南アルプス南部縦走の3日目~5日目の記事になります。聖平小屋から聖岳に登り、百閒洞山の家でテント泊。4日目は赤石岳、悪沢岳をピークハントして千枚小屋で初めての小屋泊をしました。天候が優れないときではありましたが、こんな感じなんだくらいの気持ちで読んでみてください。
1日目と2日目の記事はこちら↓
・この記事は4泊5日の3日目から5日目
・聖岳から兎岳までの間は急な下りと登り
・稜線は南アルプス北部の山も見えるほどの景色が続く
・大沢岳から百閒洞山の家への下りはゴロゴロした浮石だらけ
・荒川中岳から悪沢岳へはガレた急坂があり、山頂近辺は岩がゴロゴロ
・千枚小屋より下は森の中を歩き、最初はゆったりで最後になるほど道がきつくなる
・宿泊地は百閒洞山の家でテント泊し、千枚小屋で小屋迫
ルート基本情報
行程
3日目 7時間21分 11.3㎞ 上り1,579m 下り1,383m
聖平小屋【出発地】~聖岳~兎岳~大沢岳~百閒洞山の家【宿泊地】
4日目 7時間28分 14.8㎞ 上り1,641m 下り1,508m
百閒洞山の家【出発地】~赤石岳~荒川小屋~荒川中岳~悪沢岳~千枚岳~千枚小屋【宿泊地】
5日目 3時間43分 9.9㎞ 上り248m 下り1,740m
千枚小屋【出発地】~椹島【到着地】
ルート地図及び情報
下記をクリックするとYAMAPで地図や活動時間などの詳細な情報が見られます。
光岳〜聖岳〜赤石岳〜悪沢岳を周回【百名山三十九〜四十ニ座目】 / bataoさんの兎岳(長野県飯田市南信濃木沢)・茶臼岳(長野県)・南岳(長野県)の活動データ | YAMAP / ヤマップ
ルート詳細情報
3日目
聖岳
暗闇の中、聖平小屋を出発し、まずは聖岳山頂を目指します。
途中あった檻は何かと思えば、鹿から高山植物を守るものでした。
聖岳に登るためよくザックがデポされているらしい薊畑。標識しか見えません。
西沢渡への分岐。便が島へ下りていく道です。
特段急な登りではないですが、場所によってはロープがあったり。
空が白くなってきたところで小聖岳に到着。ここで森林限界を超えます。この日は強風だったので、森林限界下の方が楽でした。
途中ガレた細道を進みますので落っこちないよう注意します。
登っている途中に朝焼けが始まりました。さすがにご来光には間に合わないです。
最後のつづら折りを登っている最中に太陽が顔を出しました。
太陽が登り切ってしまいましたが、聖岳山頂に到着。よく見ると、太陽の右下雲海に富士山がひょっこりと頭を出しています。
今日は聖岳がガスの境目になっているようで、北側の赤石岳がよく見えます。2日目の上河内岳などは雲の下です。
風が強いので、ササっと奥聖岳にも行ってきます。
奥聖岳までの稜線はなだらかで、チングルマの綿毛が辛うじて残っています。
奥聖岳の山頂です。聖岳の時よりも背後の富士山がはっきりと見えます。
赤石岳も近くなり、雲も相まって凛々しい姿となっています。
聖岳に戻って、ここから稜線歩きとなります。次のピークは兎岳で、これから歩く山々を眺めながら下っていきます。
兎岳
兎岳までは一旦森林限界下まで下り、その後登り返しとなります。そのためなかなかの急坂です。
森林限界下までは周囲の景色を見ながら歩いて行けます。奥にある山は中央アルプスでしょうか。
赤石岳の奥には荒川岳がちらっと見えます。4日目以降は天気がよろしくないので、今のうちに目に焼き付けておきます。
森林限界下に突入しました。道端の草も生い茂っています。幸い朝露には濡れずに済みました。
少し広いスペースがある鞍部に着きました。ここからは上り返しです。
登り返しもなかなか急な場所が出てきます。
森林限界を超えたところでガスの中に閉じ込められ、雨もぱらついてきたので避難小屋へ逃げ込みます。
避難小屋は石やコンクリートで囲われており頑丈そうです。トイレはないので携帯トイレが必須です。中にはエマージェンシーシートや断熱シートが置いてありました。
しばらくするとガスから抜け出し、青空が広がっていたので山頂に登り切ります。
ただ、山頂で写真を撮ることを失念していたため、望遠で標識を悪あがきでとりました。
さて、宿泊地である百閒洞山の家までは、さらにいくつかのピークを踏んでいく必要があり、稜線はさらに続きます。
大沢岳
兎岳からはまず下りから始まります。
下りきったところで振り返ると、兎岳と聖岳の間が大きく落ちていることが分かります。
水場がありますが、10分ほど下る必要があります。
少し登ったピークが小兎岳です。赤石岳や奥の山々に近づいて行っているのが実感できます。
次に見えるは中盛丸山。一度森林限界下まで下ります。
急な登りを超えると中盛丸山山頂に到着です。
本日最後のピークとなる大沢岳を目指します。
