ほとんど市場が無いフルサイズコンデジに待望の新機種RX1R IIIが発表されました。今回は同じフルサイズコンデジのLeica Q3と比較してみます。

スペック比較表
項目 | Leica Q3 | Sony RX1R III |
---|---|---|
センサー | 60 MP フルサイズ | 61 MP フルサイズ |
画像処理エンジン | Maestro IV | BIONZ XR +AIプロセッシング |
ISO 感度 | ISO 50–100,000(拡張含む) | ISO 100–32,000 (拡張50–102,400) |
AF性能 | 315点ハイブリッドPDAF +被写体認識/人物(顔・目・体), 動物(目・体) | 693点像面位相差 +AI被写体検出(人物・動物・鳥・昆虫・車/列車・飛行機・オート) |
連写性能 | 15 fps/4fps(AF-C) | 5fps |
シャッター速度 | メカ:1/2000s~120s 電子:1/16000s | メカ:1/4000s~30s 電子:1/8000s |
動画性能 | 8K 30p 10bit/4K 60p 10bit | 4K 30p 10bit |
手振れ補正 | レンズ内OIS | なし(動画電子ISのみ) |
ファインダー | 0.5型 5.76M (0.79倍) | 0.39型 2.36M(0.70倍) |
液晶モニター | チルト3.0型 1.84M | 固定3.0型 2.36M |
サイズ | 130 × 80 × 93 mm | 113 × 68 × 88 mm |
重量 | 約743g | 約498g |
防塵防滴 | IP52 | 無し |
バッテリー/撮影枚数 | 約350枚(BP-SCL6) | 約300枚(NP-FW50) |
記録メディア | SD UHS-II シングル | SD UHS-II シングル |
入出力 | USB-C 3.2 Gen2、Micro-HDMI、ホットシュー | USB-C、Micro-HDMI、マイク端子、MIシュー |
価格 | 1,012,000円 | 約660,000円 |
レンズ | Summilux 28 mm F1.7 最短17 cm | ZEISS Sonnar 35 mm F2 最短20 cm・0.26× |
その他 | デジタルクロップ35/50/75/90 mm | ステップクロップ 50/70 mm クリエイティブルック12種 |
表を見てみると同じようなスペックがあるので、まずはこれをひとまとめにします。
同スペック一覧(少し違って影響がない物も含む)
- センサー
- 記録メディア
- 入出力
フルサイズデジカメという希少な分野ですが、同じ性能項目は少ないです。画素数はほぼ同じ6000万画素でISO感度もほぼ同じです。高画素機ながら暗所にもそれなりに対応できるカメラという点では同じ立ち位置にいますね。あとは記録メディアや入出力は大きく変わりません。
AF性能

あまり最新の技術を取り入れていく印象のないLeicaですが、瞳認識に対応したAFです。ただ、この分野はSonyが業界トップクラスであり、被写体検出の数からみてもRX1R IIIの方が優秀でしょう。
連写・シャッター速度
連写性能は15コマ/秒可能なQ3が優秀に見えますが、この時はAFが追従しません。追従させるには4コマ/秒まで落とす必要があるので、5コマ/秒撮れるRX1R IIIの方が優秀な場面が多いでしょう。
シャッター速度はQ3がメカだと1/2000sまでしか撮れませんが、電子なら1/16000sまで向上しRX1R IIIを上回ります。そのため一長一短ではありますが、汎用性で見ればRX1R IIIでしょうか。
動画性能

8kまで対応しているQ3が動画性能は優れています。Apple ProResにも対応していますが、FHDのみとなっているので、あまり使う機会はなさそうです。
手振れ補正
Q3はレンズに光学式手振れ補正を備えており、夜間や室内の撮影やシャッター速度を落とした撮影に耐性があります。RX1R IIIは手振れ補正が無く、高画素ゆえ完璧な写真を撮るにはシャッター速度をそれなりにあげる必要があります。
ファインダー・モニター

ファインダーはQ3の方がドット数が多くて倍率が高く大きいと圧勝です。モニターはドット数こそRX1R IIIの方が上ですが、チルト機構を持つQ3はローアングルに強く撮影時のストレスを軽減してくれます。
サイズ・重量


サイズはRX1R IIIが一回り小さくなっていて、重量は245gも違います。これほど数字の差が大きいと長時間持った時に大きな違いが出るでしょう。
防塵防滴
RX1R IIIは防塵防滴に関する記載が無いですが、Q3は保護等級IP52もの対候性があります。そのため悪天候時でも躊躇わず使用できるのはQ3で、これは撮影体験の回数に影響するので、場合によっては重要な指標となります。
バッテリー

バッテリーはQ3の方がBP-SCL6(2200mAh)で、RX1R IIIはNP-FW50(1020mAh)ですのでQ3の方がより多くの撮影時間を確保できます。ただ、撮影可能枚数でみると50枚程度しか変わらず、バッテリーの性能通りとはいかないようです。
レンズ

レンズはまず焦点距離が違い、Q3が7mm広角です。これは優劣というより好みによって分かれる部分です。明るさはQ3がF1.7とRX1R IIIのF2.0よりも若干明るくなっています。
また、両方ともマクロ機能を備えており、Q3が最短17cm、RX1R IIIが20cmとなっていますが焦点距離との兼ね合いもあるので甲乙つけがたい所です。
操作性


ボタンやダイヤルは数だけで見ればRX1R IIIが多く操作性は良さそうに見えます。ただ、違うメーカーであるため実際に使ってみないと分からない所です。Leicaは撮影体験を重要視している印象があるので、使ってみると案外良いかもしれません。
価格差は約35万円だけどスペックは一長一短
Q3はLeicaブランドというだけあって定価は100万円を超え、RX1R IIIとは約35万円の差があります。それだけの性能差があるとそうは見えず、動画性能や防塵防滴など勝っている部分は勿論ありますが、AF性能や小型軽量な所などはRX1R IIIに分があります。
コンデジで動画を撮ることが主な目的ではないと思いますので、スチルだけなら価格込みでRX1R IIIの方が良さそうに見えます。ただ、Leicaというブランドは所有欲を多く満たすことができますので、そういった点を加味すると価格差はあってないものなのでしょう。