駒ヶ岳ロープウェイから木曾駒ヶ岳と空木岳を縦走する【百名山四十八、九座目】

登山
登山百名山

日本アルプスの中でも最近まで国立国定公園として指定されていなかった中央アルプス。その中の百名山は木曾駒ヶ岳と空木岳です。ちょうど駒ヶ岳ロープウェイの駐車場からぐるっと一周できる縦走コースがあり、令和4年度から檜尾小屋がテント泊可能になったので、1泊2日で縦走してきました。

・スタート、ゴールは菅の台バスセンター
・宿泊地で令和4年度からテント場の営業が始まった檜尾小屋
・宝剣岳は北側の登山道よりも南側の方が長く険しい
・島田娘以降の稜線は思った以上にアップダウンあり
・第一ピークから空木岳山頂までは岩場の連続
・小地獄大地獄は岩の細尾根で鎖あり

2022年9月に行ってきた写真と登山データを掲載しています。
最新の登山道情報は自治体等でご確認ください。

ルート基本情報

行程

1日目 7.5㎞ 5時間37分 上り899m 下り853m

菅の台バスセンター【出発地】~宝剣山荘~木曽駒ヶ岳~宝剣岳~檜尾岳~檜尾小屋【宿泊地】

2日目 17.1㎞ 8時間48分 上り957m 下り2,786m

檜尾小屋【出発地】~熊沢岳~空木岳~大地獄小地獄~池山~菅の台バスセンター【到着地】

ルート地図及び情報

下記をクリックするとYAMAP地図活動時間などの詳細な情報が見られます。

ロープウェイから木曽駒ヶ岳と空木岳を縦走する【百名山四十八、九座目】 / bataoさんの熊沢岳大滝山(長野県駒ヶ根市)宝剣岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ

ルート詳細情報

1日目

駒ヶ岳ロープウェイ

駒ヶ岳ロープウェイ公式HPより

駒ヶ岳ロープウェイに行くためには、まずしらび平駅まで行かなければなりません。そのしらび平駅への道はマイカー規制となっているため、菅の台バスセンターでバスに乗車する必要があります。菅の台バスセンター駐車場料金は有料で、普通自動車だと1日800円になります。

ちなみに乗車券売り場の営業開始時間は始発便の30分前かと思われます。今回は始発が6時15分だったので。台風一過のタイミングとあってか、乗車の列が形成されています。結局バス1台では到底無理で、臨時バスが2台出ました。

バス内では所々でアナウンスが流れ、観光地の説明をしてくれます。ちなみに県民割を利用する場合は、ロープウェイとバスの乗車券は別々に購入する必要があり、バスは下車時に精算することになので、駐車場の乗車券売り場では購入できません(キャッシュレスも使用不可となります)。

