Sonyカメラの新たなベーシック機α7Ⅴが発表されました。連写速度が大幅に上昇しブラックアウトフリー撮影やプリ連写が可能など、スチル機としての機能が上がっています。動画性能も4k120pでの撮影ができるようになりましたが、解像度は4kどまりでRAWの内部収録やオープンゲート撮影もできません。
動画よりも静止画に重きを置いて進化したα7Ⅴをα1Ⅱやα7RⅤなど同じSony機と比較してどういう位置づけになっているか確認してみます。
スペック比較表
| 品名 | α7V | α1Ⅱ | α7RV | α7C II | α9Ⅲ | α1 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 発売日 | 2025月12月19日 | 2024年12月13日 | 2022年11月25日 | 2023年10月13日 | 2024年1月26日 | 2021年3月19日 |
| 定価(円) | 約420,000円 | 990,000 | 577,500 | 306,900 | 935,000 | 880,000 |
| 実売価格(円) | 815,000 | 400,000 | 228,000 | 690,000 | 658,000 | |
| 画像処理エンジン | BIONZ XR2 +AIユニット | BIONZ XR+AIユニット | BIONZ XR+AIユニット | BIONZ XR+AIユニット | BIONZ XR+AIユニット | BIONZ XR |
| 画素数(万) | 3,300 | 5,100 | 6,100 | 3,300 | 2,460 | 5,100 |
| 常用ISO感度 | 100–51,200 | 100~32,000 | 100~32,000 | ISO 100–51200 | 250~25,600 | 100~32,000 |
| 最高連写撮影 | 電子:30/秒 メカ:10/秒 | 電子:30/秒 メカ:10/秒 | 電子:10/秒 メカ:10/秒 | 電子:10/秒 メカ:10/秒 | グローバルシャッター120/秒 | 電子:30/秒 メカ:10/秒 |
| シャッタースピード | 電子1/16,000秒 メカ1/8,000秒 | 電子:1/32,000秒 メカ:1/8,000秒 | 電子:1/8,000秒 メカ:1/8,000秒 | 電子:1/8,000秒 メカ:1/8,000秒 | 1/80,000秒 | 電子:1/32,000秒 メカ:1/8,000秒 |
| 手振れ補正 | 7.5段 | 8.5段 | 8段 | 7.0段 | 8段 | 5.5段 |
| 被写体検出 | オート・人物・動物・鳥・昆虫 車・列車・飛行機 | オート・人物・動物・鳥・昆虫 車・列車・飛行機 | 人物・動物・鳥・昆虫 車・列車・飛行機 | オート・人物・動物・鳥・昆虫 車・列車・飛行機 | オート・人物・動物・鳥・昆虫 車・列車・飛行機 | 人物・動物・鳥 |
| プリ連写 | 1秒 | 1秒 | なし | なし | 1秒 | なし |
| 撮影可能枚数(EVF時) | 630枚 | 420枚 | 440枚 | 540枚 | 410枚 | 430枚 |
| ブラックアウトフリー | 〇 | 〇 | × | × | 〇 | 〇 |
| ピクセルシフトマルチ | × | 〇 | 〇 | × | × | 〇 |
| コンポジットRAW | 〇 | 〇 | × | × | 〇 | × |
| ファインダー解像度(万) | 369 | 944 | 944 | 236 | 944 | 944 |
| モニタ解像度(万) | 210 | 210 | 210 | 104 | 210 | 144 |
| モニタ稼働方式 | マルチアングル | マルチアングル | マルチアングル | バリアングル | マルチアングル | チルト |
| 解像度とフレームレート | 4K120p(APS-Cクロップ) | 8k30p、4k120p | 8k24p、4k60p | 4K60p | 4k120p | 8k30p、4k120p |
| 記録メディア | CFexpress A/SD×1+ SD(UHS-Ⅱ) | CFexpress A/SD×2 | CFexpress A/SD×2 | SD×1(UHS-II) | CFexpress A/SD×2 | CFexpress A/SD×2 |
| 寸法(㎜) | 130.3×96.4×82.4 | 136.1×96.9×82.9 | 131.3×96.9×82.4 | 124.0×71.1×63.4 | 136.1×96.9×82.9 | 128.9×96.9×80.8 |
| 重量(バッテリー込,g) | 695 | 743 | 723 | 514 | 703 | 737 |
実売価格は12月3日時点です。
α1Ⅱとの比較

