登山には便利な28-200㎜のレンズをよく使っていました。広角から望遠までカバーしていましたが、ふと思ったのがどの焦点距離を多く使っていたのだろうと。結論としては広角28㎜を多用していたということになりますが、焦点距離の違いでどんな写真を撮っていたか写真を交えながら解説していきます。
カメラとレンズ環境
- ボディ:Sony α7 IV(33 MP, IBIS 5.5段)
- レンズ:Tamron 28-200 mm F2.8-5.6(レンズ交換の手間を最小化)
- 旅行用 1 本レンズとしては軽量級 575 g

登山に持って行ったカメラはSony α7Ⅲ(のちに乗り換えてⅣ)とTAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD。フルサイズのベーシックなカメラで手振れ補正があり、スペックは写真・動画とも必要十分な能力を備えています。

レンズは準広角の28㎜から望遠の200㎜という高倍率ズームで、広大な景色から花や動物、遠くの山々等を切り取れる器用なレンズです。F2.8スタートも便利で、三脚があれば夜景も撮影できます。これらの写真で多くの山の風景を撮ってきましたが、焦点距離でどのような違いがあるのか当時の写真を使いながら見ていきます。

広角域ーダイナミックな風景に

焦点距離の広角域は登山道中最も多く使いました。森林限界を超え、遮るものがない所から見る広大な景色を撮れるからです。

狭い登山道がどのような道になっているのかを広角ならわかりやすく表現できます。また、広角であれば手ぶれに対して相対的に強く、水の流れなどを違う形に表現します。

道中のお花を撮る場面でもF2.8という被写界深度の浅さを活かしたボケのを創り出すことができます。

28㎜では物足りないなという場面は多かったと思います。一応17-28㎜F2.8の広角ズームレンズも持ち運びしていたものの、兎に角レンズ交換が億劫で…夜景の撮影はともかくとして道中で一々最適なレンズを交換していると登山のテンポが悪くなってしまいます。
広角域は山に最適な焦点距離だと思います。山頂や稜線からみた景色をそのまんま写真として出力できるからです。ただ、難点というかスマホと画が変わらないと言われたら、それはその通り。(スマホの焦点距離は大体24㎜)
標準域ー近すぎず遠すぎない

標準域というと大体35~70㎜位でしょうか。このズーム域は都合の良い焦点距離だと思います。山と離れすぎず、でも近すぎず。広角・標準・望遠の中では最も使っていない焦点距離です。

じゃあなくていいかと言われるとそんなことはなく、広角だと映したくないものを画角から排除し、望遠では映し出せない景色を映してくれています。

人間の画角に近いと呼ばれているためか、あまり感動しない風景だと思ってシャッターを押さなかったのかもしれません。28㎜と200㎜の両極端な焦点距離ばかり使っていたんですよね。

山のダイナミックさよりも色んな表情を読み取って撮る画角かなと。広角だと気づきにくい細かな所を映し出し、それがメインになったり他の景色を引き立ててくれる名わき役になったり。
開けた場所からの撮影が多い焦点距離でした。これは花などの被写体を際立たせることが苦手で、F値がF3.5や4.0と高いためです。単焦点ほどの明るさがあればそういったこともできるでしょう。
望遠域ー遠くの山や野生の動物を狙う

望遠域、というか200㎜ばかり使っていたのですが、撮っていたのは近づくことのできない遠くの山や野生の動物がほとんどでした。広角や標準と違い圧縮効果により山が近く見え迫力が増します。

山意外だと偶然出くわす野生動物に。基本的には近づくことができないため、広角や標準だと大きく映し出す写真は撮れません。しかし、望遠レンズなら遠くからでもそれが可能です。

ライチョウは個体に寄りますが人が近づいてもすぐに逃げることはないので絶好の被写体です。そんな時望遠レンズがあれば珍しいライチョウを画面目いっぱいに撮れちゃいます。

圧縮効果で遠くの山が近くにあるように見せることも可能で、遊び心をくすぐられます。
望遠は景色の良い山であれば活躍しやすく、山から山を撮ることが多いです。ただ、ずっと森で一向に景色が変わらない山は露骨に望遠域を使う機会が減っていました。そうなると後は花を撮るくらい…
おすすめは広角よりの標準ズームレンズ
もし今から登山用のレンズを買うとすれば何を買うか。SonyのEマウントであればSony FE 20-70mm F4 Gを選択します。標準ズームなのですが、ワイド端が20㎜スタートという変わったレンズです。それでいて全長99㎜、重量488gと小型軽量な仕上がりとなっています。登山における重量は死活問題なので、少しでも軽く小さいレンズを求めています。

純正の高額なレンズは流石に、という場合はより広角に寄ったTAMRON 17-50mm F/4 Di III VXDも選択肢に入ります。17㎜という超広角から標準域の50㎜まで網羅している挑戦的なレンズです。解像度などは純正レンズに劣りますが、価格は約半分とお手頃な値段設定になっています。全長こそ114mmと長めですが、重量は460gと軽量です。

F値はF4.0で十分

おすすめ2本ともF4.0と暗いレンズですが、屋外での撮影は自然光が十分あるため問題ないでしょう。もし夜景を撮りたい場合は別途明るい単焦点レンズを持って行った方が便利です。夜景以外に明るさを求める場合というと、被写界深度を浅くし花や山の周囲をボケさせて際立たせるくらいです。
また明るいレンズは大きく重くなる傾向があるので、重たいものを極力減らしたい登山とは相性が良くありません。
望遠側はクロップも視野に
望遠端がどうしても足りない時、クロップするという選択肢があります。SonyにはAPS-Cクロップがフルサイズ機にはあり、α7Ⅳだと3300万画素から1400万画素ほどになります。大きなサイズで印刷でもいない限り、1400万画素もあれば十分です。
また、JPEGのみですが超解像ズームという劣化を抑えた電子ズームがあり、写真で焦点距離の2倍までズームすることができます。クロップよりも画質は上なので覚えておくと便利です。
このように望遠はクロップという選択肢があるのですが、広角は誤魔化しが効かないのです。なので広角を重要視しています。