Canonから人気のハイブリットカメラであるR6 Mark Ⅱの後継機R6 Mark Ⅲが発表されました。スペックを見る限り先日発表された動画機のC50をハイブリットにした性能となっています。
主に動画性能が向上していますが、他のカメラと比較してどの点が違うのか確認してみます。
スペック比較表
| 品名 | R6Ⅲ | R6II | Z6III | S1 II | α7IV | S5II | EOS C50 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 発売日 | 2025年11月21日 | 2022年12月15日 | 2024年7月12日 | 2025年 6月19日 | 2021年12月17日 | 2023年 2月16日 | 2025月11下旬 |
| 定価(円) | 429,000円 | 319,000円 | 396,000円 | 455,400円 | 361,900円 | 217,800円 | 554,400円 |
| 実売価格(円) | 247,000円 | 331,000円 | 410,000円 | 259,000円 | 198,000円 | 499,000円 | |
| 画素数(万) | 3,250 | 2,420 | 2,450 | 2410 | 3,300 | 2,420 | 3,240 |
| 常用ISO感度 | 100-64,000 | 100–102,400 | 100–64,000 | 100–51,200 | 100–51,200 | 100–51,200 | 100-64,000 |
| 最高連写撮影 | 電子約40コマ/秒 メカ約12コマ/秒 | 電子40コマ/秒 メカ12コマ/秒 | 電子120コマ/秒(JPEG) メカ14コマ/秒 | 電子70コマ/秒 メカ10コマ/秒 | 10コマ/秒 | 電子30コマ/秒 メカ約9コマ/秒 | 電子40コマ/秒 |
| シャッタースピード | 電子1/16,000秒 メカ1/8,000秒 | 電子1/16,000秒 メカ1/8,000秒 | 電子1/16,000秒 メカ1/8,000秒 | 電子1/16,000秒 メカ1/8,000秒 | 1/8,000秒 | 1/8,000秒 | 電子1/16,000秒 |
| 手振れ補正 | 8.5段 | 8段 | 8.0段 | 8.0段 | 5.5段 | 5段 | ― |
| 被写体検出 | 人物/動物/鳥/車/バイク/列車/飛行機 | 人物/動物/乗り物 | 人物/犬/猫/鳥/飛行機/車/バイク/自転車/列車 | 被写体認識: 人物、動物、自動車、バイク、電車、航空機、「アーバンスポーツAF」 | 人物/動物/鳥 | 人物/動物/車/バイク/列車/飛行機 | 人物/動物/鳥/車/バイク/列車/飛行機 |
| プリ連写 | あり(最大0.5秒遡り) | あり(最大0.5秒遡り) | あり(最大1秒遡り) | あり(最大1.5秒遡り) | なし | あり(最大1.5秒遡り) | あり(最大1秒遡り) |
| ファインダー解像度(万) | 369 | 369 | 576 | 576 | 369 | 369 | ― |
| モニタ解像度(万) | 160 | 162 | 210 | 184 | 103 | 184 | 162 |
| モニタ稼働方式 | バリアングル | バリアングル | バリアングル | フリーアングル | バリアングル | バリアングル | バリアングル |
| 解像度とフレームレート | 7K60p、7K30p(オープンゲート)、4K120p | 4K60p(APS-Cクロップ) | 6K60p、4K120p(APS-Cクロップ) | 6K/30p(オープンゲート)、4K/120p | 4K60p(APS-Cクロップ) | 6K30p(オープンゲート)、4K60p(APS-Cクロップ) | 7K60p、7K30p(オープンゲート)、4K120p |
| 映像記録 | Log、内部RAW | Log、外部RAW | Log、内部RAW | Log、内部RAW | Log、外部RAW | Log、外部RAW | Log、内部RAW |
| 記録メディア | CFexpress B + SD(UHS-Ⅱ) | SD(UHS-Ⅱ)×2 | CFexpress B + SD(UHS-Ⅱ) | CFexpress B + SD(UHS-Ⅱ) | CFexpress A/SD×1+ SD(UHS-Ⅱ) | SD(UHS-Ⅱ)×2 | CFexpress B + SD(UHS-Ⅱ) |
| 寸法(㎜) | 138.4×98.4×88.4 | 138.4×98.4×88.4 | 138.5×101.5×74 | 134.3×102.3×91.8 | 131.3×96.4×79.8 | 134.3×102.3×90.1 | 142×88×95 |
| 重量(バッテリー込,g) | 699 | 670 | 760 | 800 | 658 | 740 | 670 |
| その他 | 冷却ファン内蔵 | 冷却ファン内蔵 ハンドルユニット込 |
同じハイブリットカメラや前機種のR6Ⅱ、動画に特化したC50を比較対象にしています。
EOS R6Ⅲの特徴