バスはしらび平駅が終点です。ここからロープウェイに乗りますが、やはり臨時便で乗車しました。

ロープウェイ内からは滝や南アルプスの山を見ることができます。

宝剣山荘

千畳敷駅に到着しました。中から南アルプスを眺めることができます。

外に出ると目の前には千畳敷カール宝剣岳がお出迎え。宝剣岳は険しい岩場であることがここからでも伝わってきます。

木曽駒ヶ岳へは宝剣岳を通る道と通らない道があり、宝剣岳は縦走の通過点なので、通らない道で木曽駒ヶ岳を目指します。

岩肌がない所めがけて歩いていきます。まずは遊歩道を歩いていきます。

ふと振り向くと雲海と南アルプス。雲海は標高2,500mくらいでしょうか。

看板によると遊歩道との分岐が登山口です。

千畳敷カールと駅。こんな高い所に駅がポツンとあるのが良いアクセントとなっています。

稜線が近づいてくるとパイプの階段が登場。

登りきったところは乗越浄土です。伊那前岳への道が続いてます。宝剣山荘もすぐそこです。

宝剣山荘に着きました。定員120名で1泊2食13,000円、素泊り10,000円となっています。

天狗荘も隣接していますが、現在は営業していません。また、木曾駒ヶ岳山頂付近のテント場は、頂上山荘が月~木は営業していないため、宝剣山荘で受付する必要があります

まずは木曾駒ヶ岳へ向かいます。

木曾駒ヶ岳

木曾駒ヶ岳へ向かう道は分かれており、中岳山頂を経由する道と巻道があります。巻道は岩場などを通る難所があるようですので、ほとんどの方は中岳山頂経由していきます。

緩やかな道を登っていけば中岳山頂です。

中岳からは木曾駒ヶ岳の山頂や、奥には御嶽山は目に入ってきます。青い屋根の頂上山荘へ下ってから登り返しとなります。

頂上山荘は8月15日から月~木は営業していないので注意が必要です。

テント場は山荘の目の前にあり、幕営料は2,000円です。ロケーションとしては、やはり木曾駒ヶ岳の山頂直下にあることが最大の利点でしょうか。

登っているときには頂上木曽小屋が視界に入ります。

木曾駒ヶ岳の山頂です。

山頂には立派な神社の奥社が建てられています。

他にも石で囲われた祠など、山頂は広々としたスペースがあります。

山頂からは上松町方面や将棋頭山へ行くルートがあります。

が、今回は宝剣岳のさらに奥に見える空木岳まで縦走する道です。なので来た道を戻ります。

宝剣岳

宝剣山荘まで戻り、宝剣岳を目指します。ちょうど山頂に人が立っています。

事故が多発している山ですが、冬季にしか触れられていないので、夏場はそれほどでもないのでしょうか。

少し登ると早速鎖場です。補助的についているので使用しなくても登れます。

宝剣山荘側からだとこの岩のトラバースが最大の難所です。すれ違いは困難なため、一人づつ通らなければなりません。

待ち時間の間にパシャっと。滑川と三沢岳が視界に入ります。

あとは岩をよじ登れば宝剣岳山頂です。山頂は平らな所がなく狭い場所です。

展望は360度あり、伊那前岳への稜線や

千畳敷カールを見下ろすことができます。

空木岳方面の稜線はここからだとなだらかな道に見えます。それでは宝剣岳から下りて稜線を歩いていきます。

割と狭い岩をくぐる場面が。テント泊装備には堪えます。

岩の上り下りが激しく、登ってきた道のりよりもきつく感じます。

振り返った宝剣岳は岩の塊。鎖が所々見えています。

ようやく稜線に出て一息ついたところ。ここから島田娘辺りまでは気持ちの良い稜線が続く極楽平です。

檜尾岳

途中に千畳敷駅へ下りる道への分岐。宝剣岳を周回する道としても使われています。

島田娘を過ぎたあたり。想像していたよりアップダウンがありそうです。

濁沢大峰への上り返し。この辺りは通常の登山道です。

ただ、濁沢大峰の山頂からは岩場となり、鎖場もあります。

そして下りには2連梯子が登場。なかなかに険しい道が続きます。

長い上り返しを黙々と歩いていけば

檜尾岳の山頂に到着です。標識の後ろに檜尾小屋、右手には空木岳が映ります。

檜尾小屋

少し下がると下には新設されたテント場が。小屋までは思っていたより距離があります。

檜尾小屋は素泊りのみとなっており、1人7,000円です。また、テント場は1人2,000円となっています。両方とも事前の予約が必要です。

テント場は区画が分かれており、場所を選べます。

水場は小屋から登山道を少し下ったところにあります。

明日歩く稜線が小屋からは良く見えます。空木岳を登る前に一度大きく下っているのが分かります。

南アルプスや駒ケ根市を眺めることができ、展望の良い山小屋です。

2日目

熊沢岳

2日目は行程が長いので、夜明け前行動です。残念ながら天気は喜ばしくない状況です。

まずは大滝山が見えてきました。ここまではよくある登山道です。

しかし、熊沢岳までの道中では岩の鎖場が登場です。

変わった岩を割とがっつり上ります。

一風変わった岩が徐々に多くなってきますと

熊沢岳山頂です。標識の向こうのピークの方が高い気がします。

岩場は少なくなりますが、ハイマツ帯を歩くことになります。水気を持ったハイマツが避けられないくらい登山道にはみ出ているので、全身びしょぬれです。

木曽殿越