途中に百閒洞山の家との分岐がありますので、大沢岳を必ず上る必要はありません。
しらびそ峠との分岐である大沢渡ですが、林道崩壊によりしらびそ峠方面は通行止めです。
山頂は岩でごつごつしています。
眼下には百閒洞山の家がちらっと見えます。
大沢岳山頂に着きました。今まで赤石岳に隠れ気味だった荒川三山や、そこまでの稜線がはっきりとしてきました。
岩場の山頂から下っていきます。少しトラバース気味に下っていく所があります。
その後はハイマツ帯、そして浮石だらけのガレ場になります。百閒洞山の家のテント場がすぐそこのように目に入ってきます。
百閒洞山の家
森林限界よりに下になり、林の中を抜けるとテント場にたどり着きます。
百閒洞山の家に行くには川沿いに歩いていきます。
百閒洞山の家です。南アルプスでもなかなか奥深いところに位置しています。㈱特種東海フォレストが管理している山小屋の一つで、小屋泊・テント泊共に予約が必要です。小屋泊は定員30名の1泊2食で13,000円、テント泊は20張程度で2,000円となっています。
受付では飲食料やグッズが販売しています。手ぬぐいが南アルプス南部を現した模様でほしかったのですが、残念ながら売り切れとなっていました。
トイレ、水共に小屋にあります。自炊場も小屋内にありますが、小屋泊の方専用となっています。
テント場は番号があり、1つ1つテントサイトがあります。
小屋の奥に行くとちょっとした展望台。聖岳を眺めることができますが、この時は上部が雲に隠れていました。
4日目
赤石岳
小雨の状態ですが、午後から悪化しそうなため早朝出発です。
テント場から登った先の平らな場所が百閒平です。かなりの広さがあります。
百閒平を過ぎると尾根を歩くことになります。一部崩落しているところが見受けられました。晴れていれば、かなり展望の良い稜線だったことでしょう。
ガレ場が出てくると赤石岳のとりつき部分です。ここは直登ではなくトラバースしていきます。
トラバースした先には標識が立っています。ここからが本格的な登りです。
岩が多いですが、特に難しいところはありません。
まず目に入ってくるのは赤石岳避難小屋。改修工事中ですが営業しています。㈱特種東海フォレストが管理しているので、料金設定は百閒洞山の家と一緒です。ただ、山頂にあるためテント場はありません。
小屋から目と鼻の先に赤石岳の山頂があります。荒川岳方面へ向かうときは山頂を通過する必要があります。360度の展望があるはずですが…
赤石岳山頂から下っていくと、赤石岳や椹島へ行く分岐点があります。
分岐点からは少しばかりの上り返し。
そして小赤石岳山頂です。ここから荒川小屋まではずっと下りになります。
荒川小屋
小赤石岳からは再度しばしの稜線歩き。何度も言うのですが晴れていれば素晴らしい光景が見えるはずです。
稜線が終わると今度は大聖寺平までの下り。雨で地面が程よく固まっているのか歩きやすい道です。
斜面が緩やかになってくると大聖寺平になります。
24歳の若さで亡くなった伊藤佳司さんの碑がひっそりとあります。
大聖寺平から荒川小屋へはトラバース道です。
いつの間にか森林限界下に入っていきます。
森の中を歩いていくと荒川小屋に到着です。㈱特種東海フォレストが管理しているので料金設定は赤石岳避難小屋などと一緒です。だた、テント場はあり、30張程度となります。
テント場は少し下ったところにあり、水場は無料ですがテント場の奥にあります。
小屋の奥から荒川岳へ登る道があります。
荒川中岳
最初はトラバースに進み、途中から上りになります。
鹿の高山植物食害を防ぐための柵があり、登山道はその中にあるのでドアを開けて柵の中に入ります。
柵を出て登っていくと分岐点です。荒川岳の前岳のみ登山ルートから外れていますので、ここでザックをデポしてピークハントしていきます。
前岳は分岐点から5分ほどで着きます。山頂だけ踏んで分岐点から中岳へ向かいます。
中岳の山頂も分岐点から10分ほどの位置にあり、すぐに行くことができます。
荒川中岳山頂です。ここまでは距離が短いピークになりますが、悪沢岳は距離があります。
中岳避難小屋は少し下れば見えてきます。この小屋も㈱特種東海フォレストが管理しています。ただ、食事はなく素泊りのみとなります。定員も10名なので、利用者はあまり多くなさそうです。
悪沢岳
中岳から悪沢岳への稜線は徐々に細くなっていきます。
稜線の先には山が見えてきました。
登りはガレ場の急登となっており、ここが一番きついところです。ガスの中から中途半端に太陽が出てきて、展望がないのに暑いという地獄に。
傾斜が緩やかになってくると悪沢岳山頂に到着です。東岳とも言われていますが、悪沢岳の名称の方が印象に残りやすいですね。
千枚小屋へは下っていくだけですが、悪沢岳の山頂付近は岩がゴロゴロしており、足元が不安定です。
