笠をかぶせたような形状から名づけられたであろう笠ヶ岳。数多くの名峰が鎮座している北アルプスでは西側に位置しており、多くの登山者が利用している新穂高センターからアクセスできます。
今回は急登として名をはせている笠新道から登っていきます。
・新穂高センターがスタート&ゴール
・急坂で有名な笠新道を利用
・抜戸岳から笠ヶ岳までは稜線を歩く
ルート基本情報
行程
日帰り 13時間33分 23.9㎞ 登り2,397m 下り2,401m 山頂まで410分
新穂高センター【出発地】~笠新道~抜戸岳~笠ヶ岳~笠新道~新穂高センター【到着地】
ルート地図及び情報
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激坂の笠新道から笠ヶ岳を登る【百名山二十八座目】 / bataoさんの笠ヶ岳・抜戸岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ
ルート詳細情報
新穂高センター
登山の玄関口となる新穂高には、登山者用の駐車場がいくつかあります。登山口に最も近い無料駐車場は深山荘近く(図P5)ですが、その分競争率が高く、シーズン中は早朝でもまず開いていないため、前日に車中泊する人が多い印象です。
鍋平駐車場(図P8)は登山口まで遠く、森の中を歩く必要があり、下山時は駐車場まで登りになるため肉体的にも精神的にもつらい道です。
今回は深山荘近くの駐車場(P5)を利用します。200台以上は停めることができる駐車場ですが、シーズン中のみ駐車場に仮設トイレが設置されています。
駐車場から新穂高センターへ行く歩道がありますので、車道を通らずに行くことができます。
高原川沿いの森を抜けると車道に出ます。歩行者を知らせるため、路側帯に緑色の塗装がされています。
新穂高センターから飛騨山脈が見え、今回目指すべき笠ヶ岳も視界にとらえることができます。
新穂高センターは観光案内所兼休憩所で、営業時間は10時00分~17時00分です。登山指導センターが併設されているため、こちらで登山届を提出します。
高原川の左岸と右岸両方から佐俣林道にアクセスできますが、登りは左岸を歩きます。
三角コーンで歩行者通路が設けられています。案内看板もわきに設置されています。
ニューホタカを左手にとらえると、佐俣林道のゲートがありますので、こちらから林道へ入っていきます。登山届がありますので、新穂高センターで忘れてもここで提出できます。
林道は舗装路もあれば砂利道もあります。景色が全くないわけではなく、山頂が見える場面があります。
道は単調ですので、道路脇に咲いているアジサイやアザミを眺めながら気を紛らわしていきます。
お助け風の風穴からはひんやりした冷たい風が流れてきます。
この橋はいつ壊れるのでしょうか。
道路わきにはドバドバ水が流れており、パイプがあるため飲料として用いることができそうです。
ワサビ平の案内がありますが、今回はその手前に笠新道があるため、ワサビ平まで行きません。
シートがかけられたヘリコプター。物資輸送用ですね。
新穂高センターから1時間ほどで笠新道入り口に到着です。ここに湧水があり、給水ポイントとなります。
笠新道
笠新道は杓子平まで標高差1,080m、距離約2.5kmの道のりです。1kmあたり標高を430mほど上げていく計算ですので、勾配率43%と急登ですが、つづら折りに道が整備されているため、そこまで斜度を感じることはないです。
登山道には標高を知らせてくれる標識がひっそりと置いてあります。
鉄のはしごもありますが、木で作られたはしごも。
標高1,700mからは向かいにある新穂高ロープウェイや焼岳が見えてきます。
ササユリやニッコウキスゲが咲いており、果てしない坂の癒しです。
シモツケソウも道端で見ることができます。
道には急な坂に石がゴロゴロあり、なかなかスピードを上げることができません。
途中には風穴のような、ひんやりした空気が流れる場所があります。
標高2,100mからは槍穂が一望できるようですが、残念ながら雲に隠れて見えません。