このハイマツ帯を歩くくらいなら、岩場を歩きたいくらい嫌な場所です。

と思っていたら岩場を登る場所が出てきます。ここを登ると

東川岳山頂が目の前に。

東川岳山頂では太陽が姿を現してくれました。

そして空木岳も山頂までは見えませんが、第一ピーク辺りまでガスの中から出てきました。

この標高を保ちたいですが、木曾殿越へ下っていきます。一部危険な細道があります。

木曽殿越には木曽殿山荘があります。定員は30名で1泊2食10,000円、素泊り6,000円です。

伊奈川ダム方面への登山道分岐があります。途中渡渉地点があり、増水時は渡渉が困難とのこと。ここから空木岳までずっと上りになります。

空木岳

最初は登りがいのある道が続きます。急坂とまではいかないような傾斜です。

長い上りの先に偽ピークとも言われる第1ピークです。ここからは岩場が連続します。

岩は奇岩が多く、見る分には飽きません。

ただ鎖場はあり、足場も設置してあるくらいの岩登りがあります。

運よく雲が少し晴れ、周囲の景色が少しわかるようになりました。また、山から多くの岩が突き出していることが見て取れます。

奇岩の岩場を超えれば空木岳山頂です。

さらに南駒ヶ岳へ行くルートがありますが、菅の台バスセンター駐車場へ下っていきます。

大地獄小地獄

下り始めるてすぐのところに駒峰ヒュッテがあります。

管理人が常駐している小屋ではなく、不在時は電話連絡して料金を箱に入れます。現在はコロナのため素泊り(5,000円)のみとなっています。

雨が強くなってきましたが、晴れることはなさそうなので先へ進みます。登山道へは外のデッキから続いています。

緩やかな下り道には奇岩がぽつぽつと散らばっています。

その中でもやはり目に付くのは駒石です。四角い形をした石は自然にできたものとは思えません。

空木平分岐ではすでに森林限界下となっています。駒石経由ルートとは別に、空木平避難小屋を経由して山頂に行くルートがあります。

トラバース気味の道が続いていきます。緩やかなのですが、時折鉄の階段が出てきます。

ヨナ沢の頭以降も同様で、木道があったりします。

迷い尾根にはここから滑落事故多発の看板。ここからが急峻な岩場の細尾根である大地獄小地獄です。

急斜面を長い鎖場で下りていきます。

細い道を倒木がふさいでいる個所も。

鉄の階段があったりと、整備されています。ただ、積雪時は難易度が上がり、トラバースか直登かその時に応じた対応が必要となります。

あとは長い長い登山道をひたすら下っていくだけとなります。

池山

マセナギに分岐点があったので焦りました。簫ノ笛山への登山道がヤマップに掲載されていなかったためです。もしくは最近整備されたのでしょうか。

尻無を過ぎると池山小屋分岐がありますが、今回は通らず池山を目指します。ただ、池山小屋から山頂へ通じる道があるので寄っても良かったかもしれません。

池山へ行かずとも下山できますが、せっかくなのでピークハントしに行きます。途中水場があります。

なだらかな道を登っていくと池山山頂です。雨が激しいので即足は下山に向かっています。

タカウチ場は分岐点が多く、分かりづらいですが右奥が下山道です。

途中の篭ヶ沢の岩窟もスルーして

林道終点登山口に着きました。10台ほど駐車できそうなスペースです。

駐車場にはトイレがあるのですが、その裏には近道があったりします。

林道を歩けば下りられますが、別にある登山道の方が近道なのでそちらを利用します。

道中には三本木地蔵と慰霊碑があります。

小川のような登山道を下っていくと林道とぶつかりますが、続けて登山道を進みます。

2回ほど林道渡りをすると木陰のパノラマ遊歩道と合流します。登山道と組み合わさり、迷路のようになっているので、GPSで確認しながら進みます。

林を抜けると池山登山口です。駐車場は3段あり、多くの台数を停めることができます。

駐車場を下りていくと、オレンジのネットがかけられた場所があります。歩行者用の近道なのですが、通り抜け不可かと思いきや通ることができました。

あとは菅の台バスセンター駐車場まで500m車道を歩き、今回の山行は終わりです。

この登山を振り返って

ロープウェイがある木曾駒ヶ岳や宝剣岳はやはり人が多く、登山道も整備されていました。特に木曾駒ヶ岳までの道は登山ではなく観光の恰好でも行けてしまう距離と道です。

宝剣岳以南の稜線は割とアップダウンが多く、岩場や急な斜面もあるので、思った以上に気を引き締めていった方がよいでしょう。木曾駒ヶ岳と空木岳の中間点である檜尾小屋でテントができるようになったことは、縦走する人にとってかなりありがたいことです。あとは頂上山頂くらいしかないので。また水場があるのも嬉しいポイントです。稜線では水場がほとんどありません。

空木岳から菅の台バスセンター駐車場までは標高差約2,000mの距離約12㎞と長丁場です。下りで傾斜は緩いですが、大地獄小地獄の難所もあり、体力はなるべく温存したほうがよいでしょう。

中央アルプスは南駒ヶ岳や越百山など、さらに南に連なっているので、機会があれば南部も縦走をしてみたい山域です。

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