千枚小屋
岩場を抜けると丘のような山に登っていきます。ここが丸山です。
その後もゆったりとした傾斜の下りが続きますが、トラバースに道が変わります。
梯子があるなど岩場の細尾根を進むと千枚岳になります。
千枚岳の下りでちょうど雲が晴れて悪沢岳の山容が姿を現してきました。このことを知っていれば、出発を遅らせていったのですが…
少しでも晴れ間が見えて満足したので、千枚小屋に向けて進みます。
途中二軒小屋への分岐点。すっかり森林限界下になっています。
ようやく森の中から小屋が出現。途中水場があります。
千枚小屋に到着です。この小屋も㈱特種東海フォレストが管理しているので料金は百閒洞山の家などと一緒です。ここではテント泊ができます。ただ、椹島からバスに乗って駐車場まで行きたいので、今回はバスを利用できる条件となる小屋泊となっています。
小屋の前から富士山が見えるのが特徴となっています。真っ白ですが。また携帯の電波は楽天ですがギリギリつながる程度です。
テント場は小屋から離れた場所にあり、トイレや水場は小屋にあるので少し不便です。
トイレと水場は小屋のすぐそばです。水場に関しては2か所あります。
受付を済ませると食事券が渡されます。夕食の時間は固定でしたが、朝食は4時30分か5時00分どちらか選択できます。時間になると従業員から声がかかります。
小屋は3階まであります。平日で雨だったためか、今回は1階で寝ることができました。寝具は寝袋×2、毛布×2、枕で、隣とは簡易的な背の低い仕切りがあります。
食堂は20時00分まで自由に使えます。夕食はハンバーグメインのメニューでした。ごはんとみそ汁はお代わり自由です。
5日目
椹島
朝食を済ませ、5時頃出発です。バスの出発時刻である10時30分に間に合うため早朝に出ます。
森林限界下なので展望のない森がずっと続きます。㈱特種東海フォレストが管理している森のため、適所にこの土地の説明看板が設置されています。林業で使用した道を登山道として利用している部分もあるようです。
ゆったりとした道が長い距離続きます。空も明けてきましたが、密集した森で太陽の光が届かない場所がいくつもあり暗くなっています。
4/7の清水平です。ベンチがあり近くに水場もあります。
トラバース道を過ぎると林道を横切る場所があります。
なだらかな所ですが、それゆえ道が分かりにくいところもあり、ピンクテープに沿って歩いていきます。
再度林道に出ますが、今度は60mほど移動した先に登山道があります。
途中に岩の尾根を登っていく箇所があります。岩頭見晴しで、少し空を見渡せる程度に開けた場所ですが、そこそこの登りに加えて岩の険しい道です。
鉄塔までくると登りから下りになります。
最後の下りの先には橋が待っています。千枚大吊橋で、残念ながらこの先がゴールではありません。
千枚大吊橋を渡った先は林道歩きとなり、再度緑色の車が通れる滝見橋を渡っていきます。
滝見橋の先にある林道は砂利の上りです。
井川山林の大きな看板が見えると椹島ロッヂへ下る道の入口があります。ここから少しですが森を歩きます。
まずは神社が見えて、隣の建物は写真館です。
そのまま歩いていくとレストハウスに着きます。ここでバスの受付をして整理券をもらわないとバスに乗車できません。出発時間ちょうどに出ていき、整理券があってもバスは待ってくれません。この建物内はお土産や軽食を取ることができます。
近くには自然ふれあいセンターもあり、時間をつぶす場所があります。
バスが通る道はがたがたなため、ヘルメットとシートベルトの着用が必要になっています。このまま夏季臨時駐車場まで行き今回の山行は終わりです。
この登山を振り返って
南アルプス南部縦走の3日目から5日目でした。3日目が好天に恵まれた反動か、4日目と5日目は終始ガスや雨。登山道に危険な個所がなかったため、雨で濡れていても早めの行動することができました。真っ白で見るところがなく、体がぐしょぐしょなのでつい歩くスピードが速くなってしまいます。
3日目が晴れてくれたおかげで、4日目のメインである赤石岳や悪沢岳までの稜線を眺めることができました。悪沢岳などからは、塩見岳や北部の白根三山等を望むことができたと思います。結局光岳は全景すら見ることができずに終わってしまいましたが。
南アルプス南部の奥深い山は登山口に行くこと自体が大変であるため、やはり一気に歩いた方が効率が良く、良い景色に恵まれた稜線を歩くことができるので、時間に余裕があればおすすめの道です。あとは天気とのにらめっこが大事ですが、4日5日だと天気の変動はあって当たり前なので、ある程度はえいやーで決め打ちしていきましょう。
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