フラッグシップ機のα1後継機が3年と半年を経て登場した。当時は革命的な高性能機だったが、時を経てnikonのZ9やZ8、canonのeosR1やR5Ⅱなど同等かそれ以上のカメラたちが誕生している。ミラーレスカメラ自体の性能が高止まりしている感は否めないが、他のカメラと比較してどのような立ち位置にいるのか表してみる。
α1Ⅱのスペック
型名 | α1Ⅱ |
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定価(円) | |
実売価格(円) | 990,000 |
画素数 | 5,050万 |
センサー形式 | 積層型 |
常陽ISO感度 | 100~32,000 |
最高連写撮影 | 電子シャッター:30/秒 メカシャッター:10/秒 |
シャッタースピード | 電子:1/32,000秒 メカ:1/8000秒 |
手振れ補正 | 7段(中央8.5段) |
被写体検出 | 動物・鳥・昆虫 車・列車・飛行機 |
プリ連写 | 1秒 |
ファインダー解像度(万) | 944 |
モニタ稼働方式 | 4軸マルチアングル |
解像度とフレームレート | 8k30p、4k120p |
映像記録 | HLG、Log |
寸法 | 136.1×96.9×82.9 |
重量(バッテリー込) | 743 |
フラッグシップ機に恥じない高画素×高速連写×動画性能。AIによるオートフォーカスが強化され、被写体検出がより細分化して新たにオート検出も備わった。手振れ補正もセンターが8.5段、周辺が7段と向上している。カメラ本体はα9Ⅲと同じになり、モニターは便利なマルチアングルに。重量もバッテリー込みで743gと十分な軽さではある。
α9Ⅲと同じ機能が多く搭載され、ダイナミックアクティブ手振れ補正やオートフレーミング、プリ連写など今までのSonyカメラとしての集大成の形となっている。
価格は市場価格で99万円前後と想定されている。定価だと100万越え確定です。この金額の高さなのか発売記念キャンペーンをしている。対象レンズはGMⅡ型や300㎜単焦点レンズと豪華で値段も高価。ただ、ここまでくると3万や1万で購入を決める人は少ないと思うし、もう持ってる人が多そう。
他の高性能カメラと比較
品名 | Sony α1Ⅱ | nikon Z9 | nikon Z8 | canon EOS R1 | canon EOS R5Ⅱ | Sony α1 | Sony α9Ⅲ | Sony α7RV |
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発売日 | 2024年12月13日 | 2021年12月24日 | 2023年5月26日 | 2024年11月29日 | 2024年8月30日 | 2021年3月19日 | 2024年1月26日 | 2022年11月25日 |
定価(円) | 772,200 | 599,500 | 1,089,000 | 654,500円 | 990,000 | 935,000 | 577,500 | |
実売価格(円) | 990,000 | 636,367 | 495,703 | 980,100 | 589,050 | 779,999 | 760,534 | 428,269 |
画素数(万) | 5,050 | 4,571 | 4,571 | 2,410 | 4,500 | 5,050 | 2,460 | 6,100 |
センサー形式 | 積層型 | 積層 | 積層 | 裏面照射型積層 | 裏面照射型積層 | 積層型 | 積層型 | 裏面照射型 |
常陽ISO感度 | 100~32,000 | 64~25,600 | 64~25,600 | 100~102,400 | 100~50,000 | 100~32,000 | 250~25,600 | 100~32,000 |
最高連写撮影 | 電子シャッター:30/秒 メカシャッター:10/秒 | 電子シャッター:20/秒 jpeg・画素低下で120/秒 | 電子シャッター:20/秒 jpeg・画素低下で120/秒 | 電子シャッター:40/秒 メカシャッター:12/秒 | 電子シャッター:30/秒 メカシャッター:12/秒 | 電子シャッター:30/秒 メカシャッター:10/秒 | 120/秒 | 電子シャッター:10/秒 メカシャッター:10/秒 |
シャッタースピード | 電子:1/32,000秒 メカ:1/8000秒 | 電子:1/32,000秒 | 電子:1/32,000秒 | 電子:1/64,000秒 メカ:1/8000秒 | 電子:1/32,000秒 メカ:1/8000秒 | 電子:1/32,000秒 メカ:1/8000秒 | 1/80,000秒 | 電子:1/32,000秒 メカ:1/8000秒 |