Sonyのフラッグシップ機カメラで、約5000万という高画質で30コマ/秒の連写が可能、8k動画撮影できるなどまさに万能機です。連写速度やブラックアウトフリーな所は同じですが、手振れ補正は8.5段、シャッタースピードが1/32000秒、ファインダー解像度が944万ドット等ほぼすべての点で勝っています。
記録メディアがCFexpress A×2あることなどから、業務用途に向いた高い信頼性のおけるカメラです。
唯一α7Ⅴが優位な所は画像処理エンジンがBIONZ XR2であること。これによりダイナミックレンジが最大16ストップとなり、豊かな諧調表現を可能としています。バッテリーの持ちも良く、撮影枚数にかなりの差があります。また、価格差は約2倍あるので、α1Ⅱと比べるとコストパフォーマンスに優れたカメラでしょう。
α7RⅤとの比較

高画素に特化したカメラで、α1をしのぐ6100万画素が特徴です。その代わり連写速度は10コマ/秒が限度でローリングシャッターの歪みも大きくなっています。プリ連写もできません。ファインダー解像度は944万ドットと高解像で、手振れ補正が8段あるため、あまり被写体が動かないスチル向けのカメラでピクセルシフトマルチ撮影により大幅な画素数upも可能です。
動画は8kで撮れますが8bitで24pのみ、4k120pでの撮影はできません。
価格はα7Ⅴよりも高いですが、発売から3年経過しているので実売価格が落ちており、キャッシュバックキャンペーンと合わせると30万円半ばで手に入れることができます。風景やポートレートなど動きのない被写体をメインに撮影し、業務用途に使うならこのカメラの方が良いでしょう。
α7C IIとの比較

コンパクトさを売りにしたカメラで、その分機能が省かれています。ファインダーの位置は真ん中ではなく左上で解像度が低い、記録メディアがSD×1だけで業務用途では心もとない設計です。画素数は同じ3300万画素ですが連射速度は10コマ/秒でプリ連写はできません。モニターもバリアングルで少し不便になり、動画も4k60p(APS-Cクロップ)となっています。
性能は劣ってしまいますが中央にファインダーが無い分非常にコンパクトで、重量は約500gとフルサイズカメラとしては群を抜いています。価格も20万円前半で手に入るため、サブカメラや気軽にカメラを楽しみたい人には打ってつけのカメラです。
α9Ⅲとの比較

民生用カメラ唯一グローバルシャッターを搭載したカメラです。そのため歪みが無く連写速度は驚異の120コマ/秒です。その分画素数は約2400万と控えめで、ISOが250スタートと画質に多少の影響があります。それ以外はクロップのない4k120p撮影が可能で記録メディアがCFexpress A×2、944万ドットの高解像ファインダーにシャッタースピードが1/80000秒等動きのある被写体には特化したカメラです。
価格は高く実売価格でも約70万円するので、スポーツや野生動物などを撮影するプロ向けカメラです。
α1との比較

フラッグシップ機の旧型ですが、依然高い性能を誇っています。約5000万の高画素に8k30pの動画撮影、記録メディアがCFexpress A×2など業務用途向け万能カメラです。ただ、AIユニットを搭載しておらず、AF性能は他に比べて劣ります。また、手振れ補正が5.5段、モニターがチルト式で144万ドットなど不便な所があります。
価格は最安でも60万円台でα7Ⅴよりも約20万円高いですが、中古であれば40万円台で手に入れることができるので、高画質で高速連写、高解像の動画等が必要な業務であるなら、α1Ⅱよりも価格を抑えて購入できます。

スチルに強くなった新たなベーシック機
主なSonyカメラと比較してみましたが、大きなところは30コマ/秒の連写ができるようになったことでしょう。今まではα1とα9シリーズでしか10コマ/秒を超える連写が許されていなかったので、この価格帯で高速連写を使えるのは大きな変化です。ローリングシャッター歪みが気になりますが、部分積層により読み出し速度が向上しているのでかなり抑えられているのではないでしょうか。
4k120pでの動画撮影も可能になりましたが、ZV-E1やFXシリーズなどでも可能なため、そこまで大きな優位性ではないと思います。
ソニー機で高速連写が必要だけど、価格を抑えたいという人におすすめできるカメラです。それ以外だと他のカメラの方がキャッシュバックキャンペーンなどで安く手に入れられるので、自分にとって必要なスペックは何なのか考えたほうがより価格を抑えられます。



