キャノンから発表されたEOS R6 Vは2025年に発売されたばかりのR6Ⅲを動画向けにしたカメラです。ファインダーとメカシャッターをオミットし、ハードを動画仕様にしてズームレバーやRECボタン、冷却ファンを内蔵しています。ただ、造りとしては本格的な動画制作よりもVlog向けとなっています。他の動画向けカメラと比較してどういった特徴があるのか見ていきます。
スペック比較表
| 項目 | EOS R6 V | Nikon ZR | Sony ZV-E1 | EOS C50 | Lumix S1 II | Sony FX3 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| センサー | 32.5MP 部分積層型 | 24.5MP 部分積層型 | 12.1MP | 32.4MP | 2025年 6月19日 | 12.1MP 裏面照射型 |
| 動画性能 | 7k/60p(オープンゲート)、4k/120p (10bit) | 6K/60p、4K/120p (10bit) | 4K/120p(10bit) | 7k/60p(オープンゲート)、4k/120p (10bit) | 6K/30p(オープンゲート)、4K/120p | 4K/120p(10bit) |
| 内部RAW記録 | N‑RAW 6K60p/ProRes RAW HQ 6K30p | あり(R3D NE/ N-RAW/ ProRes RAW HQ) | 非対応 | 7k/60p | ProRes RAW | 非対応※16bit RAW出力 (HDMI経由) 対応 |
| デュアルベースISO | 800/6,400 | 800 / 6,400 | 640/12,800 | 800/6,400 | 640/5,000 | 800/12,800 |
| 4k120pクロップ率 | なし | APS-C | 約1.1倍 | なし | 若干あり | 約1.1倍 |
| ダイナミックレンジ | 15 | 15 | 15 | 16 | 15 | 15 |
| オートフォーカス | 被写体認識:人物/動物/車/バイク/鉄道/飛行機 | 被写体認識: 人物/動物/鳥/車/バイク/自転車/列車/航空機など | 被写体認識: AIユニット搭載、人物・動物・鳥・昆虫・車・電車・航空機 | 被写体認識:人物/動物/車/バイク/鉄道/飛行機 | 被写体認識: 人物、動物、自動車、バイク、電車、航空機、「アーバンスポーツAF」 | 顔/瞳 |
| 連写性能 | 40コマ/秒(電子)プリ連写対応 | 120コマ/秒(約11MPでJPEG・プリ連写対応) | 10コマ/秒 | 40コマ/秒(電子)プリ連写対応 | 電子70コマ/秒 メカ10コマ/秒 | 10コマ/秒 |
| メカシャッター | × | × | × | × | 〇 | 〇 |
| 手ブレ補正 | 8.5段 | 7.5段 | 5.0段 | なし | 8.0段 | 5.5段 |
| ファインダー | なし | なし | なし | なし | あり | なし |
| モニター | バリアングル 162万ドット | バリアングル 307万ドット | 104万ドット | バリアングル 162万ドット | フリーアングル 184万ドット | バリアングル 236万ドット |
| 記録メディア | CFexpress B + SD | CFexpress B + microSD(UHS-I) | SD(UHS-I/II) | CFexpress B + SD | CFexpress B + SD(UHS-Ⅱ) | CFexpress A/SD×2 |
| 冷却方式 | 冷却ファン内蔵 | 排熱構造 | ファンレス | 冷却ファン内蔵 | 冷却ファン内蔵 | 冷却ファン内蔵 |
| サイズ (幅×高×奥) | 141.8×83.3×79.7mm | 133×80.5×48.7 mm | 121.0×71.9×54.3 mm | 142×88×95mm | 134.3×102.3×91.8 | 129.7×77.8×84.5mm |
| 重量 | 688g | 630g | 483g | 670g | 800g | 715g |
| 発売日 | 2026年6月 | 2025年10月24日 | 2023年4月21日 | 2025年11月下旬 | 2025年 6月19日 | 2021年3月12日 |
| 定価 | 363,000円 | 299,200円 | 328,900円 | 554,400円 | 455,400円 | 581,900円 |
| 実売価格 | 259,000円 | 230,000円 | 498,960円 | 456,000円 | 459,000円 | |
| その他 | HDMI端子(Type D) 5種の内蔵マイク | HDMI端子(Type D) 3種の内蔵マイク | ハンドルユニット込 | ハンドルユニット込 |
※実売価格は2026年5月時点
Canon EOS R6 Vの特徴

