CP+2024で発表されたSIGMA 500mm F5.6 DG DN OS | Sportsは既に予約が始まっており、3月14日に発売される予定です。ただ、予想を上回る注文で発売日に手に入らない可能性もあるとか。
超望遠レンズは純正レンズやタムロン、そしてシグマからも発売されていますが、小型軽量なレンズに魅力を感じて購入している人が多いようです。このレンズはソニーとライカのマウントがありますが、私はSonyユーザーなので、ソニー向けの他の競合レンズと比較してみます。
単純なスペックだけで競合しそうなレンズを比較していくので、実際に使ってみたボケ感とか解像度などは、先行レビューの動画や記事をご覧いただくことをお勧めします。
500mm F5.6 DG DN OS | Sportsの仕様
型名 | 500mm F5.6 DG DN OS | Sports |
---|---|
定価(円) | 495,000 |
実売価格(円) | 445,500 |
焦点距離 | 500 |
開放絞り | 5.6 |
最小絞り | 32 |
絞り羽(枚) | 11 |
最短撮影距離(m) | 3.2 |
最大撮影倍率 | 0.16 |
フィルター径(㎜) | 95 |
絞りリング | 〇 |
フォーカスモードスイッチ | 〇 |
フォーカスリミッタースイッチ | 〇 |
OSスイッチ | 〇 |
手振れ補正 | 〇 |
寸法(㎜) | 107.6*236.6 |
質量(g) | 1,365 |
500mm F5.6の仕様をみると、やはり際立つのは500㎜という焦点距離でありながら、質量は1,365gという所。超望遠レンズの中ではかなり軽いです。価格は50万円弱とかなりの高価格ですが、純正の単焦点レンズと比べればかなりお手頃価格です。スイッチ類も一通りそろっているので、操作性に不満はなさそうです。
また、シグマの3つのプロダクトラインのうちsportsに属しており、名の通りスポーツや野生動物、モータースポーツなど高速で動く被写体に対応したレンズとなっています。
他のレンズとの比較表
メーカー | SIGMA | Sony | TAMRON | Sony | SIGMA | Sony | TAMRON | SIGMA | Sony | Sony |
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型名 | 500mm F5.6 DG DN OS | SEL300F28GM | Model A057 | SEL200600G | 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | SEL100400GM | Model A067 | 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | SEL400F28GM | SEL600F40GM |
発売日 | 2024.03.14 | 2024.02.02 | 2021.06.10 | 2019.0726 | 2021.08.27 | 2017.07.28 | 2022.09.22 | 2020.07.10 | 2018.06.28 | 2019.06.18 |
定価(円) | 495,000 | 935,000 | 187,000 | 291,500 | 176,000 | 348,700 | 195,800 | 118,800 | 1681,900 | 1903,000 |
最安価格(円) | 445,500 | 841,500 | 121,277 | 236,799 | 156,496 | 268,999 | 136,999 | 105,759 | 1444,780 | 1633,000 |
焦点距離 | 500 | 300 | 150-500 | 200-600 | 150-600 | 100-400 | 50-400 | 100-400 | 400 | 600 |
開放絞り | 5.6 | 2.8 | 5-6.7 | 5.6-6.3 | 5-6.3 | 4.5-5.6 | 4.5-6.3 | 5-6.3 | 2.8 | 4 |
最小絞り | 32 | 22 | 22-32 | 32-36 | 22-29 | 32-40 | 22-32 | 22-29 | 22 | 22 |
絞り羽(枚) | 11 | 11 | 7 | 11 | 9 | 9 | 9 | 9 | 11 | 11 |
最短撮影距離(m) | 3.2 | 2.0 | 0.6 | 2.4 | 0.58 | 0.98 | 0.25 | 1.12 | 2.7 | 4.5 |
最大撮影倍率 | 0.16 | 0.16 | 0.27 | 0.2 | 0.34 | 0.35 | 0.5 | 0.24 | 0.16 | 0.14 |
フィルター径(㎜) | 95 | 40.5 | 82 | 95 | 95 | 77 | 67 | 67 | 40.5 | 40.5 |
フォーカスモードスイッチ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
フォーカスリミッタースイッチ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
OSスイッチ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
手振れ補正 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
防塵防滴 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
寸法(㎜) | 107.6*234.6 | 124*265 | 93*209.6 | 111.5*318 | 109.4*265.6 | 93.9*205 | 88.5*183.4 | 86*199.2 | 158.1*359 | 163.6*449 |
重量(g) | 1,365 | 1,470 | 1,880 | 2,115 | 2,100 | 1,395 | 1,155 | 1,140 | 2,895 | 3,040 |
※他のレンズとの比較表には、2024年3月2日時点の価格ドットコムに基づいた最安値が示されています。
超望遠と言われている焦点距離が400㎜以上のレンズを載せています。その中でも軽量レンズは左寄せになっています。
SEL300F28GMとの比較
一番の競合となりうるレンズです。ただし価格は倍近く高くなっています。質量は1,470gとかなり軽量ですが、焦点距離は300㎜と500㎜には遠く及びません。
しかし、テレコンバーターを装着することで焦点距離を補うことができます。純正テレコンが1.4倍と2.0倍があるので、装着すると以下の数値になります。
型名 | 焦点距離(㎜) | 絞りF値 | 質量(g) | 長さ(㎜) | 最安値 |
SEL14TC | 420 | 4 | 167 | 17.2 | 64,696 |
SEL20TC | 600 | 5.6 | 207 | 27.2 | 64,000 |
焦点距離やF値がかなり近づいてきます。ただ、レンズに加えて別途購入する必要があり、質量も長さもテレコン分増します。また、焦点距離を使い分けられると言えますが、装着する手間が発生するともいえるので、状況による良し悪しがあります。話には関係ないですが2倍テレコンが品切れ状態なのはなぜ?
