超望遠レンズは小さなカメラバッグにはなかなか入らないサイズです。今まで登山ザックで代用していましたが、高価なレンズということもあり、大き目のカメラバッグを購入しました。登山でも超望遠レンズを持っていくため、アウトドアに適したHAKUBA プラスシェル トレック04の27Lを選びましたのでレビューしていきます。
スペック
製品名 | プラスシェル トレック 04 27 |
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発売日 | 2023年11月09日 |
価格(円) | 19,800 |
容量(L) | 27 |
外形寸法(㎜) | 355*540*230 |
内径寸法(㎜)上段 | 290*320*180 |
内径寸法(㎜)下段 | 290*200*190 |
材質 | ナイロン、ターポリン |
重量(g) | 1,700 |
ハクバから発売されているプラスシェル トレックシリーズはフィールドでの撮影に最適なカメラバッグがコンセプトです。04というのは4度目のモデルチェンジを意味します。前のモデルである03からは容量が増えたにもかかわらず、重量が減っていたりと改良されています。
容量は27Lで超望遠レンズを入れても他のレンズやカメラなどを入れる余裕があるサイズ。
生地は軽量撥水のナイロンを採用しています。レインカバーは付属していないので、必要に応じて準備する必要があります。また、安心と信頼のYKKファスナーが採用されています。
実物レビュー
外観と機能
早速レビューしていきます。ベルトやバンジーコード等があり、登山ザックのような所があります。
ベルトの留め具は少し変わった形状をしていて、取り外しがしやすい設計です。
バッグを持ちやすいように取っ手がトップ・下部・背面についています。
サイドポケットはジッパーで開閉。厚みのあるものはあまり入りません。
さらにその下にポケットがあり、伸縮性があるので登山ザックによくあるボトルなどを入れるような場所です。
地面に置いてバッグを自立させ、汚れないようにするためにフットスタンドが付いています。
チェストベルトは着脱可能で、デイジーチェーンによって場所を変えられます。
ショルダーハーネスを体にフィットさせるためのリフトストラップ等があり、ここでも登山ザックを感じさせます。
トップにはバンジーコードがあり、衣類など軽くてある程度柔らかいものを固定できます。
前面にはデイジーチェーンがあり、それに合ったベルトがあります。
また、三脚をセンターで取り付けるためのベルトがあります。ここはベルトが簡単に緩まないような仕組みになっています。
サイドにはファスナーを止めるためのベルトがあり、中にある機材の不意な落下を防ぎます。
ファスナーポケットもあり、地図など薄い物を入れるのに役立ちます。
下部にもベルトがあり、登山ザックのようにマットなどを装着できます。
内部の機能
内部を見ていきます。上部は上からファスナーで開閉します。
背面にはノートパソコンを入れるスペースがあり、14インチ程度なら入れられます。また、A4サイズの書類も収納可能です。
上部の仕切り構造。大きな仕切りが2枚、小さな仕切りが3枚、伸縮ベルトが1枚あります。
このバッグは2気室になっていて、上部と下部をつなげて1気室にすることも可能です。境にある仕切りは3枚で、中央の仕切りが大きいものになっています。
今度は下部を見ていきます。シンプルに6つに分かれている構造で、仕切りは大が2枚、小が3枚です。
実際にレンズなどを入れてみる
ソニーの200600Gはレンズのみなら下部まで貫通しなくてもギリギリ入りました。
下部まで貫通させるとカメラとフードを付けても収納できるようになります。
この状態でレンズの集能力をチェック。70200GM2を縦にしたら何とか収まります。タムロン28200も入れられるので、大口径の望遠レンズでない限りは収納できそうです。
ただ、登山で超望遠を使う頻度は高くないので、70200GM2にカメラを付けてバッグを2分割にして使うことの方が多そう。
基本トップからアクセスすることになると思うので、緩衝材で補強しときます。
下部はオーソドックスな形で収納力もそこそこあります。左からツェルトとヘッドライト、真ん中はレインウェア上下、右はフラッシュとレリーズを入れてみました。基本的に頻繁に開く所ではないと思うので、使用頻度が低いものを入れています。
場合によっては撮影を終えてカメラをバッグに収納したいときのために空けておくのもあり。2470GM2とα7Ⅳで何とか入ります。
トップにある小さなポケットにはカメラクリーニングや予備バッテリーを入れてみました。
サイドポケットには100均の500mlボトルに入れた携帯食料。背負ったままでも取り出せます。
反対側には雑にポールを収納。ファスナーストッパーに取り付ければ安定します。
下部のベルトに取り付けられるんですけど、流石に横へはみ出しすぎなので、狭い道を通ることが多い登山には適していません。
三脚は仕様通りにセンターに取り付け。
サイドのファスナーポケットにはフィルター類を雑に突っ込んでいます。
ショルダーベルトにあるデイジーチェーンには熊鈴とかクマよけスプレーとかの小物を装着。
登山でおなじみのピークデザインキャプチャーも取り付けられます。
オプションのウエストベルトで負担を軽く!