R6Ⅱと比較すると、スチル機能に大きな変化はありませんが、動画性能はかなり違います。スチルとしては画素数が上昇し、記録メディアにCFexpress Bを使用できることでバッファの向上、AF性能が上がり被写体検出の対象がより多くなりました。手振れ補正も0.5段ですがより良くなっています。
スチル機としてみれば買い替えるほどの性能には見えませんが、動画性能は格段に向上しています。RAWを内部収録可能になり、7kで3:2のオープンゲート撮影が可能に、4k120pのスローモーション撮影も可能になるなど昨今の動画機の需要を取り込んだカメラです。
ただ、その分前機種から価格は11万円ほど高くなっており、実売価格にキャッシュバックも含めれば20万円そこそこでR6Ⅱが手に入るので、高品質な動画を制作する必要が無い限りは、R6Ⅱでも十分でしょう。
Z6IIIとの比較

部分積層型センサーを搭載したハイブリットカメラで読み込み速度に優れています。スチル性能を見ると、画素数は若干少ない約2400万画素ですが、その他の性能に大きな違いは見られません。連写は最大120コマ/秒ですがJPEGのみで、RAWにすると20コマ/秒になるため劣っています。
動画性能も似ていますが、オープンゲート撮影はできません。また、4k120pで撮影できますが、APS-Cサイズにクロップされてしまうため、フルサイズで撮影したい場合はR6Ⅲになります。
価格は3万円ほど安いだけですが、1年以上前に発売したカメラのため、実売価格とキャッシュバックで30万円を下回ります。そのためコスパに優れたカメラと言えるでしょう。
S1 IIとの比較

2025年に発売したLumixのハイエンドハイブリット機です。画素数は2410万画素と多くは無いですが、連写性能は電子で70コマ/秒、プリ連写も1.5秒まで遡れるなど高いスチル性能を備えています。また、9600万画素相当で記録できるハイレゾモードは手持ち撮影も可能なくらい優秀な手振れ補正を備えています。
動画性能もオープンゲート撮影が可能でRAW収録可能、デュアルベースISOで夜間撮影に強く冷却ファンを内蔵しているため、より本格的な動画制作に必要な性能を備えたカメラです。また、モニターはフリーアングルでチルトとバリアングル両方を兼ね備えた便利な機構となっています。色々な機能がある分重量は800gと重くなっています。
高性能なハイブリットカメラですが、その分値段は高く、実売価格で40万円以上しています。R6Ⅲよりもより本格的な動画撮影が必要なら、選択肢には入るくらいの価格差です。
α7IVとの比較

比較する中では最も古いカメラで約4年前に発売されています。そのため全体的に機能は劣っており、重量以外はR6Ⅲの方が優秀です。
古い分価格も安く、キャッシュバックキャンペーンを活用するか、中古市場なら20万円前半で手に入れることができるでしょう。写真も動画もほどほどに撮りたい場合には丁度良いカメラです。
S5IIとの比較

この中では最もコスパに優れたカメラで、写真も動画も十分な機能を備えていながら、20万円前後で購入できるハイブリットカメラです。画素数は2400万画素ですが30コマ/秒の連写にプリ連写対応、動画はオープンゲート撮影が可能など価格に対して充実した機能です。
他のカメラに比べて少し重いですが、内部RAW収録を必要としないのであればおすすめできるカメラです。
EOS C50と比較

動画に特化したカメラで恐らくR6Ⅲと同じセンサーを採用しています。そのためほとんど性能は同じですが、動画機らしくベースisoが800/6400なので夜間に強く、冷却ファンを内蔵しているので長時間撮影が可能です。
ただ、手振れ補正を搭載していないこと、メカシャッターが無くファインダーも無いことから、写真もある程度撮る場合はR6Ⅲの方がよいでしょう。
価格は50万円を超していますが、ハンドルユニット込の値段と考えるとそこまで高い価格ではないと思います。
新たなベーシック機、だけど動画が不要なら前機種でいいかも
Canonのベーシック機が更新され、動画性能が大幅に向上しました。ただ、スチル性能はあまり変わっておらず、動画性能を求めていない人にとっては更新する意欲が湧かないと思います。
ただ、今の時代は動画機能にかなり力を入れており、ベーシック機としては必要な進化と言えるでしょう。その動画性能も過剰であれば、今回比較したカメラでコスパに優れたものがあるのでそちらをおすすめします。スチル性能を求める人は我慢して、今後のスチルカメラに期待した方が良いかもしれません。
