α1Ⅱとともに発表されたFE 28-70mm F2.0 GMは、全域F2.0の超高性能標準域ズームレンズ。発売日は12月13日とまだ先だが予約は11月26日から。標準ズームは競合が多いので、純正やサードパーティー含めて比較してみる。
SEL2870GMの仕様
型名 | SEL2870GM |
---|---|
発売日 | 2024.12.13 |
定価(円) | |
最安価格(円) | 500,000前後 |
焦点距離 | 28-70 |
開放絞り | 2.0 |
最小絞り | 22 |
絞り羽(枚) | 11 |
最短撮影距離(m) | 0.38 |
最大撮影倍率 | 0.23 |
フィルター径(㎜) | 86 |
絞りリング | 〇 |
絞りリングクリック 切り替えスイッチ | 〇 |
アイリスロックスイッチ | 〇 |
ズーム操作感スイッチ | 〇 |
フォーカスモードスイッチ | 〇 |
フォーカスホールドボタン | 2 |
手振れ補正 | 無し |
防塵防滴 | 〇 |
寸法(㎜) | 92.9×139.8 |
重量(g) | 918 |
SEL2870GMの仕様を改めてチェック。GMというだけあって価格は50万前後と最高級レンズだ。その分性能は優れており、F2.0通しの明るいズームレンズとなっていて、純正レンズの強みであるα9Ⅲの高速連射(120コマ/秒)に対応。アクティブ手振れ補正もよくなる。
フォーカススイッチはもちろん絞りリングやクリック感を変えるスイッチまであるので操作性は抜群。重量は1kg未満、寸法も140㎜以内に収められているのはさすがSonyさん。重量とか大きさって本当大事。
フィルター径が86㎜というニッチな大きさはマイナスポイントか。調べてみると一眼レフ時代含めてほとんどない。
他のレンズとの比較表
メーカー | Sony | Canon | Sony | SIGMA | TAMRON | SIGMA | TAMRON | SIGMA | Sony | Sony | SIGMA |
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型名 | SEL2870GM | RF28-7020L | SEL2470GM2 | 24-70mm F2.8Ⅱ | Model A063 | 28-105㎜ F2.8 | Model A058 | 28-70mm F2.8 | SEL2070G | SEL2470Z | 28-45mm F1.8 |
発売日 | 2024.12.13 | 2018.12.20 | 2022.6.10 | 2024.5.30 | 2021.10.28 | 2024.9.26 | 2021.10.28 | 2021.03.12 | 2023.02.10 | 2014.01.24 | 2024.6.20 |
定価(円) | 456,500 | 319,000 | 198,000 | 104,500 | 275,000 | 199,800 | 99,000 | 191,400 | 124,300 | 247,500 | |
最安価格(円) | 500,000前後 | 390,990 | 256,129 | 176,255 | 90,380 | 233,988 | 167,800 | 88,176 | 152,000 | 107,280 | 168,403 |
焦点距離 | 28-70 | 28-70 | 24-70 | 24-70 | 28-75 | 28-105 | 35-150 | 28-70 | 20-70 | 24-70 | 28-45 |
開放絞り | 2.0 | 2.0 | 2.8 | 2.8 | 2.8 | 2.8 | 2~2.8 | 2.8 | 4 | 4 | 1.8 |
最小絞り | 22 | 22 | 22 | 22 | 22 | 22 | 16~22 | 22 | 22 | 22 | 16 |
絞り羽(枚) | 11 | 9 | 11 | 11 | 9 | 12 | 9 | 9 | 9 | 7 | 11 |
最短撮影距離(m) | 0.38 | 0.39 | 0.21(W)-0.3(T) | 0.17(W)-0.34(T) | 0.18(W)-0.38(T) | 0.4 | 0.33(W)-0.85(T) | 0.19(W)-0.38(T) | 0.3(W)-0.25(T) | 0.4 | 0.3 |
最大撮影倍率 | 0.23 | 0.18 | 032 | 0.37 | 0.37 | 0.32 | 0.17 | 0.30 | 0.39 | 0.2 | 0.25 |