手振れ補正 | 7段(中央8.5段) | 6段シンクロVR | 6段シンクロVR | 中央8.5、周辺7.5段 | 中央8.5、周辺7.5段 | 5.5段 | 8段 | 8段 |
被写体検出 | オート・人物・動物・鳥・昆虫 車・列車・飛行機 | 人物(顔・瞳・頭・胴体) 犬・猫・鳥 車・バイク・自転車 列車・飛行機 | 人物(顔・瞳・頭・胴体) 犬・猫・鳥 車・バイク・自転車 列車・飛行機 | 人物(顔・瞳・頭・上半身) 犬・猫・鳥・馬 車・鉄道・飛行機 アクション優先 登録人物優先 | 人物(顔・瞳・頭・上半身) 犬・猫・鳥・馬 車・鉄道・飛行機 アクション優先 登録人物優先 | 動物、鳥 | 人物・動物・鳥・昆虫 車・列車・飛行機 | 人物・動物・鳥・昆虫 車・列車・飛行機 |
プリ連写 | 1秒 | jpegのみ1.0秒 | jpegのみ1.0秒 | 1/2秒、最大20コマ | 1/2秒、最大15コマ | なし | 1秒 | なし |
ファインダー解像度(万) | 944 | 369 | 369 | 944 | 576 | 944 | 944 | 944 |
モニタ解像度(万) | 210 | 210 | 210 | 210 | 210 | 144 | 210 | 210 |
モニタ稼働方式 | 4軸マルチアングル | 4軸チルト | 4軸チルト | バリアングル | バリアングル | チルト | 4軸マルチアングル | 4軸マルチアングル |
解像度とフレームレート | 8k30p、4k120p | 8k60p、4k120p | 8k60p、4k120p | 6k60p、4k120p | 8k60p、4k120p | 8k30p、4k120p | 4k120p | 8k24p、4k120p |
映像記録 | HLG、Log | HLG、Log、RAW | HLG、Log、RAW | HLG、Log、RAW | HLG、Log、RAW | HLG、Log | HLG、Log | HLG、Log |
寸法(㎜) | 136.1×96.9×82.9 | 149×149×90.5 | 144×118.5×83 | 158×150×87 | 138.5×101.2×93.5 | 128.9×96.9×80.8 | 136.1×96.9×82.9 | 131.3×96.9×82.4 |
重量(バッテリー込,g) | 743 | 1,340 | 910 | 1,115 | 746 | 737 | 703 | 723 |
※他のカメラとの比較表には、2024年11月20日時点の価格ドットコムに基づいた最安値となっています。
canonやnikonのフラッグシップ機、同じSonyの前機種と高性能機を表にまとめてみた。本当はもっと細かいところで違ったりするのだけれど、分かりやすい指標だけ抽出してある。やっぱりどれもお高いが、高画素で動画性能も非常に優れている。この中ではα1がもっとも古いので、後継機が出てくるのも無理はない。
nikon Z9 Z8との比較
nikonのフラッグシップ機z9とその弟分であるz8は性能が非常に似ていて、ソフト面ではほぼ遜色がない。なので一緒に比較する。α1Ⅱと比較すると、
・8k60pのRAW動画撮影が可能で4kもオーバーサンプリングによる高画質
・ボディが大きく重い
・価格が倍近く違う
・RAWでの最高連写が20秒
・縦横4軸チルト
というのが主だったところ。オートフォーカスに関しては、Sonyやcanonと比べるとnikonは少し落ちてしまうところがある。ここは大きなポイントだと思っていて、結局ピントが合ってないと写真や動画としては話にならない。特にフラッグシップ機はプロが使う想定だから、スポーツや動物など動きの速い撮影では一番重要な要素だ。
ただ、ポートフォーカスや風景などフォーカスを合わせるのに苦労しない場合はZ9やZ8でも問題ない。動画性能も8k60pをRAWで撮影できるnikonに軍配が上がる。さらに価格は大きく違うので、nikonを選びたくなる最大の理由だ。
あとnikonのZマウントは数が多くはないがなかなか粒ぞろい。最近はタムロンなどサードパーティーのレンズも出てきているので、徐々にレンズ不足に悩まされることは無くなると思う。(24-120F4の便利ズームとかすごくほしい)
canon EOS R1 R5Ⅱとの比較
canonから2024年に誕生したフラッグシップ機とハイアマチュア機。R1は11月30日発売なので、Sonyさんが意識しまくっているのが分かる。この2機種は同時に開発していたのかソフト面はほぼ一緒。中でも目立った新機能は以下の通り。
・AFの性能向上と特定のアクション優先
・カメラ内アップスケーリング(JPEG、HEIFのみ)による画素数の大幅な向上(約4倍)
・静止画だけでなく動画も記録開始の数秒前まで遡ってプレ記録できる
・動画撮影中に静止画(JPEG)も記録できる