雲の縫い目から槍の先っぽや大キレットが顔を出してましたが、すぐにガスに包まれます。
ハクサンフウロにカラマツソウが見られます。
激坂を登り終えると杓子平に到着です。ここから笠ヶ岳やその稜線が見える絶景なのですが、残念ながらガスが穴毛谷から湧き出て何も見えません。
ここにも多くの花が咲いています。コバイケソウやシナノキンバイ、
チングルマにハクサンイチゲなど。
抜戸岳
杓子平を通り、稜線へ出るため登っていきます。
足場は岩で、急な斜面ではないですが、笠新道で力を使いすぎたため、休みながら少しづつ進みます。
稜線に出たら、笠ヶ岳とは反対の抜戸岳を先に登っておきます。
稜線のハイマツ帯や岩地を歩いていきます。山頂までは遠くありません。
抜戸岳山頂です。標識の文字がボロボロのため、山名が分からない状態です。
弓折岳へ向かう稜線。笠新道を使用しない場合はこちらからのアプローチ方法があります。勾配は緩くなりますが、その分距離がかなり伸びます。
ハイマツ帯にある岩場を少し下って分岐点から笠ヶ岳へ。
杓子平へ行く分岐点。なぜか標識に鍬がかけられています。ここから笠ヶ岳への稜線が始まります。
笠ヶ岳
天気が良ければ笠ヶ岳まで見えると思うのですが、如何せんガスで見通しがききません。
打込谷は見えるので、一定の高度から雲が発生しているようです。
登山道にひと際目立つ岩があります。抜戸岩という岩で、道としては半分ほど進んだ目安になります。
アップダウンの道を進んでいくと、ようやく山頂と笠ヶ岳山荘が見えました。ここからが最後の登りです。
山荘の少し下にはキャンプ場があり、テント25張ほどの規模です。1人1,500円で利用できます。風よけの石が積まれているスペースもあります。
キャンプ場には水場がありますが、時期によっては枯れています。
キャンプ場から山荘までは岩場を登っていきます。
岩に描かれた文字に励まされながら進みます。道は岩に記されているので、迷うことはないでしょう。
唯一の雪歩き。距離が短く斜度もないのでアイゼンなどは不要です。
笠ヶ岳山荘に到着です。コロナの関係で、定員は50名の完全予約制です。予約は電話のみのようです。1泊2食13,500円、素泊まり8,000円です。水は1ℓ200円で販売しています。今回は日帰りで時間が押しているため、休憩なしで山頂を目指します。
山頂まではガレ場を登っていきます。
山頂には石に囲まれた祠が置かれています。
山頂の標識はどうやら離れた場所にある模様。
無事山頂に到着です。予定よりかなり時間オーバーしています。
雲の隙間から播隆平が見えました。
夜になる前に帰るため、ヘロヘロですが下山していきます。
キャンプ場の石をよく見ると「サヨナラ」の文字。
雲がとれて稜線の全容が分かります。
ぽつぽつと降っていた雨が本格的になってきたため、分岐点から雨具を装着していきます。
雨が降ったからなのか、杓子平から笠ヶ岳とその稜線を拝むことができました。
地獄の笠新道を下り終え、林道との合流点です。雨で水たまりができています。
長き林道を歩き切り、新穂高センターまでの道は近道を利用します。
林の中を下ると、新穂高ロープウェイへの橋を渡ります。
あとは道なりに進み、駐車場へ行く歩道を利用してゴールです。
この登山を振り返って
事前に笠新道は急登であるということは知っていましたが、想像以上に疲労困憊でした。新穂高から笠ヶ岳へのアプローチは、笠新道のほかに小池新道を通り弓折岳から稜線を歩いていく方法があります。斜度は緩やかになりますが、距離が大幅に伸びてしまうため、日帰りはより厳しいでしょう。
15時くらいから雨が降ってくる予報で、それまでに下山できると思っていたら、想定以上に時間がかかってしまい、自分の能力と計画が伴っていないことが分かりました。前日の午後から晴れだったので、1泊2日で計画すれば良かったと、登っている途中に気付きました。
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