2025年に発売されたハイエンドコンデジとして富士フィルムのGFX100RFがあります。RX1R IIIとは同じ市場でもセンサーサイズが35mmフルサイズと中判という違いがありますが、その他のスペックはどう違うのか詳細を確認していきます。

スペック比較表
項目 | Sony RX1R III | FUJIFILM GFX100RF |
---|---|---|
センサー | 61 MP 35 mmフルサイズ | 102 MP 中判 |
画像処理エンジン | BIONZ XR + AIプロセッシング | X-Processor 5 |
ISO 感度 | 100–32,000(拡張50–102,400) | 80–12,800(拡張40–102,400) |
AF性能 | 693点像面位相差 +AI被写体検出(人物・動物・鳥・昆虫・車/列車・飛行機・オート) | 位相差+コントラスト検出 +AI被写体検出顔・瞳・動物/鳥/乗物(車/バイク/自転車/飛行機/電車) |
連写性能 | 5fps | 6fps |
シャッター速度 | メカ:1/4000s 電子:1/8000s | メカ:1/4000s 電子:1/16000s |
動画性能 | 4K30p 10bit | 4K30p 10bit |
手振れ補正 | なし(動画電子IS) | なし(動画電子DIS) |
ファインダー | 0.39型 2.36M(0.70倍) | 0.5型 5.76M(0.84倍) |
液晶モニター | 固定3.0型 2.36M | チルト3.2型 2.1M |
サイズ | 113×68×88 mm | 134×90×77 mm |
重量 | 498g | 735g |
防塵防滴 | 無し | アダプター+フィルター装着で耐候 |
バッテリー撮影枚数 | 約300枚 | 約820枚 |
記録メディア | SD(UHS-II)×1 | SD(UHS-II)×2 |
入出力 | USB-C、Micro-HDMI、Mic、MIシュー | USB-C、Micro-HDMI、Mic/Headphone |
価格 | 約660,000円 | 830,500円 |
レンズ | ZEISS 35 mm F2(0.20 mマクロ、Step Crop 50/70 mm) | GF 35 mm F4(28 mm相当) 4段NDフィルター内蔵 |
その他 | Creative Look 12種 | フィルムシミュ20種 アスペクト比ダイヤル9種 |
表を見てみると同じようなスペックがあるので、まずはこれをひとまとめにします。
同スペック一覧
- AF性能
- 動画性能
- 手振れ補正
- 入出力
AF性能については両機とも多くの被写体検出が可能ですがソニーのAFはトップクラスなので、スペックでは見えない部分でRX1R IIIの方が良いと思います。ハイエンドコンデジなため動画性能も現行カメラ水準ですが、あまり使うことはないでしょう。
そして手振れ補正はともに無いため、高画素ゆえにブレが目立つところが難点です。
センサー

最も違う箇所であり、特にGFX100RFを購入する理由になります。1億画素の中判という唯一無二の存在であるので、正直他のスペックなんかはどうでもよくなります。最上級の画質を求めるのであればGFX100RFを選択するでしょう。
ISO感度は拡張域が同じですが常用はRX1R IIIの方が優れており、ISOを上げる夜間や室内でノイズの少ない写真を撮れます。
連写・シャッター速度
GFX100RFの方が連写は優れていますが、差は1コマ/秒。連写を目的としたカメラでもないのでほぼ誤差のようなものです。シャッター速度も電子ならGFX100RFの方が優れていますが、差は小さいのであまり気にする必要はないと思います。
ファインダー・モニター

ファインダーはGFX100RFが大型で高解像度、倍率も高いと圧倒しています。モニターの解像度はRX1R IIIが若干優れているくらいで、何より固定式とチルト式という大きな違いがあります。ローアングルも撮りやすいチルト式の方が柔軟な撮影ができるでしょう。
サイズ


小型軽量が売りであるRX1R IIIに比べるとGFX100RFはかなり大きく重いカメラです。高さと幅がともに2cm以上違うので、収納に大きな差が生まれるでしょう。


反面厚みはRX1R IIIの方があり、その理由はレンズにあります。F値の差があるとはいえ、GFX100RFのレンズはかなり薄いことが分かります。
防塵防滴

RX1R IIIに防塵防滴は無いですが、GFX100RFは専用のアダプターとフィルターで防塵防滴を得ることができます。ただ、約1万円ほどの費用が発生するため、必要に応じて購入する形になります。
バッテリー

GFX100RFが大容量バッテリーを採用しているので、撮影可能枚数が倍以上違います。RX1R IIIを使う場合は予備バッテリーを用意した方が良さそうです。
記録メディア

ともにSDカードUHS-IIに対応していますが、GFX100RFはダブルスロットで2枚差し込めます。高画素なため1枚1枚のデータは大きくなりがちなので、予備の1枚を使えることに越したことはありません。
RX1R IIIは1枚しか使えませんが、これはカメラのサイズが小さいので設計上2枚にできなかったのでしょう。今は大容量SDカードもあるので1枚あれば十分です。
レンズ

レンズは焦点距離がともに35mmですが、GFX100RFはセンサーサイズが中判であるため、フルサイズ換算だと約28mmと広角になっています。最短距離はともに20cmです。
F値はRX1R IIIの方が小さいので明るくボケやすいレンズになります。GFX100RFのF値は4.0と暗めですが、35mm換算でだいたいF3.0くらいになります。その分薄いレンズとなっていて、収納性やカメラの重心が手前側でもちやすいなどのメリットもあります。
また、GFX100RFは4段NDフィルターを内蔵しているので、表現の幅が広がります。
操作性


GFX100RFは多彩なダイヤル類が搭載されていて、フォーカスモード切換レバーやフォーカスレバー、アスペクト比切換ダイヤルなどがあります。
RX1R IIIはボタンが押しやすい構造で少し浮き出ています。
その他機能

GFX100RFにはアスペクト比を切り換えるダイヤルが備わっており、センサーサイズの4:3から35mmの3:2、富士フイルム独自の65:24など多彩な画を楽しむことができます。
それぞれプリセットが用意されていて、ソニー特有のクリエイティブルックが12種、富士フイルム特有のフィルムシュミレーションが20種あります。
最高の画質or小型軽量
価格は約16万円の差で、スペック的には概ねGFX100RFが勝っています。特に1億画素の中判は6100万画素のフルサイズとは違う世界です。その点を考慮すると、価格差は妥当な金額に思えます。
ただ、コンデジにしては大きく重たいカメラです。まさにコンデジという姿を欲しているならRX1R IIIが選択肢に入るでしょう。