トレッキングに適したバッグというコンセプトですが、残念ながらウェストベルトは付属しておらず、別途購入が必要です。それがこのGW-PROのウエストベルト。このバッグにも装着可能です。
再度両方に伸縮するポケットがあり、ある程度のスマホなら入ります。写真はgalaxyのs10で、サイズは約150x70x7.8mmです。
メッシュ生地で腰にフィットし通気性も兼ね備えています。
取付方法ですが、バッグの腰部分をめくるとマジックテープが出てきます。
ウェストベルトにもマジックテープがあるのでこの二つを合わせるようにして装着します。
脱着可能なウェストベルトですが、マジックテープでしっかりと固定されています。ウェストベルトがないと重い機材を背負っていくのは肩に負担がかかり過ぎるため、登山には必需品です。
良い所
・超望遠レンズを収納できる大きさ
・トップアクセスでカメラを出しやすい
・三脚をセンターで取り付けられるため、バッグのバランスがいい
・2気室によりカメラ以外の物を区別して収納できる
・バンジーコードやデイジーチェーンで外付け可能
トレッキングに適したバッグと言われるだけあって、カラビナなどで外付けしやすい仕様になっています。また、2気室構造はカメラやレンズ以外のものを入れる時、整理しやすくなります。アウトドアギアはアクセスしづらい下部に収納しておく等の使い方ができ、カスタマイズしやすい構造です。
また、三脚の固定位置がセンターと重量のバランスがよく、長時間背負うことを想定すると地味に助かる機能です。サイドに取り付けするとなると、逆サイドにも同等の重量があるものを取り付けないと、片側にだけ負担が増すことになります。
気になる所
・登山ザックに比べると生地が安っぽい
・小物を入れるスペースが少ない
・背負い心地は登山ザックに劣る
・サイドアクセスが無いため取り回しが悪い
・ウェストベルトやレインカバーが付属していない
全体的な所感は安っぽく感じるところです。価格が2万円を切る27Lバッグというと、こんなものかもしれませんが、上の写真のように縫製が丸見えなのは少し不安になります。また、予備バッテリー等の小物類を入れるポケットが少ないので、その辺りの使い勝手は悪く感じます。
また、いつできた傷か分かりませんが、バッグに穴が開いていました。クッションも貫通していたので、尖った物が刺さった感じでしょうか。地面に倒れたことはあるのですが。このことから思ったのは生地の品質です。登山ザックに比べると明らかに劣ります。デニールも数値として掲載されていないので、あまり期待はできません。総じてハードなアウトドアには向かないでしょう。
また、背負い心地は流石に登山ザックに軍配が上がります。体に密着できるような仕組みはあるのですが、フィット感はあまり感じられません。
サイドアクセスが無くて咄嗟にカメラを取り出せない点は、アウトドア用バッグとしての機能を重要視したためと考えれば無理もないことかもしれません。ただ、ウェストベルトがオプションなのは割と致命的だと思います。ウェストベルトは約3,000円と安くなく、カメラバックと合わせて2万円を超えてしまい価格が魅力的ではなくなります。レインカバーも付属していませんが、登山ザックを持っている人は、1つは自前のものがあると考えると無いのも仕方ないかも。
他のアウトドアカメラバッグ
アウトドア仕様で超望遠レンズが入るバッグはいくつかあり、機能が優れた商品が多く悩みました。それらの商品をご紹介します。
ロープロから発売されているアウトドアフォトグラファーに向けたバッグで、強度が高いリップストップナイロン生地を使用、スキー板を取り付けることができるなどハードなアウトドアに耐えうる仕様になっています。機能としては申し分ないのですが、高価格なのがネック。
シモダからアウトドア用バッグとしてアクションXシリーズが発売されています。こちらも申し分ない性能を備えていますが、やはりお高い値段が購入意欲を阻みます。
シンクタンクフォトのアウトドア向けバッグであるマインドシフトギアから数種類のバッグが発売されています。ファーストライトは長時間の移動でも快適に過ごせるように多くの調整ベルトがあり、ポケット等が多くアウトドア向けのバックです。こちらも高価格帯のバックになっています。
高い商品ばかりですが、低価格の商品もあります。それは今回レビューしたトレック04の旧型モデルトレック03です。サイズが少し小さくなり、重量が増しています。そのほか細かい所で使い勝手は劣りますが、ウェストベルトは別売ではなく付属していて、価格で言うと約1万円ほどの差があります。価格を抑えたい場合はこちらも選択肢に入ると思います。
このバックのおすすめ用途
自分は超望遠レンズを収納できるアウトドアのカメラバックとして活用しますが、このバックのその他でも
〇27Lという容量があるため、普段のカメラバックとして仕様
〇超望遠レンズを入れなければ日帰り登山バックとして十分な機能と容量
〇カメラ機材が少ない場合は宿泊を伴う小旅行も可能
〇アウトドア仕様のカメラバックは高価格なものが多い中、手頃な価格で手に入る
といったところが挙げられます。もっと価格を抑えるなら旧型のトレック03が1万円を切ることもあるので、そちらもおすすめです。
まとめ
アウトドア仕様のカメラバックで値段が抑えられているものとして購入してみました。値段相応の耐久性だと思いますが、軽い日帰り登山程度なら問題なく使用できそうです。ネット通販ではもっと安いカメラバックはゴロゴロしていますが、HAKUBAという歴史のあるブランドなので、確かな信頼性があります。
岩場や藪漕ぎなど、ハードなアウトドアには正直耐えられないと思うので、その場合は上記の高価なカメラバックをおすすめします。もしくはカメラインナーケースを使ってザックに入れた方が安心してアウトドアを楽しめるでしょう。