RICOH GR IVはコンデジの中でもハイエンドに近い性能ですが、同じAPS-Cセンサーを採用したコンデジの富士フイルムX100VIと競合関係にあります。価格差はありますが、それぞれどのように違うのか確認してみます。
スペック比較表
項目 | RICOH GR IV | FUJIFILM X100VI |
---|---|---|
センサー | APS-C 約25.74MP | APS-C 約40.2MP |
画像処理エンジン | GR ENGINE 7 | X-Processor 5 |
ISO 感度 | 100–204800 | 125–51200 |
AF性能 | 像面位相差+コントラストのハイブリッドAF/顔・瞳検出 | 像面位相差AF/被写体検出(人・動物・鳥・車・バイク・自転車・飛行機・列車・昆虫・ドローン) |
連写性能 | 4fps | メカシャッター:6fps 電子シャッター:20fps(1.29×クロップ) |
シャッター速度 | 機械式:1/4000 (F2.8時は1/2500) 電子式:1/16000 | 機械式:1/4000 電子式:1/180000 |
動画性能 | FHD 1080/60p | 内部6.2K/30p・4K/30p(4:2:2/10bit) |
手振れ補正 | 5軸6段 | 5軸6段 |
ファインダー | なし (外付け光学ファインダー対応) | 0.5型約369万ドット・倍率0.66 倍率0.52のOVF搭載 |
液晶モニター | 3.0型固定 約103.7万ドット | 3.0型チルト可動 約162万ドット |
ボディ材質 | マグネシウム合金 | 外装上下面:アルミニウム(アルマイト仕上げ) |
サイズ | 109.4×61.1×32.7mm | 128 × 74.8 × 55.3mm |
重量 | 262g | 521g |
NDフィルター | 内蔵2段 | 内蔵4段 |
防塵防滴 | 非対応 | AR‑X100+PRF‑49装着時に対応 |
バッテリー | DB‑120/静止画250枚 | NP‑W126S/310枚(EVF) |
記録メディア | 内蔵メモリー約53GB microSD(UHS‑I) | SD/SDHC/SDXC(UHS‑I) |
価格 | 195,000円 | 281,600円 |
レンズ | 18.3mm F2.8(28mm相当) 7群5枚[非球面3枚] クロップ35/50mm | 23mm F2(35mm相当) 8群6枚[非球面2枚] デジタルテレコン50/70mm |
その他機能 | 14種イメージコントロール | 20種フィルムシミュレーション |
表を見てみると同じようなスペックがある項目をまとめてみます。
同スペック一覧(少し違って影響がない物も含む)

- 手振れ補正
同じAPS-Cサイズのコンデジでありながら、スペック上では異なる点ばかりです。手振れ補正だけは5軸6段と文字は一緒ですが、実際にどれくらい効くのかは使用してみないと比較できない所ではあります。
センサー

同じ裏面照射型のAPS-Cセンサーですが、画素数は大きく違います。X100VIが4020万画素と高画素なのに対して、GR IVは2574万画素と標準的な画素数です。ただ、ISO感度はGR IVの方が優秀で低画素であることから、室内や夜景などの低照度環境はGR IVの方がノイズの少ない綺麗な画像になるでしょう。
AF性能
GR IVはレンズとセンサーが新しくなりAFの速度が向上しています。ただ、被写体検出はできず顔と瞳の検出のみ。X100VIの人や動物から乗り物まで幅広い被写体を検出できるのに比べると物足りなく感じます。
連写・シャッター速度
X100VIの方がともに上です。GR IVはF値によってシャッター速度に制限が掛かっており、F2.8で1/2500、1/4000はF5.6以上にしないといけません。素早く動く被写体を被写界深度が浅い状態で撮りたい場合は注意が必要です。
動画性能
X100VIが圧倒しており、6.2kで10bit撮影が可能です。ただ、コンデジで動画を撮影する機会というのはそう多くなく、おまけ程度のFHDでも問題はないでしょう。
ファインダー・モニター

X100VIにはファインダーがありますが、GR IVが付いていません。そのため、太陽が出ている日中などは撮影に難儀するかもしれません。その分モニターには屋外でも見やすくなるアウトドアモニターが新たに採用されています。
ただ、モニターはカメラに固定となっており、X100VIのチルト機構のようにローアングルを撮ることが難しくなっています。
防塵防滴

GR IVには防塵防滴の記載が無いため、機能が無いといってよいでしょう。天候不良の時に持ち歩くのは厳しい仕様です。対してX100VIは専用のアダプターとフィルターを装着することによって防塵防滴となります。
サイズ・重量

性能は前機種から向上しているにもかかわらず、サイズや重量はほとんど同じです。X100VIはかなり大きく、重量は2倍となっているので、同じコンデジでも長時間持ち運べばかなり違うでしょう。
記録メディア
X100VIはSDカードですが、GR IVはmicroSDと小さなカードです。一眼カメラはSDカードが主流ですが、アクションカメラなどはmicroSDが多いので、所有のカメラによっては流用できるでしょう。
また、GR IVは内蔵メモリーを53GBも備えており、RAWで約995枚も撮影できます。こまめにデータを整理する人にとってmicroSDは不要だと思います。
バッテリー

GR IVはバッテリーが新しくなり撮影枚数も増えましたが、X100VIの方が多いため長時間撮影に向いています。
NDフィルター

両機種ともNDフィルターを内蔵していますが、GR IVは2段に対してX100VIは4段。スローシャッターや明るい場所でも背景をぼかすなど表現の幅を広げることができるのはX100VIです。
レンズ

GR IVのレンズは新開発したもので18.3mmF2.8のレンズと少し広角よりですが、X100VIは23mmF2.0と焦点距離が標準でより明るいレンズとなっています。
クロップによる焦点距離の変更は両方とも可能で、それぞれ2段階ずつできます。
その他

自分好みの画を作ることができるプリセット機能が両方にあり、GR IVのイメージコントロールには新たにシネマ調(イエロー)とシネマ調(グリーン)が追加されました。
X100VIは富士フイルム伝統のフィルムシュミレーションがあり、フィルムのような写真の仕上がりを簡単に再現できます。
気軽に撮影を楽しむならGR IV
スペックだけならX100VIの方がほとんど上回っており、より高品質で失敗の少ない写真を撮影するならX100VIを選ぶべきだと思います。
対してGR IVは小さなサイズで気軽に持ち運び撮影するには十分すぎる機能が備わっています。価格も約9万円の差があるので、十分差別化はできているでしょう。