また、純正レンズで解像度やAF性能が良いとはいえ、テレコンを付けることによって幾分か性能が落ちてしまいます。一方でα1やα9Ⅲの高速連写に対応していることは大きな違いです。特に超望遠は野生の動物やスポーツなど連写を必要とする場合が多々あります。シグマの500㎜F5.6は連写できても15コマ/秒の制限があり、テレコンもないので焦点距離を変えることができない所が明確な弱みでしょう。
価格の差はあると言えど、この違いをどう捉えるかによって2つのレンズの価値が変わってくると思います。
Model A057との比較
TAMRONから出ている500㎜までカバーしている超望遠レンズです。500㎜での絞りF値が6.7と暗くになっています。質量は1,880gと2㎏を下回っているのが大きな強みでしょう。価格も最安値で10万円前半とお手頃価格なので超望遠を試したい人には向いています。
ただ、ズームレンズと単焦点レンズとではやはり解像度や光学性能などにどうしても差が出てしまいます。質量も約500gの差があり、持ち運びや撮影時には負担になります。今回のシグマ単焦点レンズは小型軽量に特化したジャンルなので、あまり競合とはみなされなさそうです。
SEL200600Gとの比較
純正の超望遠ズームレンズで、価格も20万円前半で比較的手に入りやすい部類です。質量は2㎏オーバーとかなり重たく、長さも300㎜を超え撮影する際にかなりの負担となります。
比較したときの強みはやはり純正レンズであることと、価格です。高速連写に対応していて、テレコンも使用できて焦点距離を大きく変えることができます。価格も倍近くの差があるのは大きなポイントです。ただ、小型軽量ではないので、これも競合ではなさそうです。
150-600mm F5-6.3 DG DN OSとの比較
同じシグマから発売されている超望遠ズームです。上記のSEL200600Gと同じで、ワイド側の焦点距離が150㎜であること、価格が約15万円であるという違いがあります。純正レンズではないので高速連写やテレコンには対応していません。
軽量望遠ズームとの比較
焦点距離が100-400㎜くらいのレンズがSony、タムロン、シグマから発売されており、質量やF値など似たような性能になっています。価格はSonyが20万円後半とかなり差があるくらいで、他は10万円前半です。
シグマ500㎜F5.6と比べると、質量は同等、もしくは軽くなっていて、より小型なので持ち運びしやすくなっています。ただ、500㎜という焦点距離には届かず、Sonyの純正レンズにテレコンを装着すれば届きますが、先に述べたデメリットもあります。
望遠から超望遠までカバーし、持ち運びもしやすいので汎用性が高いレンズと言えますが、今回の超望遠小型軽量特化とは競合しないでしょう。
Sonyの超望遠単焦点レンズとの比較
Sonyの超望遠単焦点レンズは焦点距離が400㎜と600㎜があります。F値も明るく、まさにハイエンドの超望遠レンズになっていますが、小型軽量とはかけ離れた存在です。長さは300㎜、400㎜を遥かに超えていて、質量も約3kgとシグマ500㎜F5.6とは別物です。価格も約150万円と新しい自動車が買えてしまうくらいの値段ですので、競合として比較することはほとんどないと思います。
500㎜F5.6の使い道
競合するレンズと比較してきましたが、小型軽量の超望遠単焦点レンズとして確立した位置にいるように思えます。使われるシーンは限られますが、超望遠レンズが元々限られた使い道のレンズなので。このレンズの使い道は以下のシーンを挙げてみます。
- 野生動物撮影:野生動物の観察や鳥の撮影に最適で、500mmの焦点距離は、遠くの動物をクリアに捉えることができます。
- スポーツ撮影:スポーツイベントやアクションシーンの撮影にも適しています。シグマのsportsラインに属しているため、動きの速い被写体を追従できる性能はあるでしょう。
- 風景撮影:広大な風景や山岳地帯の撮影で、遠くの山々や自然の美しさを捉えることができます。
やはり移動を伴い、かつ車等で行けないようなアウトドアが主な撮影シーンになると思います。スポーツでも撮影の場所を変えたり、長時間の場合はこのレンズの特徴を最大限に活かせるシーンでしょう。逆に三脚を多用し移動の少ない場面では小型軽量であるメリットが薄れてしまいます。
まとめ
超望遠レンズというニッチな需要のさらに狭い小型軽量を攻めたレンズです。と言っても超望遠レンズはどうしても大きく重くなってしまうので、そのデメリットを解消したところは大きな強みです。
ただ、惜しむらくはやはり高速連写やテレコンに対応していないこと。これはソニー側の都合だとは思いますが、野生動物やスポーツの場では高速連写を活かす場であり、焦点距離を多少変えられたりすると撮影の幅が広がるので、今後に期待したいと思います。
さて、このレンズを予約する場合、価格は割高になりますが公式サイトで予約すると、なんと保護フィルターとこのレンズの特別Tシャツが予約特典としてプレゼントされます。数に限りがあるので、特別Tシャツが欲しいと思った方は公式サイトから予約してみてください。