フィルター径(㎜) | 86 | 95 | 82 | 82 | 67 | 82 | 82 | 67 | 72 | 67 | 82 |
絞りリング | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | 〇 | × | × | 〇 | × | 〇 |
絞りリングクリック 切り替えスイッチ | 〇 | × | 〇 | × | × | 〇 | × | × | 〇 | × | 〇 |
アイリスロック スイッチ | 〇 | × | 〇 | 〇 | × | × | × | × | 〇 | × | 〇 |
ズーム操作感 スイッチ | 〇 | × | 〇 | × | × | × | × | × | × | × | × |
フォーカスモード スイッチ | 〇 | × | 〇 | 〇 | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
フォーカスホールド ボタン | 2 | コントロールリング | 2 | 2 | × | 2 | 1 | × | 1 | × | 2 |
手振れ補正 | 無し | 無し | 無し | 無し | 無し | 無し | 無し | 無し | 無し | 有り | 無し |
防塵防滴 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
寸法(㎜) | 92.9×139.8 | 103.8×139.8 | 87.8×119.9 | 87.8×122.2 | 75.8×117.6 | 87.8×159.9 | 89.2×158 | 72.2×103.5 | 78.7×99 | 73×94.5 | 87.8×153.4 |
重量(g) | 918 | 1,430 | 695 | 735 | 540 | 990 | 1,165 | 470 | 488 | 426 | 950 |
※他のレンズとの比較表には、2024年11月20日時点の価格ドットコムに基づいた最安値が示されています。
競合になりそうなのはEマウントの標準ズームレンズ。F値だけ見れば単焦点級なんだけど、そうすると比較するものがほぼなくなり、単焦点レンズばかりになってしまう。
同じズーム域、F値のcanonレンズも参考に載せてある。6年前のレンズなのであまり比較対象にはならないかもしれないが。
RF28-7020L
マウントが違うが同じF値とズーム域であるcanonのレンズ。6年という年月は残酷なものであらゆる性能が時代に見合っていない。寸法は同じだが重量は1.4㎏と500gも重く、絞りリングやボタン類がほぼないので操作性もよろしくない。フィルター径も95㎜と超望遠レンズ並みだ。ただ価格は10万円ほどの差がついているが、その価値はあるくらい進化したレンズだと思う。
SEL2470GM2
おそらく一番の比較対象になるであろうFE24-70F2.8の2型。Sony純正レンズの最高峰であるGMなので性能は折り紙付き。F2.0にこだわらなければこちらの方が価格や重量などにおいて勝る。
24㎜スタートというのも地味に大きい。24㎜と28㎜って数字上だと小さいけど、実際の画角でみるとかなり違う。
ボタン類がたくさんついていて操作性は高く、機能はすべて同じ。フィルター径が82㎜というのもSEL1635GM2など他のレンズと共有しやすい大きさだ。
ズームしたときは35㎜ほど伸びる。
SEL2870GMがズームした時と同じ長さになるようで、SEL2870GMはほとんど伸びないことが分かる。ジンバルを使うときなどはかなり使い勝手がよくなりそうだ。
長さが20㎜ほど短く重量も223g軽い。あと価格も倍ほど違うので、その性能差をどう見るか。仕事など妥協できない場面ではSEL2870GMの方がいいと思うが、個人的な利用ならこっちでもいいと思う。それでも高いけど。
キャッシュバックキャンペーンになることは今までなかったが、α1Ⅱとの同時購入ならなんと1万円バック!いやそもそもα1Ⅱが100万円近くするのですが。
サードパーティー標準ズームとの比較
TAMRONやSIGMAからも標準ズームレンズがいくつか出ている。どれも価格がお手頃でお買い求めやすい。ただ、α9Ⅲでの高速連写に対応しておらず、アクティブ手振れ補正も純正ほどは効かない。手振れ補正に関しては思ったよりも違いが出るので、ジンバル無しで歩く動画を撮りたいときは純正レンズを選んだ方がいいと思う。
SIGMA 24-70mm F2.8Ⅱ
2024年に発売されたSIGMAの2型レンズ。24㎜スタートであることと、価格が18万円以下と手が出やすい。性能は最新のレンズらしくボタン類が多く操作性が向上している。ただ、SEL2470GM2ともろ被りなのでなかなかに厳しい。