AFの性能が非常に良いようで、スポーツや動物撮影などのプロの方は是非ともほしいだろう。ただ価格もR1が100万円の大台に乗っているのでおいそれと手は出ない。画素数で言えばR5Ⅱの方がライバルではある。
α1Ⅱとの違いは
・8k60p(R1は6k60p)のRAW動画撮影が可能で4kもオーバーサンプリングによる高画質
・モニターがバリアングルのみ
・カメラ内アップスケーリング
・AFは細かい設定が可能で、視線入力もある
動画の性能はRAWで8k60pが撮影可能なcanonに分があるように思える。アップスケーリング機能も便利だが、RAWには対応していない所をプロの方はどう見るか。モニターがマルチアングルでないのは正直不便。使っていてかなり便利だから、バリアングルのみは結構使いづらく感じる。
価格はR1と同等だが、R5Ⅱとは開きがある。ただ、R1の方がAFはよく、歪みも抑えられているようなので、やはり見えるスペックでは分からない所がある。他にもカードスロットが片方SDカードのみでバッファも落ちるなど、値段なりの性能の違いを感じる。
あとレンズの種類はやはりサードパーティーに開放していたSonyが有利だが、canonにしかない性能のレンズもある。フラッグシップ機を購入する上ではやはりレンズも純正で値を張るものになるので、レンズの多さは余り影響しないかも。
他社メーカーの高画素×高速機が安すぎる
中でもR5ⅡやZ8は同じ高画素×高速機として協力なライバルとなる。動画性能は8k60pで撮れないし、価格面では半額に近い。勿論高速連写した時のバッファや高速LANによるワークフローなど違いはある。それでもα1Ⅱを選ぼうというのは本当にプロフェッショナルな立場にいる人だろう。
妥協できるならマウント変換アダプターを使用するのも一つの手だ。もちろんAFなどが劣化す可能性はあるのでそれなりにリスキー。
Sony α1との比較
当時はブイブイ言わせていたα1。だが3年の時が経ってもいまだ現役の人も多いはず。α1Ⅱとの主な変更点は以下の通り。まずはα1Ⅱに初めて搭載された機能をまとめていく。
・手振れ補正が7段と向上し、8.5段センサーブレ補正を搭載
・被写体検出にオートが追加
・2.5GBASE-T有線LANに対応
以下はα9Ⅲにも搭載されている機能だ。
・最大1秒遡れるプリ連写を搭載
・4軸マルチアングルなどα9Ⅲと同じボディ
・ZV-E1で初めて搭載されたオートフレーミングやフレーミング補正
・ジンバル並みの補正をするダイナミックアクティブ手振れ補正
と既存の最新機種にある機能に加え、新たに投入した機能もある。あとは値段の問題。α1はⅡの登場で中古市場に出回ると思う。なのでそこを狙うのも全然悪くない。仕事ならともかく、趣味で使うならなおさらだ。まあ趣味でも高いけど。
Sony α9Ⅲとの比較
ミラーレスカメラとして初のグローバルシャッターを搭載したα9Ⅲ。歪み知らずで、連写撮影が最大120/秒と正直過剰な性能をしている。その分画素数は2,460万と半分で、ISO感度が250スタートと画質に多少影響している。α1Ⅱとの大きな違いはここだけなので、あまり競合するような機種でもないかな。高画素ではないがスポーツや動物撮影にめっぽう強く、動画も4k120pがクロップなしと十分な性能を備えている。
Sony α7RVとの比較
高画素機であるα7RVは確かに6100万画素を備えているが、ローリングシャッターの歪みがひどい。なので動体には必然的にメカシャッターとなり、連射速度もバーストで10/秒と心もとない。AIAFが搭載されているので、ポートレートや風景向きだ。
α1Ⅱはあらゆる性能でハイレベルとなっているが、価格が高い。α7RVは半額以下で購入できるし、今なら6万円キャッシュバックキャンペーンをしている。いつもは5万円だったが、値上げした影響か大盤振る舞いだ。
α1Ⅱは買いか
ミラーレスカメラは性能の向上がゆるやかになり、スマートフォンと同じような感じになってる。確かに性能は高くてあったら便利だけど、そんなに高い値段するの!?というものばかりだ。そんな中、満を持して登場したα1Ⅱ。
確かにオートフォーカスは強力になったと思うし、プリ連写など便利な機能が付いた。ネットワークの速度も強化され、ワークフローが改善された。今までSonyのカメラを仕事で使っていた人からすれば、レンズの資産もあるし、購入する価値もあると思う。
が、果たしてここまでの機能が必要なのかどうか。写真も動画もマルチに、そしてハイクオリティを目指すプロが求めるのは分かるが、多くの人にとっては過剰に思えるし、他社メーカーのライバルがもっと低い値段で提供している。
アマチュアの人ならなおさらだ。ポートレートや風景ならα7RVで十分だろうし、スポーツや動物撮影ならα9Ⅲの独壇場。マルチな能力ならα1や今後発売されるだろうα7Vなどを視野に入れたほうが金銭的にはいいと思う。その分浮いたお金でレンズを買おう。キャッシュバックキャンペーンはレンズも対象だ。