R6 VはEOS R6 Mark IIIと同じ32.5MPのフルサイズセンサーを採用しており、基本的な性能はほぼ同等です。大きく違う点は冷却ファンを内蔵しているところです。これにより4K/60pでは常温で約2時間の連続収録が可能になっています。また7K RAWの内部収録とオープンゲート(3:2)に対応しており、縦動画を含めたマルチフォーマットのコンテンツ制作がしやすくなっています。
デュアルベースISO(800/6,400)も搭載されており、暗所でも十分な映像クオリティが出せます。ただし、切り替えは自動のみで手動設定はできないため、EOS C50と比べると業務現場での細かな制御に制限があります。
ボディはビデオ撮影を意識した設計になっており、タリーランプ、フロントのレコードボタン、縦撮り用の三脚穴、ライブ配信ボタンを搭載。HDMI端子もType Aと業務での使いやすさが考慮されています。
価格はボディ単体で363,000円と、EOS C50やFX3と比べると大幅に安くなっています。
Nikon ZRとの比較

R6 Vと価格帯が近いZRは、REDのカラーサイエンスを実現したR3D NEで内部収録できる点が独自の強みです。32bitフロート音声が本体内蔵なのも大きなアドバンテージで、音声収録ではZRに分があります。モニターも4型・307万ドットとR6 Vより大きく見やすい点も優れています。
ただ、冷却ファンを非搭載なため長時間・高負荷撮影での熱暴走リスクがあります。また記録メディアの片方がmicroSD(UHS-I)とほぼ実用外で、HDMI端子もType D(マイクロ)と業務での使用に不安を感じさせます。R3D NEの現像が現状REDCINE-X PROのみという制限もあります。
価格はZRが約30万円とR6 Vより約6万円安いですが、冷却や業務安定性まで考えると、差額に十分な価値はあると言っていいでしょう。
Sony ZV-E1との比較

価格帯が近いVlog機のZV-E1ですが、デュアルベースISOが12,800と暗所性能が非常に高いのが強みです。約483gと軽量でコンパクトなのも魅力的。
ただ動画機としては制限が多く、RAW収録は非対応、冷却機能なしで長時間撮影ができません。モニターも104万ドットと見づらく、シングルSDスロットも不安な要素です。SNSやVlog中心であれば十分ですが、本格的な映像制作を考えるとR6 Vとは大きく差があります。
Canon EOS C50との比較

同じキヤノンのC50は、R6Ⅲと同じくセンサーやRAW収録性能はほぼ同等です。C50はオープンゲートで7Kが撮れ、冷却ファンも内蔵しているため業務での安心感があります。またデュアルベースISOを手動で切り替えられるのもC50の強みです。またハードもより動画制作向けとなっており、R6VはどちらかというとVlog向けの造りとなっています。
ただし、手ブレ補正がなくレンズ依存になります。価格はR6 Vより約20万円高く、IBIS込みで考えるとR6 Vのコスパは際立っています。
Panasonic Lumix S1 IIとの比較

S1 IIはと唯一のEVF搭載、さらにメカニカルシャッターまで備えた本格的なハイブリッド機です。ProRes RAW HQ内部収録や32bitフロート音声(XLRアダプター)にも対応しており、動画・スチルどちらもこなしたいユーザーには強力な選択肢です。
ただ価格はR6 Vより約20万円高く、重量も800g超とかなり重くなります。最大解像度も5.9Kと7Kには届きません。写真もしっかり撮りたい方向けというポジションです。
Sony FX3との比較

コンパクトシネマカメラの定番であるFX3は、内部RAW収録に非対応なのが大きな違いです。また最大解像度も4Kにとどまり、7K収録ができるR6 Vとは解像度で差があります。手ブレ補正もR6 Vが7.5段でFX3が5.5段と勝っています。価格はR6 Vが実売で約20万円安く、スペックを考えるとかなりコスパで有利です。
反面、FX3はデュアルベースISOが12,800と暗所性能が高く、CFexpress A×2のデュアルスロットと冷却ファンで業務現場における信頼性は高いです。Sony Eマウントの豊富なレンズ資産もFX3を選ぶ理由になります。
EOS R6 Vはコスパに優れたフルサイズシネマカメラ
コンパクトシネマカメラが軒並み50万円前後の中、約36万円で7K RAW・冷却ファン・IBIS・オープンゲートをすべて揃えたのはキヤノンの本気度が伺えます。特に同スペック帯のEOS C50よりIBIS分だけ有利で、コスパという点ではかなり優れたカメラと言っていいでしょう。
ただ、デュアルベースISOの手動切替非対応や32bitフロート音声の非搭載など、業務ユーザーには若干物足りない部分もあります。そのため、SNSやVlogをメインにしつつクライアントワークもこなすビデオグラファーが持つカメラとして最適なポジションにあります。
