4年の時を経てSonyカメラのベーシック機α7Ⅳが更新されました。画素数は変わらないものの、イメージセンサーは新たな部分積層型となり、画像処理エンジンも次世代へと進化しています。他メーカーのベーシック機も新しくなっているので、それぞれどのような違いがあるのか比較してみます。
スペック比較表
| 品名 | α7V | α7IV | R6Ⅲ | Z6III | S1 II |
|---|---|---|---|---|---|
| 発売日 | 2025月12月19日 | 2021年12月17日 | 2025年11月21日 | 2024年7月12日 | 2025年 6月19日 |
| 定価(円) | 約420,000円 | 361,900円 | 429,000円 | 396,000円 | 455,400円 |
| 実売価格(円) | 260,000円 | 386,100円 | 339,000円 | 448,000円 | |
| 画素数(万) | 3,300 | 3,300 | 3,250 | 2,450 | 2410 |
| 常用ISO感度 | 100–51,200 | 100–51,200 | 100-64,000 | 100–64,000 | 100–51,200 |
| 最高連写撮影 | 電子30コマ/秒 メカ約10コマ/秒 | 10コマ/秒 | 電子約40コマ/秒 メカ約12コマ/秒 | 電子120コマ/秒(JPEG) 電子20コマ/秒(RAW) メカ14コマ/秒 | 電子70コマ/秒(12bit) 電子60コマ/秒(14bit) メカ10コマ/秒 |
| シャッタースピード | 電子1/16,000秒 メカ1/8,000秒 | 1/8,000秒 | 電子1/16,000秒 メカ1/8,000秒 | 電子1/16,000秒 メカ1/8,000秒 | 電子1/16,000秒 メカ1/8,000秒 |
| 手振れ補正 | 7.5段 | 5.5段 | 8.5段 | 8.0段 | 8.0段 |
| 被写体検出 | 人物/動物/鳥/車/バイク/列車/飛行機 | 人物/動物/鳥 | 人物/動物/鳥/車/バイク/列車/飛行機 | 人物/犬/猫/鳥/飛行機/車/バイク/自転車/列車 | 被写体認識: 人物、動物、自動車、バイク、電車、航空機、「アーバンスポーツAF」 |
| プリ連写 | あり(最大1秒遡り) | なし | あり(最大0.5秒遡り) | あり(最大1秒遡り) | あり(最大1.5秒遡り) |
| 撮影可能枚数(EVF時) | 630枚 | 520枚 | 390枚 | 360枚 | 320枚 |
| ファインダー解像度(万) | 369 | 369 | 369 | 576 | 576 |
| モニタ解像度(万) | 210 | 103 | 160 | 210 | 184 |
| モニタ稼働方式 | マルチアングル | バリアングル | バリアングル | バリアングル | フリーアングル |
| 解像度とフレームレート | 4K120p(APS-Cクロップ) | 4K60p(APS-Cクロップ) | 7K60p、7K30p(オープンゲート)、4K120p | 6K60p、4K120p(APS-Cクロップ) | 6K/30p(オープンゲート)、4K/120p |
| 映像記録 | Log、外部RAW | Log、外部RAW | Log、内部RAW | Log、内部RAW | Log、内部RAW |
| 記録メディア | CFexpress A/SD×1+ SD(UHS-Ⅱ) | CFexpress A/SD×1+ SD(UHS-Ⅱ) | CFexpress B + SD(UHS-Ⅱ) | CFexpress B + SD(UHS-Ⅱ) | CFexpress B + SD(UHS-Ⅱ) |
| 寸法(㎜) | 130.3×96.4×82.4 | 131.3×96.4×79.8 | 138.4×98.4×88.4 | 138.5×101.5×74 | 134.3×102.3×91.8 |
| 重量(バッテリー込,g) | 695 | 658 | 699 | 760 | 800 |
| その他 | 冷却ファン内蔵 |
実売価格は12月3日時点の金額です。
α7Ⅴの特徴

