ソニーの高級コンデジRX1R IIが約9年ぶりとなるモデルチェンジとなりました。新たに発売されるRX1R IIIは何がどう変わったのか、細かいところまで比較していきます。
スペック比較表
項目 | RX1R III | RX1R II |
---|---|---|
センサー | 61 MP Exmor R | 42.4 MP Exmor R |
画像処理エンジン | BIONZ XR+AI処理ユニット | BIONZ X |
ISO 感度 | 100–32,000(拡張50–102,400) | 100–25,600(拡張50–102,400) |
AF性能 | 693点像面位相差+AI被写体検出(人物・動物・鳥・昆虫・車/列車・飛行機) | 399点像面位相差+瞳 AF |
連写性能 | 5 fps | 5 fps |
シャッター速度 | 1/4000–30 s | 1/4000–30 s |
動画性能 | 4K 30p 4:2:2 10bit | FHD 1080/60p |
手振れ補正 | 動画電子ISのみ(アクティブ) | 動画電子ISのみ |
ファインダー | 固定0.39型 2.36M dot OLED(0.70倍) | ポップアップ0.39型 2.36M (0.74倍) |
液晶モニター | 固定3.0型 2.36M タッチパネル | チルト3.0型 1.23M |
サイズ | 113 × 68 × 88 mm | 113 × 65 × 72 mm |
重量 | 498 g | 507 g |
内蔵NDフィルター | なし | なし |
防塵防滴 | なし | なし |
バッテリー/撮影枚数 | NP‑FW50/約300枚 | NP‑BX1/約220枚 |
記録メディア | SD UHS‑II シングルスロット | SD UHS‑I/メモリースティック |
通信機能 | Wi‑Fi 5(2.4/5 GHz)・Bluetooth 4.2・USB‑C PD | Wi‑Fi/NFC・USB 2.0 Micro‑B |
定価 | 約660,000円 | 463,190円 |
レンズ | ZEISS Sonnar T* 35 mm F2(マクロ0.2 m、リーフシャッター) | 同上固定レンズ |
その他機能 | ステップクロップ(50/70 mm)、クリエイティブルック12種 | スマートテレコンバーター(1.4倍、2倍) |
変わらない性能もいくつかあるので、まずはこれらをまとめます。
同スペック一覧
- 連写性能
- シャッター速度
- 手振れ補正
- サイズ
- 重量
- 防塵防滴
- レンズ
サイズは変わらず小型軽量を維持しているのはソニーのこだわりが感じられますね。その代償なのか、手振れ補正が無く、防塵防滴も特に記載が無かったので無しとしました。シャッター速度や連写性能も変わらないですが、連写枚数は記録メディアや画像処理エンジンの向上で増えている可能性があります。
手振れ補正は変わらず光学式が無いですが、電子式はアクティブが追加されており、動画を撮るときに役立ちます。
センサーと画像処理エンジンは順当に進化

センサーや画像処理エンジンはα7RVやα7CRなど現行のカメラと同等の6100万画素にAIユニットが搭載されています。被写体検出も豊富なため、オートフォーカスはかなり容易になりました。リアルタイムトラッキングもあるので、被写体に粘り強くくっ付いていきます。
ISO感度も向上し、高画素機ながら夜間での撮影にも強くなっています。
動画性能は現代水準に

コンデジの動画はおまけ程度とはいえ、FHDから4k30p 4:2:2 10bitと大きな成長を遂げています。ただ、高画素であるが故ローリングシャッターの歪みは気になる所。
ファインダーとモニターは一長一短か


RX1R IIで特徴的だったポップアップ式のファインダーではなく、α7CⅡのような左上に固定のファインダーとなりました。
また、モニターの解像度が上がりタッチパネルとなりましたが、チルト式から固定に。ローアングルが撮りづらくなり使い勝手が悪くなっています。ここはサイズや重量を加味してオミットしたのでしょうか。
バッテリーは新しくなったが容量は少ない

新しいバッテリーとなり全モデルより撮影枚数は増えましたが、これは小型のバッテリーであるNP-FW50。より容量の大きいNP-FZ100ではないため、予備のバッテリーを用意しておいた方が良いでしょう。
通信機能はUSB-CやBluetoothでスマホと連携可能に

USBがtypeCになりBluetoothも搭載され、スマホとの連携が強化されました。撮った写真をアプリ経由でスマホに送り、SNSなどにアップロードすることができます。
操作性は大きく変わってはいない

操作性に関しては、天辺が平らになるよう設計されており、バッグなどの中に入れやすくなっています。ボタン配置は大きく変わっているわけではないですが、ボタンも現行機と同じで押しやすいように工夫がされています。

ただ、前面のフォーカススイッチが無くなっているのは少し残念な所です。
クリエイティブルックにFL2とFL3が新規で追加

RX1R IIIのクリエイティブルックにFL2とFL3が追加されました。これはFX2から追加された新しいプリセットです。
FL2はコントラストがやや高く、落ち着いた発色により、ノスタルジックな雰囲気に仕上がります。
FL3はコントラストをやや抑えつつ、クリアな発色を表現し、軽快な雰囲気に仕上げます。
価格は高いが唯一の存在

9年前とは見違える性能になりました。高画素化にAIAFとソフト面は大きく向上していますが、小型軽量を維持するためか手振れ補正が依然無く、モニターもチルトから固定と使いづらくなりました。そして価格は約20万円上昇しているので、以前にもまして気軽に手を出しづらいカメラです。為替や物価高を考慮すると妥当な所ではありますが…
それでもフルサイズのコンデジは選択肢がほとんどないので、そういった意味では最新の機能が使える貴重なカメラではないでしょうか。
