10 Ⅴが発表されました。24-600mm相当・F2.4-4.0のZEISSレンズと1型積層センサーという基本構成は先代RX10 Ⅳを踏襲しつつ、BIONZ XR+AIプロセッサによる被写体認識AF、30fpsブラックアウトフリー連写、4K60p 10bit動画など、αシリーズの最新機種と遜色ない性能を一体型ボディに詰め込んだモデルです。ただし価格は約36万円前後と、レンズ一体型カメラとしては破格の高さ。他の高倍率・大型センサー機と比べてどういった立ち位置にあるのか見ていきます。
スペック比較表
| 項目 | Sony RX10 Ⅴ | Sony RX10 Ⅳ | Nikon COOLPIX P1100 | Canon PowerShot SX70 HS | Panasonic FZ1000 II |
|---|---|---|---|---|---|
| センサー | 1型積層 Exmor RS(裏面照射) | 1型積層 Exmor RS | 1/2.3型裏面照射CMOS | 1/2.3型裏面照射CMOS | 1型 |
| 有効画素数 | 2010万画素 | 2010万画素 | 1605万画素 | 2030万画素 | 2010万画素 |
| レンズ(35mm換算) | ZEISS 24-600mm | ZEISS 24-600mm | NIKKOR 24-3000mm相当(デジタル併用で最大約6000mm) | 21-1365mm相当(デジタル併用で約2730mm) | LEICA 25-400mm |
| 光学ズーム倍率 | 25倍 | 25倍 | 125倍 | 65倍 | 16倍 |
| 開放F値 | F2.4-4.0 | F2.4-4.0 | F2.8-8 | F3.4-6.5 | F2.8-4.0 |
| 連写性能 | 最高30fps(ブラックアウトフリー) | 最高24fps(ブラックアウトフリー) | 120コマ/秒(低画素、プリ連写対応) | 約10コマ/秒 | 約30コマ/秒(800万画素、プリ連写対応) |
| 動画性能 | 4K60p 10bit(All-Intra)、4K120pスロー対応 | 4K30p | 4K30p | 4K30p | 4K30p |
| AF・被写体認識 | AIユニット搭載:人物/動物/鳥/乗り物/昆虫 | 像面位相差AF、動物瞳AF対応 | コントラストAF中心 | コントラストAF中心 | コントラストAF中心 |
| 手ブレ補正 | 光学式・アクティブモード | 光学式 | レンズシフト式(静止画中央4.0段) | 光学式(約5段) | 光学式 |
| EVF | 0.5型 約368万ドット(0.78倍) | 0.39型 約236万ドット(0.7倍) | 0.39型 約236万ドット | 0.39型 約236万ドット | 0.39型アクティブマトリクス式(236万ドット) |
| モニター | 3.0型 約162万ドット(チルト式) | 3.0型 約144万ドット | 3.2型 約92万ドット(バリアングル) | 3.0型 約92万ドット(バリアングル) | 3.0型 124万ドット(バリアングル) |
| 記録メディア | SD(UHS-II、シングルスロット) | SD | SD/SDHC/SDXC | SD | SD |
| バッテリー | NP-FZ100(約570枚) | NP-FW50(約480枚) | EN-EL20a(約260枚) | LP-E12(約325枚) | DMW-BLC12(約440枚) |
| サイズ | 136.4×94.5×151.3 mm | 132.5x94x145 mm | 146.3×118.8×181.3 mm | 127.1×90.9×116.6 mm | 136.2×97.2×131.5 mm |
| 重量 | 約1,111g | 約1,095g | 約1,410g | 約610g | 約810g |
| 発売時期 | 2026年7月 | 2017年10月6日 | 2025年2月28日 | 2018年12月20日 | 2019年3月23日 |
| 価格 | 約36万円前後 | 中古相場約30万円 | 約12万円 | 約15万円 | 中古相場約12万円 |
| その他 | USB-C、16LUT取込、ライブ配信対応 | 生産終了 | USB-C、「鳥モード」「月モード」専用ダイヤル | 生産終了 | 生産終了 |
※実勢価格・在庫状況は2026年7月時点
Sony RX10 Ⅴの特徴

RX10 ⅤはレンズとセンサーこそRX10 Ⅳから据え置きですが、中身はαシリーズと同じBIONZ XR+AIプロセッサに刷新されました。これにより被写体認識の対象が人物・動物・鳥に加え、車・電車・飛行機、さらに昆虫の頭部/全身まで広がり、被写体が背を向けたり不規則に動いても追従し続けられるようになっています。
連写は電子シャッターで最高30fps・ブラックアウトフリーを実現し、α系譲りの「連続撮影速度ブースト」機能でシャッター半押し中だけ瞬時に最高速へ切り替えることも可能です。動画は4K60p 10bit(All-Intra/XAVC S/XAVC HS)に対応し、センサー全域を使った非ビニング読み出しでディテールも向上。手振れを抑えたアクティブモードを搭載し、4K120pのスローモーションや、S-Log3+最大16個のユーザーLUT読み込みにも対応するなど、動画機としての実用性も大きく引き上げられています。