目玉となる特徴はイメージセンサーと画像処理エンジンが進化したことです。それにより14bitRAWの30コマ/秒撮影が可能となり、ブラックアウトフリー連写に対応、α1と同性能になりました。これは、14bitRAWだと20コマ/秒のZ6Ⅲや実質12bitのR6Ⅲと大きく異なる点です。また、撮影の1秒前まで遡れるプリ連写も搭載されています。さらにダイナミックレンジはα1をも凌ぐ16ストップとなり、スチル機としてトップクラスの性能を誇ります。
AF性能は他と同じAIユニットにより被写体認識の数が多くなり飛躍的に向上しました。手振れ補正も7.5段とハイエンド機の8.0段には届きませんが良くなっています。
動画は4k120pまで撮影が可能となりましたが、APS-Cクロップされます。また、4kが最高画質であり、内部RAW収録に対応していないのは前機種と同じです。
ボディも変わり、一番大きな変化はモニターがバリアングルからマルチアングルになったこと。これによりチルトとバリアングル両方のメリットが受けられます。
インターフェイスはUSB-Cが2つとなり、現代に即した変更となっています。
前機種から大幅な機能の向上を遂げましたが、価格も上昇。定価で40万円を超えていますが、他メーカーのベーシック機と比較するとあまり変わりません。前機種のα7Ⅳは実売価格とキャッシュバックキャンペーンこ考慮すると20万円前半で手に入るので、予算によっては選択肢に入りそうです。
R6Ⅲとの比較

11月に発売したばかりのCanonのベーシック機で同時くらいの画素数を有していて、価格もほぼ同じです。最高連写40コマ/秒となっていますが、電子シャッターの場合は14bitをA/D変換した12bitとなっており、ブラックアウトフリー連写には対応いていません。手振れ補正は8.5段と強力です。モニターはバリアングルのため、とっさの角度変更に対応し辛くなっています。スチル機としてはα7Vの方が使い勝手が良さそうです。
動画性能はクロップのない4k120pや7kでのオープンゲート撮影、内部RAW収録が可能など高い性能を有しています。そのため、高品質の動画を優先する場合はR6Ⅲの方が良いでしょう。
Z6IIIとの比較

部分積層を初めて搭載したカメラで、性能も似通っています。画素数は約2400万画素と控えめで、最大連写は120コマ/秒ですがJPEGのみ。RAWだと20コマ/秒になります。手振れ補正は8.0段と高いですがブラックアウトフリーには対応していません。モニターはバリアングルのため、とっさの角度変更に対応し辛くなっています。スチル機としてはα7Vの方が少し優位に見えます。
動画性能は4k120pが同じAPS-Cクロップですが、6k60pや内部RAW収録が可能で秀でた性能を有しています。
価格は定価だと40万円弱ですが、発売から1年以上経過しているため、実売価格とキャッシュバックキャンペーンを考慮すると30万円を下回る価格で手に入れることができます。性能と比較するとコスパに優れたカメラと言えるでしょう。
S1 IIとの比較

こちらベーシック機ではなくフラッグシップ機ですが、価格や性能が近いため比較対象としています。画素数は2410万画素と多くは無いですが、連写性能は電子で70コマ/秒(12bit、14bitだと60コマ/秒)、プリ連写も1.5秒まで遡れるなど高いスチル性能を備えていて、さらにブラックアウトフリー対応です。また、9600万画素相当で記録できるハイレゾモードは手持ち撮影も可能なくらい優秀な手振れ補正を備えています。
動画性能もオープンゲート撮影が可能でRAW収録可能、デュアルベースISOで夜間撮影に強く冷却ファンを内蔵しているため、より本格的な動画制作に必要な性能を備えたカメラです。また、モニターはフリーアングルでチルトとバリアングル両方を兼ね備えた便利な機構となっています。色々な機能がある分重量は800gと重くなっています。
高性能なハイブリットカメラですが、その分値段は高く、実売価格で40万円以上しています。α7Vよりもより本格的な動画撮影が必要なら、選択肢には入るくらいの価格差です。
スチル機としてはハイエンド機とそん色ない性能のベーシック機
ベーシック機としては連射速度の向上や4k120pでの動画撮影が可能など、他メーカーと足並みをそろえてきました。そんな中でもスチル機としての機能上昇が目立ちます。α1と同じ30コマ/秒の連写にブラックアウトフリー対応、手振れ補正も7.5段と向上しモニターが便利なマルチアングルとなりました。
反面、動画機としては内部RAW収録に対応しておらず、解像度も4Kが限度。最近流行りのオープンゲート撮影にも対応していないので、一歩劣っているように思えます。
そのため優秀なスチル機という立場になっていて、差別化はできています。価格は約40万と高いので、20万円前半で手に入る前機種も性能は劣っていますが必要なスペックはあるので、価格を抑えたい方には十分選択肢に入るでしょう。