TAMRON Model A063
TAMRONからは出ている標準ズームの2型レンズ。ズーム域で差別化を意識しているのか、広角側が28㎜、望遠側が75㎜とちょっとずれている。ボタン類がほぼなく、操作性は他と比べると皆無と言っていいほどだが、その分値段は10万円を切っている。カメラ本体にボタン類がついているので、そこで操作すればいいじゃんというわけだ。重量も540gなのは相当軽い
この金額は本当に魅力的だが、解像度などは他のレンズには及ばない。F2.8エントリーモデルとしてはよさそうだ。
SIGMA 28-70mm F2.8
SIGMAからもお求めやすい価格の標準ズームが販売されている。TAMRONとはほぼ性能が同じで重量はさらに軽い470g、長さも103㎜と小型軽量だ。価格も若干安く9万円を切るが、最大撮影倍率が低いので近接撮影ではTAMRONに劣る。
SIGMA 28-105㎜ F2.8
少し毛色の違うズーム域のレンズがSIGMAから2024.9に発売された。28-105㎜という焦点距離でF2.8はあまりないが、通常の標準ズームと比べて30㎜ほど望遠に伸びているのでかなり便利なレンズだと思う。重量は1㎏をぎりぎり下回り、長さは160㎜をなんとか超えないように頑張っているのが数字で分かる。
23万円と高価なレンズで、その分ボタン類の多さで操作性がよく、解像度もハイレベルだ。
SEL2870GMとはズーム域で勝るがF値は劣る。価格は倍違うので十分選択肢にはなる。
TAMRON Model A058
同じF2.0スタートで焦点距離が35-150㎜という特殊なレンズがTAMRONにはある。いやでも結局すぐにF2.8になるんでしょ?って思うのだけど標準域はなんとかF2.5に踏みとどまっている。
望遠も150㎜と長く、ポートレート撮影をするにはいいレンズだ。しかし、広角側が35㎜とかなり狭いのを気にする必要がある。便利なズームとはまた違う。
重量も1,165gと1㎏を超えて重く、長さが158㎜もあるので取り回しはよろしくない。価格は17万以下だが、用途が決まっているかのようなレンズだ。
SIGMA 28-45mm F1.8
標準ズームと呼ぶにはズーム域が物足りないが、F値は勝るレンズがある。またもやSIGMAから28-45㎜という短い焦点距離でF1.8という単焦点レンズ並みだ。ただやっぱり45㎜というのは思った以上に短いと感じる。重量も950gと重く、長さも153㎜と長いので、あまり競合としては見られないか。
値段は最安値なら17万円を切っているのでちょっと興味がわいてくる。というかどう考えても落ちすぎだ。やはりズーム域が短いのがあまり需要がないのだろうか。
他のSonyレンズとの比較
Sonyには他にも標準ズームがあるがF値が4.0などだ。あまり比較対象とはならないだろうから、サクッと紹介していく。
SEL2070G
広角が20㎜という珍しい標準ズームレンズ。F値が4.0と暗いが日中に使う分には申し分ない。重量は500g以下、長さは100㎜以下と小型軽量なので動画を撮るのに向いている。
キャンペーンの対象にもなり、大体1万円キャッシュバックされるので、購入するならそのタイミングに買おう。
SEL2470Z
カールツァイス製で10年前の古~いレンズ。これを購入する理由は余りないと思うが、中古なら5万円ほど。とりあえずズームレンズ買いたい人にはおすすめ…なのかなあ。
SEL2870GMが必要な人とは
プロフェッショナルなカメラマンなら誰でも欲しがるであろうスペック。特に結婚式やイベントなど夜や屋内での撮影はF2.0という明るさが重宝されると思う。重量も1㎏を切っているので、持ち続けることにそこまで負担は多くないはず。
解像度も単焦点並みということなので、単焦点レンズを別々に買うよりも、これ1本で済ませたほうが持ち運ぶには便利だし、レンズ交換の手間もいらない。値段が抑えられるかは分からないが。
動画撮影に関してもF2.0の被写界深度を得られて表現の幅が大きくなるし、ズームの伸び幅はSEL2470GM2よりも短いのでジンバルを使用した時に便利だ。ズームリングを緩めたりきつくしたりできるスイッチがあるので動画制作者にも配慮されている。
ただ、やはりネックなのは価格なんです。50万前後と予想されているけど、SEL2470GM2の約2倍の価格は躊躇わずにはいられない。仕事でならともかく趣味で買う人はなかなかの強者だけだろう。色々なレンズと比較して、本当に必要なレンズを見極められたらいいなと思う。