ボディはRX10 Ⅳのやや野暮ったいデザインから一新され、α系に近いスクエアなデザインとなり、AF-ON付きのジョイスティック、3ダイヤル+新設のデュアルトップダイヤルなど、操作系も本格化しています。ただし内蔵フラッシュは廃止され、価格は約36万円とRX10 Ⅳ登場時の約19万円よりも大幅に上昇しました。
Nikon COOLPIX P1100との比較
「望遠倍率」で対抗してくるのがP1100です。24-3000mm相当・光学125倍(ダイナミックファインズーム併用で最大約6000mm相当)という桁違いのズーム域を持ち、専用の「鳥モード」「月モード」も備えるなど、超望遠特化の設計です。
一方でセンサーは1/2.3型とRX10 Ⅴの4分の1程度しかなく、開放F値もF2.8-8とテレ端では大きく暗くなります。連写は120コマ/秒可能ですが、画素数は約30万とかなり劣化し、AFもコントラスト検出方式が中心です。動画性能も4k30pでlog撮影もできないため、あくまでおまけ程度のものとなっています。重量も300g重い1,410gと長時間の持ち運びにはしんどい重さです。
価格は約12万円と1/3程度なため、色々な被写体を撮るだけならP1100、画質・AF・動画まで含めた総合力ならRX10 Ⅴという住み分けになるでしょう。
Canon PowerShot SX70 HSとの比較
SX70 HSは21-1365mm相当・光学65倍ズームを約608gという軽量ボディに収めたお手軽超望遠機です。そのため生産終了していますが今でも中古市場で根強い人気を誇っています。
ただしセンサーは1/2.3型・約2030万画素で、RX10 Ⅴと比べると高感度性能や被写界深度コントロールの自由度で明確に劣ります。動画も4K30pまでで、AI被写体認識のような最新AFも非搭載です。
とにかく安く超望遠を持ち歩きたいユーザー向けの選択肢であり、RX10 Ⅴとは価格帯・性能ともに別カテゴリーの製品と言えます。
Panasonic FZ1000 IIとの比較

同じ1型センサーを積む数少ないレンズ一体型カメラがFZ1000 IIです。25-400mm・F2.8-4.0というレンズはRX10 Ⅴより暗く短射程ですが、その分ボディは約810gと軽量。RX10 Ⅴのようなブラックアウトフリー高速連写やAI被写体認識、4K60p 10bit撮影機能は持たず、動画性能でも世代差は明確です。
ただしFZ1000 IIは生産終了となっており、市場でもあまり出回っていません。そのため今回はあくまで参考程度に比較してみました。
Sony RX10 Ⅳの比較
もっとも直接的な比較対象は、実は先代のRX10 Ⅳです。レンズ・センサーはRX10 Ⅴと同一で、像面位相差AFや24fps連写など基本性能は今でも十分通用します。ただ、既に生産終了しており中古市場では定価を上回る価格で取引されています。
RX10 ⅤはAI被写体認識、30fpsブラックアウトフリー連写、4K60p 10bit動画など明確な進化を遂げていますが、価格はかなり上昇しています。型落ちでも多少予算を抑えたいならRX10 Ⅳの中古、最新のAF・動画性能を求めるならRX10 Ⅴ、という選び方になりますが、中古価格がRX10 Ⅴと変わらないため、RX10 Ⅳを購入する必要性はかなり薄くなっています。
RX10 Ⅴは「1型×超望遠」を独走するレンズ一体型の新王者
レンズ一体型カメラはコンデジが人気ですが、一眼カメラのような形状のカメラはほとんど選択肢がなく、1型センサーを積む現行機はRX10 Ⅴ以外にほぼ存在しない状況です。Nikon P1100やCanon SX70 HSのような超望遠機は倍率で対抗できても、センサーサイズの差から画質・高感度性能では及びません。逆にPanasonic FZ1000 II/FZ2000のような同格の1型機は、いずれも新品入手が困難という状況です。
つまりRX10 Ⅴは1型センサー×超望遠という組み合わせにおいて、事実上のライバル不在で独走している状態と言えます。価格の高さがネックではあるものの、9年ぶりに刷新されたAF・連写・動画性能を考えれば、旅行・野鳥・航空機・スポーツ撮影を1台でこなしたいユーザーにとっては、現状もっとも有力な選択肢と言えるでしょう。


